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更衣動作の分析│見るべき3つのポイントと袖通しの訓練方法を紹介

2020/01/17
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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片麻痺の患者さんが更衣動作を獲得するためには、療法士はしっかりと動作分析をし、問題となる動きを抽出しなければなりません。

 

ただ、他のADLに比べると更衣動作は複雑で、分析が難しく感じることも多いです。どこにポイントを絞って評価すれば良いかわからないと、なかなか訓練すべき動きがわからないものです。

 

そこで、片麻痺の患者さんが更衣動作を獲得するために動作分析をするポイントと、特に問題となりがちな袖通しの訓練方法について紹介しましょう。

更衣動作を分析する3つのポイント

「前開きシャツ」を使って更衣動作をする時のポイントは、次の3つです。ちなみに、ここでは「前開きシャツ」について動作分析を紹介していきますが、「かぶりシャツ」でおこなう時もポイントは変わりません。

 

麻痺手に、シャツの袖口を通す

更衣動作をおこなう時には、まずシャツの袖口を自分で探す必要があります。療法士からすると、「シャツを探す」のは簡単に思えるかもしれませんが、片麻痺の患者さんでは、この行為が想像以上に難しいです。

 

脳血管障害により、脳のどの部位が傷害されているかによっても変わってきますが、失行などの高次脳機能障害や認知機能障害があると、シャツの前後や左右、更衣動作の方法が理解できなくなってしまうこともよくあります。

 

また、片麻痺が重度であったり、座位のバランスが不良であったりする患者さんでは、運動機能的にもシャツの袖口を通す行為が難しいということも。

 

このように、更衣動作を分析する時には、まずは麻痺手にシャツの袖口を通せるかどうかについて評価してみましょう。

 

麻痺側の肘と肩に袖を通す

シャツの袖口を麻痺手に通してあとは、肘、肩の順番に袖を通していきます。

 

麻痺側の肘や肩の感覚や認知が鈍くなっている患者さんは、高い確率で、袖通しができません。そして、袖通しに失敗した結果、更衣動作ができなかったり、時間がかかったりする患者さんは、とても多いです。

 

療法士は、患者さんがしっかりと① 麻痺側の肘や肩の位置を認識しているか② 麻痺側の肘や肩に袖通しをおこなっているかについて確認しましょう。

 

これら2つのことができていない患者さんは、麻痺側の上肢が三角巾で吊られたような状態になり、更衣動作を失敗します。

 

姿勢を崩さず、一連の動作をおこなう

3つ目のポイントは、更衣の一連の動作をおこなっている時に、患者さんが座位姿勢を維持できるかどうかです。

 

更衣動作とは、座位を維持しながら、からだの前後左右に上肢をリーチ続ける行為です。そのため片麻痺の患者さんでは、単に座っていることはできても、更衣動作で自分のからだが揺れると、姿勢を崩してしまうこともあります

 

患者さん自身が更衣動作を自立する時にはもちろんですが、介護者にとっても、座位姿勢が安定していると、更衣動作の介助がしやすいものです。

 

更衣動作の評価では、患者さんが「どの方向に」「どのくらいの角度まで」姿勢を傾けることができるのかに注意しながら、分析するようにしましょう。

 

袖通しの訓練方法

では、ここからは、片麻痺の患者さんで問題となりがちなシャツの袖通し動作について、訓練方法を紹介していきましょ。

 

シャツの袖口を探して、健手で麻痺手を通す

健手でつかんだシャツの袖口を麻痺手に通す時には、次の問題がよく起こります。

損傷部位 問題
右半球損傷 左側のものに気づかない、シャツを着方がわからない
左半球損傷 シャツの形が理解できない
右半球、左半球どちらでも シャツで隠れた麻痺手の位置がわからない
認知症 シャツの着方がわからない、シャツを着る意味がわからない

 

いずれの問題が見られても、背景にある機能的な原因を考えながら、動作を反復して訓練していく必要があります。ただし、運動麻痺や感覚障害しか見られない患者さんでは、2~3回訓練するだけでやり方が学習できれば、スムースに袖通しできるようになるでしょう。

 

問題になりやすいのは、高次脳機能障害や認知機能障害がある患者さんです。これらの障害を持つ患者さんでは、反復した訓練が必要です。

 

患者さんの立場からすると、「前後・裏表がわかりやすいシャツ」「シャツの袖口に目印がついている」「着慣れたシャツ」などすると、更衣動作がおこないやくなります。

 

高次脳機能障害や認知機能障害がある患者さんでは、できるだけご本人がおこないやすい道具や環境を使って、訓練するようにしましょう。

 

健手で、麻痺側の肘と肩に袖を通す

続いて麻痺手の肘、肩の順番で袖通しをおこなっていきます。

 

重要なポイントは、シャツの袖を肘にしっかり通すことです。この動きができるだけでも、患者さんは更衣動作の自立度が高くなるかもしれません。というのも、麻痺側の肘は、患者さん自身の視覚で捉えにくい場所であるため、感覚障害や高次脳機能障害があると、肘の袖通しをおこなえていないことに気づきづらいからです。

 

訓練では、鏡などを使って、麻痺側の肘や肩にシャツの袖口を通せていないことをフィードバックすると良いでしょう。

 

また、シャツの袖通しをおこないながら、麻痺側の肩甲帯を健手の方向に動かすよう指導すると、袖通し動作がおこないやすいです。シャツの袖通しができず、患者さんが必死になるほどからだに力が入り、麻痺側の肩甲帯は後ろにひかれがちです。麻痺側の肩甲帯が前に出てこない限り、麻痺側の肩に健手が届きにくくなるので、ここは療法士の指導が必要です。

 

麻痺側から健側に、背中側からシャツを受け渡す

最後に、麻痺側の肩に通したシャツを背中側から健側に受け渡します。しっかりと麻痺側の肩にシャツが通っていれば、患者さんにとって、さほど難しい動きではありません。

 

この時に問題となりやすいことは、背中や麻痺側に上肢を頻回に動かすことで、座位姿勢を崩してしまう場合があることです。

 

リハビリでは、単に座っている座位を「静的座位」「静的座位バランスが良い」、上肢や下肢を動かしている状態の座位を「動的座位」「動的座位バランスが良い」と言います。

 

更衣動作では、動的座位バランスが悪いと、上肢の動きに合わせて麻痺側や後方へと姿勢を崩しやすくなります。

 

更衣動作中に、動的座位バランスがうまくとれない場合には、輪やお手玉などを使って、麻痺側や健側、後方など、色々な方向に上肢リーチの訓練をおこなってみると良いでしょう。動的座位バランスのとり方を学習できると、患者さんは、更衣動作をうまくできるようになりますよ

 

色々なシャツで訓練する

更衣動作は、使っているシャツの種類によっても難易度がかわってきます。退院後の患者さんの生活を考えると、病衣やパジャマだけではなく、私服のような色々な形状・素材の衣類を着られる必要があります。

 

普段着を着用できるようになった後は、色々な種類の衣類で更衣動作の訓練をしてみましょう

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