うつ病人の生き方・働き方改革

更衣動作訓練の方法 袖通しが行いやすくなる肩甲帯の使い方とは?

2019/09/17
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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片麻痺患者さんには、更衣動作は行いにくい生活動作のひとつです。リハビリで更衣動作の訓練を行う場合には、麻痺した上肢に袖を通す訓練をくり返したり、患者さんの介護する場合には、肩に痛みが生じないように、注意を深く行う動作ですよね。

 

 

 

特に、シャツの袖通しでは、麻痺側の手に袖口が通ったものの、肘や肩にシャツの袖を通しにくかったり、シャツが引っかかって三角巾で麻痺側の上肢を吊ったような状態になることが、片麻痺患者さんの更衣動作では、よく見られます。

 

 

 

患者さんが健側の上肢を使って、麻痺側の袖通しを頑張るほど、麻痺側の肘や肩は、袖通しが行いにくい後方へと、どんどんと逃げていく。作業療法士として、更衣動作の評価や訓練中に、そんな経験はありませんか?

 

 

 

人間の体や動きの仕組みを学習していない新人療法士の頃は、健側の上肢だけで、袖通しの動作を行っているとイメージしがちです。ところが、片麻痺患者さんの袖通しでは、実は、待ってくれている麻痺側上肢の動きが重要なんです。

 

 

 

例えば、自分の右手で、左肩を掻いて見てください。右手が掻こうとする動きに合わせて、ちょっとだけ、右手側に左肩が寄ってくるのがわかりませんか?更衣動作でも、このように、主に動かしている側とは反対の上肢(特に肩甲帯)の動きが重要になってきます。

 

 

 

この記事では、片麻痺患者さんの更衣動作が、行いやすくなるように、袖通しをする時の肩甲帯の動きについて説明します。


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袖通しの流れと肩甲帯の動き

下の図は、いすの上に腰掛けた人のイメージです。向かって左側が、麻痺側として見ていきます。

更衣 着衣 袖通し.jpg

 

健側(右)の手に衣類を持ちます。麻痺側の手部(手~手関節)に、袖口を通し、麻痺側の肘にかけてまで袖を通せたとします。

 

 

 

麻痺側の手部から肘にかけて、シャツの袖を通した後からは、麻痺や高次脳機能障害などの影響により、個人差が出やすい部分です。肘から肩の袖通しは、注意を払わないと目で見えにくいですし、目で見なくても動作を成功させるためには、麻痺側の感覚や認知が、しっかりと働いている必要があります。

 

 

その為、麻痺側の上肢に、感覚の障害や何らかの理由で、肘から肩にかけての認識が低下している場合には、肘から肩の袖通しを意識せずに行った時に、多くの患者さんは、三角巾で上肢を吊ったような状態になり、これ以降の更衣動作が困難になります。

 

 

 

麻痺側の上肢に、上手く袖が通らずに、袖通しに、ただただ一生懸命になりすぎると、今度は、体が麻痺側に回転してしまい、結果的に、麻痺側の肘から肩への袖通しができません。

 

 

 

いずれの場合であっても、麻痺側の肘から肩への袖が通しやすいようにするためには、麻痺側の上肢を上手くコントロールする必要がありそうです。特に、麻痺側の肩甲帯は、シャツを持った健側の手の方向へと、麻痺側上肢を移動させるためには、重要な体の部位です。

 

 

 

以下は、麻痺側(左側)の肘から肩へと、袖通しを行っていくイメージです。

更衣 着衣 袖通し2.jpg
更衣 袖通し 肩.jpg

健側の手の動きが、麻痺側の肩に向かっていくのに対して、麻痺側の肩甲帯が、健側の手の方へと、寄っている様子が伝わりますでしょうか?

 

 

 

 

麻痺側の肩甲帯の動きだけに注目して、図を書いてみますと、以下のような様子になります。

 

更衣 肩甲帯の動き.jpg

 

健側の手の方向へと、麻痺側の肩甲帯を動かす為には、反復訓練が必要です。多くの患者さんは、両側の上肢を一緒に動かすこと自体で、頭がこんがらがってしまい、速やかに、更衣動作の過程を学習できるケースは稀です。

 

 

 

しかし、袖通しの方法を反復して訓練していくと、動作方法を学習し、更衣動作を自立して行える患者さんも、多く経験しています。

 

 

 

また、介護の視点から考えると、患者さん自身に、麻痺側の肩甲帯を動かす習慣があると、更衣や入浴動作の際に、介助に合わせて、前後や左右に肩甲帯を動かせ、袖通しが行いやすかったり、麻痺側の脇の下が洗いやすかったりもしますよ。病院にいる一時的な期間だけでなく、退院後の生活を見据えて、動きの訓練が行えるといいですよね。

 

 

 

 

以下の図は、肘から肩へと、上手く袖通しができた後の行程の図になります。麻痺側の肘から肩に、袖通しが上手くできれば、あとは、健側の手を後ろに回し、シャツを引っぱることで、更衣動作が行えます。参考程度に見てください。

更衣 着衣 背面.jpg

 

まとめ

更衣動作時に衣類の着脱を楽にするポイントとして、袖通しの肩甲帯の動きについて説明しました。

 

 

 

人間の体や動作の仕組みがわからない頃は、麻痺していない側の上肢で、一連の動作を行おうとしやすいですが、実は、待っている側の上肢の動きが、袖通しをする際には重要となります。

 

 

 

もちろん、どの方向に、どのくらい肩甲帯を動かせるかを評価する必要性はありますが、動作の練習や評価ポイントとして、説明した内容が参考になればとも考えます。

 

 

 

更衣を安全に、速やかにできる事で、患者さんが、他の作業に費やせる時間が少しでも増やせると良いですね。

 

関連記事:更衣動作の動作分析で見たい3つのポイントとは?

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