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ICFの参加とは?参加の制約があるうつ病当事者の作業療法士が説明するとこうなる

2019/10/19
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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参加って…何なの?!

 

作業療法士をしていると、たびたび教育指導者に言われるお決まりの一言があります。「もっと、患者さんの社会参加を考えて」と。

 

担当した患者さんの状態について整理する為に、ICF(国際生活機能分類)を使うことが多いでしょう。ICFを使って患者さんの状態をまとめていくと、必ずぶつかる壁が、「活動と参加」の考え方ではないでしょうか?

 

「活動と参加」は、一緒にして考えられることも多いです。この時、患者さんの参加についてしっかりとイメージできると、何の為に、どこに向かってリハビリテーション(社会復帰)をおこなっていくのかがわかりやすくなります。

 

患者さんの参加について考えられるようになると、いつも行っている作業療法が、単なる機能訓練や病院限定でしか行えない活動の訓練ではなく、退院先の生活を見据えたリハビリになるでしょう。

 

この記事は、作業療法士の僕がうつ病で3ヶ月間、自宅療養していた経験を通してにして、ICFを使った患者さんの参加の考え方について説明します。

 

僕自身が参加の制約を受けていたので、読んでいただければ、患者の観点からICFの参加がイメージできるでしょう。

ICFの参加は、人生をどう生きていくかということ

「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」(日本語版)によると、ICFの参加は、以下のように記載されています。

 

● 参加とは、生活・人生場面への関わりのこと

● 参加制約とは、個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのこと

引用:厚生労働省ホームページ

 

たぐ
何となくわかるように気もしますが、これではよく意味がわかりません。

 

そこで、ICFの参加の定義について、僕なりの解釈を示すと、次のような2つのポイントを絞り出すことができました。

 

【 ICFの参加のポイント 】

① 人生に関わる問題であること

② 人が「困っている」と感じる生活の問題であること

 

作業療法士として担当の患者さんの目標を考える時には、色々な目標や問題が考えられるでしょう。

 

ある患者さんにとっては、「料理をして、家族に夕飯を食べさせること」。またある患者さんにとっては、「近所の友達と、近所の公園でグラウンドゴルフをすること」。社会参加とは、それができなければ生きている意味(生きがいや自分の役割)を感じられなかったり、楽しみを感じられないような物事のことです。

 

わかりやすいのは、料理です。

 

例えば、60歳で専業主婦をしている女性の患者さんであれば、料理ができなくなると、家族に料理が作れないという問題になったとしても、60歳で、奥さんが元気な亭主関白の旦那さんだったら、別に料理ができなくても困らない可能性が高いです。

 

つまり、作業療法で参加を考える時には、その作業が患者さんの人生においてどういう意味を持っているのかについて考えることが重要です。

 

ICFの参加の具体例 あるうつ病患者の場合

ICFの参加をイメージしやすくする為に、僕が会社を休職して、3ヶ月間自宅療養していた時の社会参加の状況と参加の制約を表にしました。

 

ICFの参加の例.jpg
positive:参加の状況negative:参加の制約

 

この表だけを見ると、ある気持ちが湧いてくることでしょう。

で?だから?!
たぐ
  そうなんです。ICFの参加の状況を知り作業療法に活かしていく為には、現在の社会参加の状況(positive)や参加の制約(negative)を知るだけではダメなんです。

 

参加の状況や制約を知るだけでは、情報をまとめられたことに作業療法士が満足するだけで、患者さんのための訓練やリハビリにはつながっていかないのです。

 

患者さんの訓練やリハビリに活かしていく為には、もっと患者さんが置かれている状況を知る必要があります。そこで、次はICFの参加以外の因子の意味合いも一緒に見ていきましょう。

 

ICFの参加を理解するために、知っておく必要がある情報

患者さんの参加を理解し、情報を訓練やリハビリに活かすためには知っておく必要がある情報があります。それが健康状態、個人因子、環境因子です。

 

① 健康状態

健康状態とは病気やケガ、ストレスの状態などのことです。健康状態が違えば、社会に参加する方法や参加するタイミング、参加できるレベルなどが変わってきます。

 

例えば、僕のようなうつ病患者は、症状が回復してくると体を動かせてくるわけですが、精神の状態が安定していないと会社でデスクワークもできません。

 

少しのストレスで不安や焦燥感を感じやすいですし、うつ病の再発を予防する必要もあります。

 

一方で、足の骨折をした患者さんは、会社と家が近かったり車いすで外出ができたりすれば、デスクワークから始めて社会参加ができる可能性もあるでしょう。

 

このように患者さんの健康状態が違うと、同じような参加の制約が見られても、社会参加が可能であったり参加する方法などが変わってきたりするんです。

 

② 個人因子

個人因子は、ICFの参加を考える上でもっとも重要な要素です。なぜなら、個人因子は、患者さんが今まで培ってきた人生観や価値観そのものだからです。

 

● 何が好きか

● 何に価値を感じるか

● どんな時に楽しいか

 

個人因子は、要するにご本人が人生をどう過ごしていきたいかということに、深く関わっています。年齢や生まれた時代背景、経験のある仕事、趣味・嗜好など、色々な個人を作っている因子で、ICFの参加が変わってきます。

 

例えば、僕は30代で休職中の男性ですが、専業主夫という社会参加の方法を選びたいと思っていません。現在、5歳の娘がいることもあって、「働いているお父さんでいたい」という価値観が、僕という患者には強くあるんです。

 

患者の考えや価値観が違えば、目標とする仕事や家庭の役割、老後の娯楽なども変わってきます。

 

③ 環境因子

環境因子はどんな家に、誰と住んでいるか等、患者を取り巻く環境です。環境因子は、ご本人の役割を知る上で重要です。

 

患者さんが、周囲や社会にどんなことを必要とされているのか?

 

本当の意味で、自分の好き勝手だけで生きている人はいないですでしょう。気づかいなところで誰かに必要とされているかもしれないですし、意識していないだけで他人がいるから成り立っているのが、人間の生活というものです。

 

例えば、夜中に小腹が空いてお菓子を食べられるのは、コンビニで働いてくれている人やお菓子を製造してくれている人がいるからです。大げさな例えではありますが、人間ひとりだけで生活が成り立つなんてことは、現実的には考えられません。

 

どんな環境で生活しているか、生活していくかによって、その環境における患者さんの役割が変わってくるのです。

 

ここまで、患者さんの作業療法をしていくために、ICFの参加について説明しました。社会参加を理解する為にも、事前に、健康状態、個人因子、環境因子を知る必要生についてお話しさせていただきました。

 

まとめみると、ICFの参加では、

① 今(あるいは今後)の健康状態で

② どういう自分でありたいのか

③ どんな役割を求められているのか

という視点で考えると、ご本人の社会参加の支援を考えた作業療法を行っていけると思います。

 

ICFの参加から考えたうつ病患者の支援

では、うつ病で休職中の僕の場合であったら、ICFの参加の支援にどう繋げていくかを考えていきましょう。以下は、先ほどのICFの参加の例に、自分の健康状態、個人因子、環境因子を簡単に載せたものになります。

 

ICFの参加の具体的な例.jpg

 

で示した部分は、僕(患者)が今後もやりたい・続けたいと思っていることになります。

 

この患者(僕)はうつ病になる前から、ブログを書くことを趣味にしていて、他にも旅行など、家族との休日を過ごす時間を大事にしていたようです。

 

で示した部分は、この患者が今後の自分の人生においてやる必要生があると感じている役割です。患者は、住宅ローンの返済真っ只中、子どもも小さいので、どうにかして、収入を得る手段が必要のようです。

 

ここまで明らかになってきたら、あとは、

本人や環境のどこを変えていくか

まわりの人にどこを支援してもらうか

です。

 

僕は、父親としても、収入を得る点でも復職はしたいしする必要性を感じているので、もしも担当の作業療法士から、「専業主夫でいいでしょ?」って提案されたら間違いなく怒ります。

 

だからあなたが作業療法士なら、例えば、勤務時間やシフトの入り方について、最初は非常勤のような形で働く提案をしてみても良いかもしれません。

 

作業療法士以外の職業ではダメなのか?作業療法士を続けるにも、担当の患者さんを持たないなどの働き方はできないのか?そういう働き方改革の提案も良いかもしれません。

 

あとは、作業療法士から、仕事と家族サービス、趣味の時間と労力の配分を一緒に検討したり、うつ病が再発しないように、自分の気分や考え方と上手く付き合っていけるような心身機能・活動レベルの変化を考えても良いでしょう。

 

今回は、作業療法に限ってICFの参加の話をしてきましたが、患者さんの社会参加の支援は1職種ではできません。

 

色々な職種が関わらないと患者さんの参加を実現できないことのほうが多いので、他の職種と一緒に協力しながらアプローチすることも重要です

 

まとめ

ICFの参加について、患者(僕)の立場から支援の考え方を説明しました。「活動と参加」とまとめられてしまうこともありますが、当事者の患者になってみると、社会参加の重要性をすごく感じています。

 

参加は、生きる楽しみ、喜び、生きがい、役割など、人間の中核をなす部分です。

 

作業療法を行っていくのであれば、「活動と参加」を曖昧にせず、いつでも患者さんの気持ちを汲み取りながら、社会参加へのアプローチを考えていきたいです。

 

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