うつ病人の生き方・働き方改革

ICFの参加について、参加の制約がある当事者が説明するとこうなる

2019/09/17
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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「なんだよ!『参加』って?」

 

 

 

作業療法士をしていると、たびたび教育指導者に言われるお決まりの一言がありますよね。「もっと、患者さんの社会参加を考えて」と。担当した患者さんの状態について整理する為に、ICF(国際生活機能分類)を使うことが多いと思います。ICFを使って、患者さんの状態をまとめていくと、必ずぶつかる壁が、「活動と参加」の考え方ではないでしょうか?

 

 

 

「活動と参加」は、一緒にして考えられることも多いですけれど、患者さんの参加について、しっかりとイメージできると、何の為に、どこに向かってリハビリテーション(社会復帰)をしていくのかがわかりやすいですよ。

 

 

 

 

患者さんの参加について考えられるようになると、いつも行っている作業療法が、単なる機能訓練や病院限定でしか行えない活動の訓練ではなく、退院先の生活を見据えて、リハビリになります。

 

 

 

この記事は、作業療法士であった僕が、うつ病で3ヶ月間、自宅療養していた時を具体例にして、患者さんの参加の考え方について、説明しています。僕自身が参加の制約を受けていたので、読んでいただければ、患者の観点から、ICFの参加がイメージできるようになると思います。


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ICFの参加は、人生をどう生きていくかということ

「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」(日本語版)によると、ICFの参加は、以下のように記載されています。

 

● 参加とは、生活・人生場面への関わりのこと

● 参加制約とは、個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのこと

引用:厚生労働省ホームページ

 

 

…なんとなく、わかるような気もするけれど…

 

入ってこない!

 

 

ICFの参加の定義について、解釈してみると、ポイントは2つありそうです。

【 ICFの参加のポイント 】

① 人生に関わる問題

② 人が「困っている」と感じる生活の問題

 

 

作業療法士として、担当の患者さんの目標を考える時に、色々な目標や問題が考えられますよね?ある患者さんにとっては、「料理をして、家族に夕飯を食べさせること」、またある患者さんにとっては、「近所の友達と、近所の公園でグラウンドゴルフをすること」

 

 

 

つまり、社会参加とは、それができなければ、生きている意味(生きがいや自分の役割)を感じられなかったり、楽しみを感じられないような物事のことではないでしょうか。

 

 

 

わかりやすい具体例は、料理です。例えば、60歳で専業主婦をしている女性の患者さんであれば、料理ができなくなると、家族に料理が作れないという問題になったとしても、60歳で、奥さんが元気な亭主関白の旦那さんだったら、別に料理ができなくても困らないでしょうね。

 

ICFの参加の具体例 あるうつ病患者の場合

ICFの参加をイメージしやすくする為に、僕が休職し、3ヶ月間自宅療養していた時の社会参加の状況と参加の制約を表にしました。

 

ICFの参加の例.jpg
positive:参加の状況negative:参加の制約

 

この表を見ると、ある気持ちが湧いてきませんか?

 

 

で?!だから?って…。

 

 

そうなんです。ICFの参加の状況を知り、作業療法に活かしていく為には、現在の社会参加の状況(positive)や参加の制約(negative)を知るだけではダメなんです。作業療法に活かしていく為には、患者さんが置かれている状況を知らなければならないんです。

 

ICFの参加を理解するために、知っておく必要がある情報

患者さんの参加を理解する為には、知っておく必要がある情報があります。それが健康状態、個人因子、環境因子です。

 

① 健康状態

健康状態は、病気やケガ、ストレスの状態などです。健康状態が違えば、社会に参加する方法や参加するタイミング、参加できるレベルなどが変わってきます。

 

例えば、僕のようなうつ病患者は、症状が回復してくると体を動かせてくるわけですが、精神の状態が安定していないと、会社でデスクワークもできません。少しのストレスで不安や焦燥感を感じやすいですし、うつ病の再発を予防する必要もあります。一方で、足の骨折をした患者さんは、会社と家が近かったり、車いすで外出ができれば、デスクワークから始めて、社会参加が可能になるかもしれませんよね。

 

このように、患者さんの健康状態が違うと、同じような参加の制約が見られても、社会参加が可能であったり、参加する方法などが変わってくるんです。

 

② 個人因子

個人因子は、ICFの参加を考える上で、もっとも重要な要素です。なぜなら、個人因子は、患者さんが今まで培ってきた人生観や価値観そのものだからです。

 

● 何が好きか

● 何に価値を感じるか

● どんな時に楽しいか

 

個人因子は、要するにご本人が、人生をどう過ごしていきたいかということに、深く関わっています。年齢や生まれた時代背景、経験のある仕事、趣味・嗜好など、色々な個人を作っている因子で、ICFの参加が変わってきます。

 

 

例えば、僕は30代で休職中の男性ですが、専業主夫という社会参加の方法を選びたいと思っていません。現在、5歳の娘がいることもあって、「働いているお父さんでいたい」という価値観が、僕という患者には強くあるんです。

 

③ 環境因子

環境因子は、どんな家に、誰と住んでいるか等、ご本人を取り巻く環境です。環境因子は、ご本人の役割を知る上で、重要です。ご本人が、周囲や社会に何を必要とされているのか?

 

 

本当の意味で、自分の好き勝手だけで生きている人は、いないですよね。誰かに必要とされているかもしれないですし、気づいてはいないだけで、誰かがいるから成り立っているのが、人間の生活というものです。

 

 

例えば、夜中に小腹が空いて、お菓子を食べられるのは、コンビニで働いてくれている人やお菓子を製造してくれている人がいるからです。大げさな例えではありますが、人間一人だけで、生活が成り立つなんて事は、現実的には考えられませんよね。

 

 

 

ここまで、患者さんの作業療法をしていく為に、ICFの参加について説明しました。社会参加を理解する為にも、事前に、健康状態、個人因子、環境因子を知る必要生についてお話しさせていただきました。

 

 

まとめみると、ICFの参加では、

① 今(あるいは今後)の健康状態で

② どういう自分でありたいのか

③ どんな役割を求められているのか

という視点で考えると、ご本人の社会参加の支援を考えた作業療法を行っていけると思います。

 

ICFの参加から考えたうつ病患者の支援

では、うつ病で休職中の僕の場合であったら、ICFの参加の支援にどう繋げていくかを考えてみました。以下は、先ほどのICFの参加の例に、自分の健康状態、個人因子、環境因子を簡単に載せたものになります。

 

ICFの参加の具体的な例.jpg

 

で示した部分は、僕(患者)が、今後もやりたい・続けたいと思っていることになります。患者(僕)は、うつ病になる前から、ブログを書くことを趣味にしていて、他にも旅行など、家族との休日を過ごす時間を大事にしていたようです。

 

 

で示した部分は、僕(患者)が今後の自分の人生において、やる必要生を感じている役割です。患者は、住宅ローンの返済真っ只中、子どもも小さいので、どうにかして、収入を得る手段が必要のようです。

 

 

ここまで明らかになってきたら、あとは、

 

どこを変えていくか

どこを支援してもらうか

 

です。

 

 

 

僕は、父親としても、収入を得る点でも、復職はしたいしする必要性を感じているので、もしも担当の作業療法士から、「専業主夫でいいでしょ?」って提案されたら、間違いなく怒ります。

 

 

 

例えば、勤務時間やシフトの入り方について、最初は非常勤のような形で働く提案をしてみても良いかもしれません。作業療法士以外の職業ではダメなのか?作業療法士を続けるにも、担当の患者さんを持たないなどの働き方はできないのか?そういう働き方改革の提案も良いかもしれませんね。

 

 

 

あとは、作業療法士から、仕事と家族サービス、趣味の時間と労力の配分を一緒に検討したり、うつ病が再発しないように、自分の気分や考え方と上手く付き合っていけるような機能・活動レベルの変化を考えて見ても良いと思いますよ。

 

 

 

作業療法士に限って、ICFの参加の話をしてきましたが、患者さんの社会参加の支援は、1職種ではできません。色々な職種が関わって、参加を実現させる為には、リハビリでも、看護・介護でも、何かしらの変化・アイディアが必要ですね。

 

まとめ

ICFの参加について、当事者(患者)の立場から、支援の考え方を説明してみました。「活動と参加」とまとめられてしまうこともありますが、当事者の患者になってみると、社会参加の重要性をすごく感じています。

 

 

参加は、生きる楽しみ、喜び、生きがい、役割など、人間の中核をなす部分です。作業療法を行っていくのであれば、「活動と参加」を曖昧にせず、いつでも、患者さんの気持ちを汲み取りながら、社会参加へのアプローチを考えていきたいです。

 

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