うつ病人の生き方・働き方改革

片麻痺者の座位ポジショニングで、食事動作を楽にする方法とは?

2019/03/01
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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片麻痺患者さんは車いす座位のポジショニングをすることで食事動作が楽になります。

 

 

 

片麻痺患者さんの食事動作を観察すると、左右に姿勢が崩れやすかったり、食べ物に向かう時の前傾する姿勢がとりにくかったりする問題がよく見られますよね。

 

 

 

車いす座位のポジショニングをすると、安定した姿勢で食事ができるようになるので、自分の力で食べたり、味を楽しんだりしやすくなります。

 

 

 

最近の回復期病院では、シート(座面)やバックサポート(背もたれ)が調整できるモジュラー型車いすを使っているところも増えてきていますが、モジュラー型車いすでも姿勢が崩れやすかったり、標準型車いすを使わざるを得ないと、車いす座位のポジショニングに工夫が必要です。

 

 

 


そこで、片麻痺患者さんの車いす座位ポジショニングをして、食事動作を行いやすくする工夫を紹介します。


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片麻痺患者さんの座位姿勢の崩れ方

片麻痺の患者さんは、運動や感覚麻痺、高次脳機能障害等の影響から、姿勢が左右非対照になりやすいです。姿勢が健側の方向ばかりを見ていたり、麻痺側の方に体がねじれていたり。例えば左片麻痺の患者さんの座位は、ちょうど、下の図のような姿勢をしています。

 

 

 

 

まず、麻痺側の左上肢が太ももの方へ下がり、左肩の周辺から左上肢全体が重そうです。麻痺した左上肢の重さがかかるので、左上肢の下側にある左側の体幹部も潰されやすいんです。

 

 

 

左下肢はというと、外側に開いていますよね?運動麻痺による動かしづらさや感覚麻痺による足が床についている感覚がわかりにくいと、何気なく座った患者さんの下肢は、体の外側へと投げ出されている場合が多いんです。

 

 

 

左片麻痺があると、左側に姿勢が崩れやすい事は、なんとなく想像がつきやすいんですが、重要な事は、姿勢が崩れた時に、健側の上下肢がどういう状態になっているか?って事なんです。

 

片麻痺患者さんの座位の崩れ方まとめ
1.麻痺した上肢が重い
2.麻痺した上肢の重さで体幹が潰れる
3.麻痺した下肢が投げ出されている
4.麻痺の影響で、健側にも使いにくさが出る

 

 

先ほどの絵をもう一度見直してみます。健側の上下肢に注目してみてください。

 

 

右上肢が机を押さえて、右足は床について踏ん張っている感じがわかりますか?要するに、麻痺した側に姿勢が崩れる事を防ぐために、一般的に健側に力を過剰に入れて、姿勢を保とうとするのが片麻痺の患者さんの姿勢の特徴なんです。

 

 

 

健側に過剰に力を入れて、姿勢を保つ事に精一杯になると、食事に集中できなかったり、食事の時間を楽しむ余裕が持てません。あるいは、力の入れ過ぎで箸やスプーンが操作しづらく、楽に食べられない。これが、食事動作で見られやすい姿勢の崩れの本質的な問題です。

 

片麻痺患者さんに、車いす座位ポジショニングでできること

片麻痺患者さんの姿勢の崩れを押さえたところで、では車いす座位のポジショニングでは、食事動作をどのように支援できるのかをまとめました。

 

 

車いす座位のポジショニングでできる
① 左右に姿勢を崩れにくくする
② 上体を食事の方へ起こしやすくする
③ 箸やスプーンを適度な力で持てるようにする
④ 嚥下を安全にする
⑤ ①~④の結果、食事の時間を楽に過ごせる

 

 

食事動作に関する車いす座位ポジショングの具体的な対策を説明します。ちなみに、患者さんの姿勢を捉える時には、その姿勢を真似する事で、体にかかる負担を感じやすいので、記事を読んで姿勢をイメージできた部分は、ぜひ体を動かして試してみてください。

 

 

1. 片麻痺側の臀部を支えて、からだを崩れにくくする

1つ目の車いす座位ポジショニングのポイントは、麻痺側のシートの下に、臀部(お尻)を支えるサポートを作る事。
臀部の下から支えを作る事で、力が入りにくく、感覚がわかりづらい麻痺側の臀部や下肢をサポートして、麻痺側方向への姿勢が崩れにくいようにします。

 

 

 

下の絵は、車いすのシートに支持物を入れて、麻痺側の臀部を支えている車いすポジショニングのイメージです。
緑色が車いすのシート、黄色がクッション、その間に見える薄い黒い部分が、サポートとなる支持物として見てください。

 

 

 

 

僕は、シートの下に敷く支えには、段ボールやバスタオルを使う事が多いです。段ボールやタオルを入れて、麻痺側の臀部が健側と同じ高さや向きになるように調整します。

 

 

 

段ボールやバスタオルのおすすめのセッティング方法は、車いす用クッションのカバーの中に、それらを入れてしまい、1つのクッションにしてしまいましょう。クッションと段ボール・タオルが別々になっていると、座り直したり、移乗する時などに、まず間違いなくずれてきます。

 

 

 

くずれたサポートでは、ポジショニングの意味がないばかりか、姿勢の崩れを助長する時もあるので注意してください。また段ボールを使う場合は、むき出しの段ボールのまま使うよりも、ガムテープでぐるぐる巻きにしてから使うと、人が座っても潰れにくい強度が得られますよ。

 

 

 

 

片麻痺患者さんの崩れた姿勢と車いす座位ポジショニングを行った姿勢の違いのイメージが下の図です。

 

 

 

麻痺側の臀部にサポートがあると麻痺側に姿勢が崩れにくいので、健側の上肢や下肢の力も抜けやすいです。机に押しつけたり、踏ん張る事に必死になる必要のない状態は、スプーンを使ったり、食事の時間を楽に過ごしやすくなります。

 

 

 

まだこの状態では、麻痺側の下肢が外側に投げ出されていますが、臀部をサポートしただけでは、麻痺側の下肢は外側に広がったままです。だから、次は、麻痺側の下肢が広がりすぎないように、車いすのポジショニングをしていきます。

 

 

2.片麻痺側の臀部から大腿部にかけて支える

麻痺側の下肢が外側に開いてしまう事は、一概にいけないとは言えません。ただ、麻痺側の下肢だけが外側に開いていると、体を机の方に起こしにくくなったり、健側の下肢だけしか使わない体の動きが習慣になりやすいです。

 

 

 

結果的に、食事を含めた生活動作全般の安定感が悪くなったり、効率が悪くなる場合があるんです。食事動作の時に、車いす上で外側に開いた麻痺側下肢をポジショニングする為には、麻痺側の臀部から大腿部にかけて、サポートするクッションやタオルを入れます。

 

 

 

イメージは、下の図のよう。麻痺側となる左側の臀部から大腿部にそってサポートを入れました。

 

 

 

 

このポジショニングをする時のポイントは、麻痺側の大腿部だけではなく、臀部(股関節)から支えるところにあります。臀部と大腿部は、股関節で繋がっていますので、その股関節を外側から支えてあげる事で、麻痺側下肢を外側に開かないようなポジショニングがしっかりと行えると良いです。

 

 

 

あとは、この麻痺側のサポートに加えて下肢装具を使用したり、床に足の裏をつくように自己管理を促したりして、状況によっては環境調整や動作の指導などのポジショニング以外の戦略が、必要になる場合もあります。

 

 

 

ここまでは、食事動作の車いすポジショニングとして、車いすのシート部分について書きました。さらに、体を食べ物の方へ起こして、食事をしやすくする為には、車いすのバックサポートのポジショニングがあると良いです。

 

 

3.バックサポートのクッションで、からだを前傾しやすくする

車いすのバックサポートにクッションを入れて後ろから姿勢を支えると、患者さんが食べ物を見たり、食べ物を食べようと食事に向かう時に、上体を起こしやすくなります。

 

 

 

クッションを入れる位置の目安は、腰骨のあたり。「腰椎」と呼ばれる部分ですが、わかりやすく言うと、車いすにもたれた時に、背もたれにあたった部分と臀部の間に空いた空間に、クッションを入れてみてください。

 

 

 

下の図が、机の前で座っている患者さんの背中に、クッションでポジショニングをしたイメージになります。

 

 

 

車いすのバックサポートのクッションの位置は、あくまでも「目安」です。経験上、バックサポートの場合は、患者さんの座高や背骨の形による個人差が大きいからです。だから、腰骨のあたりの空間を埋めて、背中全体がバックサポートやクッションに接触し、後ろから支えられている感覚を患者さんが感じられれば、正解だと考えて良いと思います。

 

 

 

バックサポートのポジショニングは、始めは薄く、足りなければ徐々に厚くしていくと良いです。あまりに厚いクッションは、患者さんの体を前に押し出してしまったり、圧迫感で嚥下を妨げたりするので、本人に聞きながら、厚みを調整していくように、注意してくださいね。

 

まとめ

食事動作が行いやすくする為に、片麻痺患者さんに起こりやすい姿勢の崩れと、車いす座位ポジショニングについて書きました。この記事では、麻痺側のシートと麻痺側下肢の外側にサポートを入れたポジショニング、バックサポートにクッションを入れる方法について見てきました。

 

 

 

車いす座位ポジショニングが上手くいくと、食べ物を見たり、口元に運んだり、飲み込む等が行いやすくなり、食事を楽しみながら、栄養摂取が行えると思います。

 

 

 

患者さんの車いす座位ポジショニングの手がかりに、少しでも記事が役立てばと思います。

 

関連記事:【食事動作の動作分析】訓練に繋げるために見るべき4つのポイント

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