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補助手とは?麻痺側の上肢を補助手として生活で使う方法

2019/10/13
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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片麻痺のリハビリでは、麻痺側上肢の状態によってADLや作業活動の自立度が変わってきます。

麻痺側上肢の状態を表す言葉が、「実用手」・「補助手」・「廃用手」です。それぞれ日常生活でどのくらい上肢を使えるかによって分けられています。

この記事でテーマにしている補助手は、麻痺した上肢が「実用手ではないが自分の力で物をつかみ、固定し、離せること」上肢のことです

ただ、補助手の定義がわかったとしても、日常生活でどのように使えるか分からないとリハビリにはつながっていきません。

そこで、麻痺側上肢を補助手として日常生活で使っていく方法について説明します。少しでも麻痺側上肢を生活で使うことができれば、患者さんは日常生活が暮らしやすくなりますよ

補助手とは?

以下の表は「廃用手」・「補助手」・「実用手」の定義が書いてあるものです。引用した文献自体は古いですが、上肢の機能を理解するためにはわかりやすいと思います。

リハビリテーション技術全書(第2版) 服部ら 医学書院1984

この文献を参考にすると、補助手とは「実用手ではないが自分の力で物をつかみ、固定し、離せる」上肢のことです。つまり、麻痺側の手指を伸ばせない場合が補助手です。

では、補助手は日常生活でどのように使うことができるのでしょうか?

麻痺側上肢を補助手として使っていくには、日常生活でどのような使い方をしていけるか知っておく必要があります

補助手の3つの使い方

補助手の使い方は、主に次の3つです。

補助手の使い方
① おさえる:紙やシャツをおさえる
② はさむ :タオルや新聞をはさむ
③ かける :袋や杖をかける

特に回復期の患者さんの上肢は、日々回復していきます。回復の仕方やスピードは人それぞれですが、使えるところはどんどん使って、できるようになった動きはたくさん動かした方がいいです。

僕の経験では、多くの患者さんが「元のように動かせるまで上肢を使わない」人が多い印象があります。麻痺側上肢を使わない期間が長くなるほど、患者さんは麻痺した上肢を使わない習慣がつきますし、動かさない上肢は廃用しますよね。

だから、リハビリでは患者さんの回復をみながら、麻痺側上肢を補助手として使っていく方法を訓練・指導する必要があるのです。

補助手の使い方① おさえる

補助手はまず、物を「おさえる」ことに使うことができます。麻痺側上肢で物をおさえられると、次のような作業が行いやすいです。

● 紙をおさえて、健側で字を書く

● シャツをおさえて、自分が着やすいようにシャツの向きを整える

● 補助手を支えにしながら、健側の手で作業ができる(テーブルを拭くなど)

ただ、患者さんによっては、物をおさえる時に麻痺側上肢を使いたがらない人もいます。上肢は下肢と違って、片手でどうにかできる作業が多いです。

例えば、健側で字を書く時には、文鎮(ぶんちん)のような重りがあれば、麻痺側上肢を使う必要がありません。

そうなると、麻痺側上肢が使わない習慣が身につき、上肢の回復が遅れがちです。

※中枢神経系は、代償に基づいた運動スキルを用いることで、楽に目標を達成できることを見出すと、その運動指令を優先し、それはしばしば機能障害を有する肢の参加を排除してしまう。
引用:運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践第2版in DVD
たぐ
要するに、人間のからだは、自分のからだであろうと使わなければ「使わないことを学習」していきます

物をおさえる動きは、麻痺が回復してきてから比較的早い段階で行えるので、患者さんがおさえる動きを習慣的に行えるように促したいです。

補助手の使い方② はさむ

麻痺側上肢が回復してると、脇(腋窩:えきか)や前腕を使って、物をはさむ動作ができるようになってきます。例えば、次の2つの動作ができると、日常生活が便利になりやすいです。

● からだと脇の下でタオルをはさむ

● からだと脇の下で新聞をはさむ

こういったはさむ動作ができれば、立った姿勢で作業が行いやすくなります。

たぐ
立った姿勢の時に、麻痺側上肢で物をはさめると、健側が自由になるので色々な作業がしやすくなります

入院中の患者さんであれば、タオルや新聞をはさむくらいしか使い方がないかもしれません。

でも退院後の生活を考えた時には、「物を持った状態でドアを開ける」、「物をはさんで家の中を移動する」などができるようになります。物を持って立った姿勢で作業ができると、わざわざ座ったり、物を置いてから作業したりする手間がなくなりますよね。

ちょっと昔話をすると、以前男性の患者さんで冷蔵庫から取り出した食パンの袋を脇にはさめたから、奥さんの朝食の準備を手伝えた方がいました。ちょっと物をはさめることができるだけで、活動の幅が広がっていきます。

また、多くの片麻痺患者さんにとって、脇や前腕に物をはさむ動きは、行いやすい動きです。少し専門的な話になるのですが、麻痺した上肢は「屈曲共同運動パターン」という一定のパターンの動きが出しやすくなります。

上肢の屈曲共同運動パターン
肩甲骨は後退し、肩甲帯は下制する
肩関節は内転し、内旋する
肘関節は屈曲し、前腕は回内する
手関節は屈曲し、いくらか尺側偏位する
手指は屈曲し内転する
拇指は屈曲し内転する
※一概にこの限りではないが、臨床ではよく見られる運動のパターン

引用: ステップス・トゥ・フォロー 改訂第2版

たぐ
簡単に言うと、からだの方に向かっていく動きが、全体的に行いやすいんです。

麻痺側上肢の動きの特徴を考えながら、はさむ動きを訓練するようにしましょう。

補助手の使い方③ かける

3つ目の方法は、前腕や手指に物を「かける」ことです。具体的には次のような作業があります。

● 指に杖や杖ひもをかける(持つ)

● ペットボトルを持つ

● スマホを持つ

● ビニール袋をかける     など

指を曲げたり、指の力を抜いたりできる患者さんでは、麻痺した手指を伸ばすことができなくても、色々な物を手指や前腕にひっかけて使うことができるのです。

基本的には、健側で物を持って麻痺側上肢にひっかけるような形で使うことになると思います。そのため、物に合わせて麻痺側上肢の力加減を調節できるように訓練すると、物をかけたり健側に持ち替えたりしやすくなりますよ。

材質や形、重さが違う物品を色々と使いながら、前腕や手指の力加減を知っていけると良いでしょう。

「補助手」・「廃用手」の表現で気をつけること

療法士は、日常的に「補助手」・「廃用手」という言葉を使いますが、これらの言葉を使う時には注意する必要があります。というのも、聞く人によっては「日常生活で使えない手」というイメージを持たれることがあるからです。

「補助手」・「廃用手」・「実用手」の定義は、カンファレンスで患者さんの状態を説明したり、何か研究活動をしたりする時には必要になるかもしれません。

ただ、リハビリをする時には、言葉の定義よりもどういった形であれば麻痺側上肢を使えるか考えることの方が重要です。

そういった意味から、個人的には、患者さんの生活の中で、何かしらの形で麻痺側上肢を使えるのであれば補助手と考えるようにしています。

まとめ

補助手とは「実用手ではないが自分の力で物をつかみ、固定し、離せる」上肢のことです。

リハビリで重要なことは、患者さんが今のからだの状態に合わせて、麻痺側上肢の使い方を学習していくことにあります。麻痺側上肢を使わなければ使わないことを学習したり、廃用が進んだりしていく可能性が高いです。

患者さんに「こういう使い方ができるんだ!」と気づいてもらい、生活で使っていってもらうようにリハビリを進めていくようにしましょう。

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