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手のアーチ?物の把持と操作を上達させるROM訓練の方法とは?

2019/10/20
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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手には「アーチ」と呼ばれる独特の丸みがあります。

 

人間の手はアーチの丸みをあることで、指先で物をつまみやすくなったり、細かい物の操作が行いやすくなるのです。

 

手のROM訓練をおこなう時には、手のアーチを意識して、アーチを作っていくようにおこなうことが重要です。

 

・手のアーチができると、手で物を掴んだり指でつまんだりしやすくなる。

・手のアーチができると、患者さんは日常生活でも手を機能的に使えるようになる

 

つまり、手のアーチができると、リハビリ室で行っていることが単なるROM訓練ではなく、患者さんが作業するたびに手が使いやすくなる「生活リハビリ」に変わっていくのです。

 

とは言っても、手のアーチ?が実際のところどういうものかわかりませんよね。アーチがわからなければ、ROM訓練もできないでしょう。

 

そこで、手のアーチを意識したROM訓練の方法を説明します。

手のアーチとアーチがある意味

人間の手には4つのアーチがあり、それぞれのアーチが手の丸みを作っています。下の写真では、手のアーチをそれぞれ黄色で示しました。ちなみに、僕の「左手」です。

 

麻痺や筋力低下がない健常な手は、手のアーチがあることで、示指から小指が、拇指のつけ根(正確には、舟状骨(しゅうじょうこつ)という骨の方向)を向いています

 

手のアーチ.jpg

 

手のアーチ
① 縦方向のアーチ :写真の青い線
② 横方向のアーチ1  :写真の赤い線
③ 横方向のアーチ2  :写真の黄色い線
④ 斜め方向のアーチ:写真には載ってません。

 

① 縦方向のアーチ

縦方向のアーチは、手根骨と各指の中手骨、指骨で形成されています。機能的には、示指(第2指)と中指(第3指)の縦アーチが重要です。

 

② 横方向のアーチ1

横方向の一つ目のアーチは、第1~5の中手骨と大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨で形成され、横手根アーチとも呼ばれます。固定性があり、可動性に乏しいのが特徴です。

 

③ 横方向のアーチ2

横方向の二つ目のアーチは、第2~5中手骨頭で形成され、横中手アーチとも呼ばれます。横方向のアーチ1(横手根アーチ)よりも可動性があるのが特徴です。

 

④ 斜め方向のアーチ

斜め方向のアーチは、拇指と他の4指で形成され、把握動作で最も重要なアーチになります。

 

手を使った把持やつまみ動作の訓練、アクティビティをする時などにも、これら4つの手のアーチがなくて、物を掴み損なって課題を失敗する患者さんが多いです。

 

“人間の手は、5本の指がつまみ動作を行った場合、それぞれの先端が適度なリラックスのもとに触り合えることに驚かされる。それは、どのような活動時でも保障されているという事である。肩や肘がどのような格好をしていても崩れる事はない。前腕が回内しようと、回外しようとも指先の腹部は触れあう事ができる。縦・横・斜めのアーチがあるからこそ、可能なのである。”

 

引用:中枢神経系疾患に対する作業療法

 

まとめると、人間の手は手のアーチがあるからこそ、物に合わせて手の形を変えることができ、持ったりつまんだり操作したりすることができるということです。

 

手のアーチがないと、どのような状態になるか?

物を掴んだりつまんだりする時に、手のアーチの存在が重要だと理解できてきたところで、手のアーチがないと、どのような手の作りになるのかを下の写真で再現してみました。

 

アーチのない手をイメージできた方が健常な手との違いが理解しやすく、訓練の時に患者さんの手の異常に気づきやすく、患者さんの手に触りやすいでしょう。

 

下の写真は向かって左側が「猿手(さるて)」、右側が「鷲手(わして)」のイメージです。

 

手のアーチがない.jpg

 

猿手

正中神経の麻痺で、円回内筋以下が麻痺した時に起こり、母指球の萎縮が著しく見られます

 

鷲手

尺骨神経の麻痺で起こります。手の内在筋(骨間筋や虫様筋)が働いていない状態です。

 

僕は、片麻痺の患者さんの作業療法を中心に行ってきましたが、片麻痺の患者さんでも、猿手や鷲手に似たような手の形をした患者さんの訓練を行うことは多いです。

 

猿手や鷲手は、末梢神経疾患で起こることですが、片麻痺の患者さんや高齢者では、筋力低下を起こせば、アーチが崩れて同じような手の形になります。

 

つまり、手で物を掴んだり指で物をつまみにくなったりするんです。

 

手のアーチと舟状骨(しゅうじょうこつ)の位置

患者さんの手を見る時は、最初に、手指がどの方向を向いているかを確認してみてください。下の写真は、先ほど見た健常な手の形と指との位置関係を示した写真です。もう一度見てください。

 

手のアーチ.jpg

 

この写真(健常な手)を見ると、第2~5指(示指~小指)の先端が、全て拇指のつけ根(舟状骨)の方向を向いています。黒い実線は、それぞれの指の先端が、舟状骨に向いていることを表しています。

 

 

 

通常手を握ると、それぞれの指は、手のひらと接触するように舟状骨の方向へ屈曲してます。中指は屈曲、他の指は屈曲し、回旋しながら舟状骨に指の先端が近づいてきます。

 

この手を握る時の指の動きは、手のアーチがなくなると、それぞれの指の先端が舟状骨以外の方向を向いてしまいます。そうすると、物を掴んだりつまもうしたりする時に、その動作が困難になったり、無駄な力が入ってしまい、上手く掴む・つまむ動きができなくなるのです。

 

手の握り始めに、指がどの方向を向いているか、そして、指がどの方向に向かって動いているかにも注目してみてください。

 

手のアーチを活かしたROM訓練では、まず骨の位置を確認する

手のROM訓練では、筋肉よりも先に骨の位置を確認してください。

 

手には、筋肉がたくさんありますし、ROM訓練をしようとして筋肉から動かそうとしても、骨の位置が確認できないと硬くなったり、動きが悪い筋肉を動かすことはできません。

 

だから、最初は大雑把にでいいので骨の位置を確認してみましょう!

 

自分の手を見て、手の中にある手根骨(しゅこんこつ)という8つの骨と中手骨(ちゅうしゅこつ)と呼ばれる5つの骨を触ってみてください。

 

骨の位置のイメージは以下の写真のようです。写真を見ながら、自分の右手で左手を触ってみるとわかりやすいでしょう。

 

手根骨と中手骨.jpg

 

手の骨の位置がなんとなくイメージできましたか?そして、手には、アーチがついていることに気づけましたか?

 

手の骨とアーチのイメージがついたら、患者さんの手のROM訓練時に、できるだけ手のアーチを形作るイメージで、患者さんの手を動かしてみてください。

 

下の写真には、手のROM訓練をする時に、作業療法士が触るべき推奨ポイントを示しました。白い部分(両端)と黒い部分(中央)に、注目してください。

 

手のROM.jpg

 

手のアーチを作りながらROM訓練する時は、患者さんの手を作業療法士の両手で手背から包むように触っていきます。

 

作業療法士の手で、白い部分(拇指と小指の中手骨)に丸みをつけるように曲げたり、黒い部分(2~4指の中手骨)に作業療法士の指先をあてがって、手のアーチを強調するようにして、動かしていくと、上手く手のアーチが作りやすいです。

 

手のアーチが部分的にでも作れてくると、患者さんの手指の動きが出やすくなったり、患者さんの手に柔らかみがでたような感じが触ってわかります。

 

手のアーチが作れて、手指の動きが出せた後は、リハビリ室でのROM訓練で終わらずに、掴む・つまむなど、日常生活でも患者さん自身で手の動きが出しやすくなり、手の形も動きも、長続きしやすくなるでしょう。

 

まとめ

手のアーチや構造を簡単に復習しながら、手のROM訓練について書きました。

 

手のアーチがあると、物を掴んだり、つまみやすくなります。また、無駄に力が入りにくくなるので、筋肉が余計にこわばりにくくなり、拘縮や張りを予防しやすくなります。

 

まずは自分の手で、丸みを確認することと、骨の配置を大雑把に把握してみてください。

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