うつ病人の生き方・働き方改革

調理訓練のリハビリを始める基準と事前評価ってどうしてる?

2019/02/06
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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右片麻痺の患者さんで主婦としての役割があると、調理動作の再獲得は、達成必須の目標ですよね。
歩行に不安定さが残っていたり、手指の巧緻性の低下があると、調理訓練を始める基準や調理訓練の評価どのように進めていくか、悩むところではないでしょうか?

調理訓練を始める判断基準まとめ

右片麻痺の患者さんを担当した時に、調理訓練を始める判断基準は、以下のように考えています。
① 右手で包丁を持てる
② 箸やヘラで、少しでもまぜる動きが行える
③ 立位が保て、つたい歩きができる
調理訓練は、キッチンで行いますから、完全に手放しで立ったり、歩行ができなくても、調理台を支えにすれば、立位を保ったりや伝い歩きが行えますよね?
食材を切って、まぜるような動きができれば、炒め物や和え物などの料理を『とりあえず』作る事ができると思います。だから、自宅で調理を行う予定があれば、歩行器や車いすを使用している段階でも、調理訓練を行っていくべきだと判断しています。
調理訓練を行うからこそできる評価も、結構多いんですよ。


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調理訓練を行ってみるからこそ評価できる事

実際の調理訓練を行ってみる事で、評価できる項目を挙げてみました。

調理訓練の評価.jpg

● 計画性
● 手際
● 注意配分
● とっさの問題解決能力
● 判断力
● 衛生面への配慮
● 習慣
● 嗜好やキャラクター
● こだわり
● バランス能力
● 上肢機能
調理ほど、身体機能、高次脳機能、認知機能を駆使しながら行う作業はないと思うんですよね。
バランスが安定している、上肢機能が良い患者さんも、色々な事に注意しながら作業をする調理訓練では、あたふたして、普段はしないような失敗をするものです。
例えば、
蛇口の水を止め忘れたり。
調味料をしまい忘れたり。
調理訓練をする事で、作業療法士は、社会生活を送っていく上での応用的な作業の能力を評価できますし、患者さんは、実践的な調理動作を行えます。
 
ただし、入院してからずっと調理をしていなかった患者さんに、調理訓練を行う時には、不足の自体が起きやすいですし、患者さんも困惑しやすいと思うんですよね。
調理訓練を行う前に、調理に必要な行程の評価をして、リスクの少ない中で、実践的な訓練に進めていければと思います。

調理訓練前に行っておきたい事前の評価

実際の調理訓練を行う前に、作業療法の時間を使って、調理に関する動作をシミュレーションしておく事をおすすめします。
病院のキッチンで行う調理は、患者さんにとって初めての環境です。
特に、リハビリ病院の患者さんは、1ヶ月以上、調理を行っていない期間がある事がほとんどなので、新しい環境に慣れる事と各行程がどの程度行えるかシミュレーションしておくと、時間内に、安全な調理訓練を行いやすいと思います。
調理訓練の前に、評価したい工程を4つ挙げ、評価の方法を書いていきます。

キッチンで食器や調理器具の洗い物動作

食器や調理器具の洗い物動作では、茶碗やスポンジの持ち方、水や洗剤の使用量への配慮などを評価・訓練します。
スポンジの操作を行うには、健側の左手と麻痺側の右手をバランス良く動かせないと、上手く動作が行えません。
スポンジを持っている右手をスムースに動かせる為にも、食器や調理器具を持った左手の力加減の調節が必要なんです。
 
また、スポンジで食器や調理器具をこすっている間中、水を止めずに流しっぱなしになる状況は、よく起こりがちです。
複数の作業に、同時に注意を向けることが難しい患者さんでは、僕は、水を流しっぱなしにするというちょっとした失敗体験をしてもらっています。
調理訓練が終わった後にフィードバックする時間を作り、注意を向ける必要があった点について、自分で気づいてもらえるよう促せる環境作りが自立への近道だと思います。

セラプラストを切る包丁動作

包丁で食材を切る評価や練習は、セラプラスト(緑)を使います。使い方は、キュウリくらいの太さに伸ばして、2㎝から4㎝くらいの厚みに切ります。
●セラプラスト(緑)を使うメリット
:繰り返し包丁動作が訓練できる、費用がかからない、硬さが適度、切った後に丸める・広げるなどの練習もできる、失敗しても『切った事がないもの』といい訳ができる
●セラプラスト(緑)を使うデメリット
:本物の食材とは質感が違う、手が汚れることを嫌う患者さんもいる、セラプラスト用に包丁とまな板を作業療法室に買う必要がある、皮むき動作は評価できない
可能であれば、栄養課から廃棄する食材の皮などを貰って、実際の食材の質感で、訓練をできると良いと思うんですが、病院だと、感染対策やシステム上の問題で、使えない事が多いと思うんですよね。
だから、セラプラストを使って、前方向に切ったり、小さい大きさに切ったりする練習を行います。

コンロの前で、箸やへらを使ってまぜる・炒める

左手でフライパンを支え、さい箸やへらで、フライパンの中の物品をまぜたり、炒めたりする動きを練習します。
フライパンの中には、大豆や再生紙を丸めた物などをいれると、練習が行いやすいですよ。
立位でバランスをとりながらの動きでは、食事でスプーンや箸を使うときよりも、麻痺側上肢が使いにくいものです。また、調理では、適度に長い時間立ち続け、上肢を使い続けられるだけの耐久性が必要になりますね。
 

調理器具を運び、食器に移す

フライパンでまぜたり、炒める練習をした物は、コンロから外して、食器に移す練習をします。環境によっては、フライパンを持ちながら、2・3歩の伝い歩きをする必要があるかもしれません。
また、フライパンを持った状態で、食器に盛り付ける動作は、上肢の動きに合わせたバランス能力、食器の大きさに合わせた距離感の取り方や力加減を練習できると思います。

調理訓練本番前のシミュレーション練習

調理訓練前の事前評価として、洗う、切る、まぜる・炒める、道具を運ぶ・移すについて、見てきました。
患者さんによっては、必要性があっても、何かの理由で、病院での本格的な調理訓練まで進めない場合もありますよね。そんな時に、調理動作を評価・訓練しやすい簡単な方法について、最後に書きたいと思います。

上肢機能に焦点をあてた、りんごの皮むき

調理訓練の評価 りんごの皮むき.jpg

右麻痺側で包丁を使って、調理ができるか評価・訓練したいのであれば、りんごの皮むきがおすすめです。
りんごを切る、人数分に切り分ける、皮をむく、使った器具を片す等の一連の動作をやってみる事ができます。
特に、皮むきですね。これは、どのような訓練器具を使っても、実際の野菜でないと、動作を再現できないと思っています。
りんごは、一年中スーパーに並んでいるなじみの深い果物なので、気分や金銭面など、本格的な調理訓練ができない理由がある患者さんにも、気軽に導入しやすい方法だと思いますよ。

高次脳機能・認知機能に焦点をあてた、紅茶パックでのお茶だし

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高次脳機能や認知機能が低下していると、調理では切る動作以上に、やけどやケガをしないよう危険に配慮できるかが問題になりやすいですよね。
調理動作での危険管理を中心とした評価や訓練には、市販の紅茶のパックを使ったスタッフへのお茶出しが導入しやすいです。
作業療法でよく行う方法が、お湯を沸かして、担当理学療法士、言語聴覚士分の紅茶を紙コップに作る事。
紙コップには、事前に理学療法士、言語聴覚士の名前を書いておき、紅茶を入れた後には、ラップをかけておきます。昼食前、もしくは業務終了後前の時間に、作業療法の予定を組んでおくのです。
お湯を沸かして、紙コップにそそぐという作業は、コンロやヤカン(鍋など)、注いだ時のお湯でやけどしないように、注意する必要が求められます。
担当理学療法士と言語聴覚士にわかるように名前を書く必要があり、ラップをかけたり、指定場所へ配膳する等の動作を評価・練習する事ができますよ。
 
この方法の一番良いところは、『仕事をした後の担当理学療法士や言語聴覚士の為に、紅茶を入れる』という確固たる役割が生まれる事。
目的がある方が注意が向いて真剣になれるし、役割が認識しやすいと、迷いが少なく作業に取り組めるものです。

まとめ

右片麻痺で主婦としての役割がある患者さんを担当した時に、調理訓練を行う判断基準と事前の評価について書きました。
移動に不安定さが残っていても、包丁を持ち、箸やへらで食材をかきまぜられたり、伝い歩きができれば、調理訓練を行った方がよいと思います。
調理訓練をするからこそわかる、生活の応用的な作業が、調理にはたくさん含まれているからです。
本格的な調理訓練の前には、洗う、切る、まぜる・炒める、道具を運ぶ・移すについて、事前に評価を行っておくと良いと説明しました。
また、何らかの理由で、本格的な調理訓練ができない場合でも、りんごの皮むきや紅茶パックを使ったお茶出しで、調理に必要な要素を評価・訓練できるとご紹介しました。
『こんな感じでやってたな。』『こんな感じでならできそう。』入院前の勘を取り戻しながら、患者さんが納得のできる調理訓練にしたいですね。

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