うつ病人の生き方・働き方改革

片麻痺患者さんのポジショニングでは、どうやってクッションを入れる?

2019/02/06
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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片麻痺の患者さんには、ポジショニングが重要です。自分の力で上手く動くことが難しい患者さんでは、ポジショニングをしないと、褥瘡だったり、拘縮だったり、色々な問題が起こりやすいからです。

 

 

 

 

褥瘡や拘縮までにいたらなくても、姿勢の崩れを防止できると、リハビリで行っている訓練も、効率的に進められる場合もあります。関節可動域(ROM)訓練に時間をかけたのに、翌日には、訓練前までROMが戻っていることも多いはず。

 

 

 

 

ただ、ポジショニングは、治療の一環として、作業療法士自身がやり慣れていないと、クッション1つをどこに入れていいかも悩みますよね。なんというか、ポジショニングは、とっつきにくい特殊手技のように感じられません?

 

 

 

 

片麻痺患者さんのポジショングは、その患者さんに合わせて、微調整していく必要がありますが、「明日、こんな感じにクッションを入れてみようかな?」とイメージできるように、ポジショニングについての説明をしていきます。


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片麻痺患者さんのポジショニングの目的とは?

片麻痺患者さんのポジショニングの目的は、大きく4つに分けられます。

 

 

片麻痺患者さんのポジショニングの目的

① 褥瘡・拘縮の予防

② 姿勢の崩れを防止

③ ベッド上で、楽に過ごす

④ 患者さんの動きを引き出す

 

 

僕自身は、作業療法士として、回復期リハビリテーション病院(以下、リハ病院)や特別養護老人ホーム(以下、特養)で、ポジショニングを実践してきました。そのため、ポジショニングの目的の中でも、④ 患者さんの動きやすさが最も重要と考えています。

 

 

 

 

褥瘡や拘縮が発生しやすい患者さんを除けば、片麻痺患者さんのポジショニングは、「患者さんの動きやすさ」に着目してみてください。

 

なぜ片麻痺患者さんのポジショニングに、動きやすさなのか?

ポジショニングと聞くと、患者さんのからだにかかっている圧力を分散するように、クッションで、一定の位置に留めておくという発想になりませんか?

 

 

 

 

たしかに、急性期のように、患者さん本人の意識がない状態であれば、褥瘡や拘縮を予防するために、背臥位(仰臥位)や側臥位へと、医療従事者が理想とする姿勢をとってもらうことができるかもしれません。

 

 

 

 

でも、リハビリ病院に転院する多くの片麻痺患者さんは、意識があり、色々な刺激によって、自分の意志で動くことができるようになります。

 

 

 

治療の一環だからと言って、患者さんは、居心地が悪く感じれば、心地良く思える姿勢になろうと動きます。面会の家族と話したり、テレビを見たり、色々な刺激に反応すれば、姿勢が変わります。

 

 

 

 

たぐ
人は、動くんです。刺激があると、それに反応して動きたがるもんです。だから、一定の姿勢をとり続けるという発想ではなく、いかに患者さんが動きやすくなるかに着目した方が、患者さんの動きを引き出すポジショニングになるんですよね。 

 

片麻痺患者さんの動きやすさを考えたポジショニングをするには?

片麻痺患者さんの動きやすさを考えてポジショニングをするには、患者さんの「習慣」と「環境」を知る必要があります。患者さんによっては、ベッドに寝ているだけという人もいれば、テレビを見たり、新聞を広げて何かメモをとっていたりする人もいますよね。

 

 

 

 

患者さんが、どのような生活を送っているか、患者さんの「習慣」と「生活環境」を知らないと、どういう姿勢が、患者さんにとって動きやすいかわかりません。

 

 

 

習慣

患者さんの「習慣」を知るには、毎日、病室を覗きみて、患者さんが何をして過ごしているか見てください。「チラッと」でいいんです。臨床の合間に、患者さんのベッド上の様子を見にいくと、習慣的に何をやっているか、どういう方向を向いているかなどを知ることができますよ。

 

 

 

 

病室を覗いても、いつも寝ているだけなんだけど…

 

 

たぐ
それも「習慣」です。寝ているだけに見えても、呼吸や嚥下は行っていますよね?寝ている向きも同じですか?

 

 

 

 

特に、自分で寝返りができない患者さんにとっては、呼吸をしたり、嚥下をしたりすることも、重要な作業です。呼吸や嚥下がしにくければ、そもそも苦しいですし、苦しければ、からだに無駄な力が入って筋肉がこわばり、余計に動きにくくなりますよ。

 

 

 

 

単に背臥位で寝ていたい患者さんでなければ、看護師や介護士がいない時に、自分で寝返りや除圧がしやすいようなポジショニングが必要になるかもしれないですね。

 

 

 

環境

患者さんのベッド周りには、どのような物が置いてあるでしょうか?

 

 

 

僕は、患者さんのベッド周りを見る時、テレビ、テレビのリモコンやイヤホン、ナースコール、ベッド柵にくくられたカゴの類い、オーバーテーブル、新聞・雑誌などの有無や位置を確認しています。

 

 

 

ベッドにいる患者さんは、自分が欲しいと思えば、看護師・介護士を呼ぶ前に、物をとろうとするでしょうし、ベッドに寝ている人の視線から考えないと、立っている人にはわからない困難さもあります。

 

 

 

たぐ
意外と多いのが、テレビの画面に光が反射して、患者さんから見えにくいということもありますよ。

 

 

 

ベッド周りの環境を知ることで、患者さんの動きを予測することができます。一番良い方法は、「ナースコールを自分で押せます?見つからないことありません??」と、患者さんに聞いてみることです。

 

ポジショニングのクッションの入れ方

片麻痺患者さんのポジショニングをする時には、色々なクッションを使います。ポジショニングのクッションは、適当に使うと、患者さんが動きやすいどころか、逆に苦痛を感じさせてしまう原因にもなります。

 

 

 

 

ポジショニングのクッションの入れ方について、順に説明していきます。

 

 

ポジショニングのクッションの入れ方

① 一端、クッションを全部とる

② あてがう予定の位置のそばに、クッションを置いておく

③ からだや服のよれを直す(背抜きをする)

④ クッションをあてる

⑤ 背抜きをする

⑥ チェック

 

 

① 一端、クッションを全部とる

まずは、患者さんにあてがわれているクッションを全部とってください。僕は、病室でROM訓練をする時も、一度クッションを全部とっています。

 

 

 

クッションを入れていると、クッションがよれたり、崩れたりしていることが多いですよね?ずれたクッションや患者さんの動きによって、ベッドのシーツにシワがよっていたり、居心地が悪くなるような位置にクッションがきていたりします。

 

 

 

だから、新たにポジショニングをする前に、一端クッションを全てとり、患者さんがクッションから解放された状態を作ってください。

 

 

② あてがう予定の位置のそばに、クッションを置いておく

ポジショニングに使うクッションは、患者さんのからだにあてがう予定の位置のそばに、あらかじめ置いておきます。

 

 

 

側臥位をとる場合を考えると理解しやすいです。患者さんのからだを側臥位の状態で支えている時に、近くににクッションがないと、クッションをとろうとして患者さんの体が崩れたり、クッションに手が届かなかったりして、ポジショニングが上手くできません。

 

 

③ からだや服のよれを直す(背抜きをする)

人のからだは、少し動くだけで、背中の皮膚がよれたり、着ている服にシワができたりします。自力で姿勢をかえられない患者さんには、この皮膚のよれや服のシワが、からだを圧迫する原因になり、痛みや不快感を感じさせるんです。

 

 

 

ベッドで横になっている患者さんの皮膚のよれや服のシワを直すことを「背抜き」と言います。背抜きの仕方は簡単です。

 

 

 

患者さんの手足を軽く持ち上げたり、背中がベッドから離れるようにからだを少し傾けたりして、皮膚のよれをとることができます。あるいは、患者さんの背中全体に手を入れて、肩から腰にかけて、軽くさすってみてください。服のシワは、シワの寄っている部分を引っぱって、シワ伸ばしをしてみてください。

 

 

④ クッションをあてる

患者さんのからだにクッションをあてる時は、クッションをあてがいたい部分を浮かせてから、クッションを入れるようにしましょう。からだを浮かせずにクッションをあてがおうとすると、クッションでからだを支えられず、クッションの意味がなくなるからです。

 

 

⑤ 背抜きをする
クッションを入れた後に、もう一度背抜きをして、クッションをあてがった時にできた衣類のシワを伸ばしましょう。

 

 

⑥ チェック

まず、患者さんに、クッションをあてがわれて苦しくないかを聞いてみてください。その後、あてがったクッションを軽く引っ張ってみて、すぐに抜けないかをチェックします。

 

 

 

軽く引っ張っただけでクッションが抜けてしまうということは、クッションに体重がかかっていないという証拠です。そのクッションは、からだを支える役割をしていません。クッションが抜けてしまったら、もう一度、その部分のクッションを入れ直してください。

 

片麻痺患者さんのポジショニングの例

長くなってきたので、ここまでの内容をまとめると、片麻痺患者さんのポジショニングについて、

 

 

1.動きやすさが重要であること

2.患者さんの「習慣」と「環境」を知る必要があること

3.クッションの入れ方

 

 

以上の3つを説明しました。3つの内容を踏まえて、以下のように、左片麻痺患者さんのポジショニングをシミュレーションしてみました。

 

 

 

 

下の図は、仙骨(お尻の骨)部に褥瘡のある患者さんが、病室でベッドに横になっている様子です。病室にはテレビがあり、毎日16:00からはじまる「NHKの大相撲」をみることを楽しみにしている人だとします。

 

 

 

 

褥瘡の部分の除圧だけを考えれば、背中や腰のあたりにクッションを入れて、右側臥位をとれば対応できます。でも、大相撲を楽しみにしていたら、患者さんは、テレビの方を向こうとしますよね?テレビが見づらいように感じれば、ベッド柵につかまって、右腕の力で、強引にからだの向きを変えようとするはずです。

 

 

 

 

そこで、褥瘡の部分の除圧を考えながら、下の図のように、クッションを3つ入れました。

 

 

 

このポジショニングをする時には、主に5つのことを考えています。

 

 

 

① 患者さんが、テレビの方向を向きやすいようにする

② 背中と腰のクッションで、患者さんのからだを支える

③ 患者さんとベッドの間に、隙間がないようにクッションを入れる

④ 左足の重みで、からだが、テレビと反対側に回転しないようにする

⑤ 右手で手すりを引っ張って、からだを軽く浮かすことができるようにする

 

 

 

ポジショニングをする前後を比べてみると、以下のようになりました。患者さんは、テレビを見やすく、看護師や介護士がいなくても、自分の力で、少しでもクッションからからだを浮かすことができる(除圧できる)ようになりましたかね?

 

 

 

ポジショニングを行う時の注意点

 

1.クッションは、3つを目安に使う

病院には、色々なクッションがあるので、患者さんとベッドの隙間をなくそうとして、ついつい、たくさんのクッションを使いがちです。

 

 

 

 

ただ、たくさんのクッションに包まれると、患者さんが動けるスペースがなくなりますし、看護師や介護士がクッションをどのように使って良いかわからないという自体が起こるので、僕は、3つまでを目安に、ポジショングのクッションを使った方がいいと思います。

 

 

2.骨が出っ張っている部分ほど、重さが集中しやすい

からだの中で、骨が出っ張っている部分ほど体重がかかり、重さが集中しやすいです。ずっと、同じ場所に体重がかかり続けると、皮膚の発赤(赤くなる)、不快感、痛み、褥瘡の原因になるので、注意が必要です。

 

 

 

3.体重を一箇所に集中させない

経験上、回復期の片麻痺患者さんでは、仙骨(お尻の骨)や踵骨(かかとの骨)に、発赤や褥瘡などの皮膚トラブルが起こりやすいです。

 

 

 

栄養状態が悪かったり、ほとんど自分でからだを動かせなかったりする患者さんでは、からだにかかる圧力を分散させるマットレス(体圧分散マットレス)を使ってみてください。体圧分散マットレスは、数に限りがあると思うので、他の動けるようになった患者さんのマットレスの使用状況を確認して、適切な人に、適切なマットレスを使うマネジメントも必要ですよ。

 

 

 

 

以下は、日本褥瘡学会がまとめた褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)で報告された内容を一部抜粋したものです。患者さんのポジショニングを行う時のマットレスや体位交換のエビデンス(根拠)として参考にしてみてください。

 

【 B 】=根拠があり、行うよう勧められる
【 A 】=十分な根拠があり、行うよう強く勧められる● ベッド上では、基本的に、2時間ごとの体位交換が勧められる【 B 】● 体圧分散マットレス(粘弾性フォームマットレス)を使う場合には、4時間以内の間隔で、体位交換を行うよう勧められる【 B 】● 褥瘡発生率を低下させるために、体圧分散マットレスの使用が勧められる【 A 】● ベッド上のポジショニングでは、30°側臥位、90°側臥位ともに、褥瘡予防として行うよう勧められる【 B 】

参考・引用:褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)

おわりに

片麻痺患者さんのポジショニングについて、ポジショニングの目的、クッションの入れ方、ポジショニングをする時の注意点を説明しました。

 

 

 

 

ポジショニングでは、褥瘡や拘縮予防が重要です。ただ、回復期の片麻痺患者さんでは、自分の意志で、からだを部分的に動かせるようになってきています。そのため、ポジショニングをする時には、患者さんの「習慣」と「生活環境」を踏まえて、動きやすさを考えないと、ポジショニングの目的が果たせなかったり、患者さんの邪魔になったりします。

 

 

 

 

患者さんの動きを引き出すためにも、「動きやすさ」を考えたポジショニングができると良いと思います。

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