うつ病人の生き方・働き方改革

難しい解説はなし!作業療法における作業分析を解説

2019/09/17
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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作業療法には、作業分析が重要と言われているけれど、どこの書籍や解説を見ても、難しくて解釈できません。
臨床では、作業療法士は、日常的に作業分析を行って作業療法を行っていますが、新人の作業療法士や学生には、作業分析って何?って感じになると思います。
この記事では、作業療法における作業分析をできるだけわかりやすく解説し、作業療法の現場で作業分析を治療に活かせるように書いていきたいと思います。
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作業分析の「作業」とは何か


作業とは、人が行う目的のある活動の全てを指します。
サラリーマンが仕事をする、専業主婦が家事をする、学生が勉強するという大きな枠組みだけでなく、食事をする、友達とおしゃべりする、スマホのアプリでゲームをする等も含まれます。
注意点は、人が行う目的ある活動なので、他人にとって必ずしも意味がある必要はありません。
具体例を2つ挙げてみますね。

僕はyoutubeで昔のゲームの動画見る事にはまっているのですが、ゲームにも興味ないあなたからしたら、その作業には目的を感じるのは難しいかもしれません。
また僕は、毎朝ワックスで髪の毛を整える時に、前髪を左から右に流して整髪する習慣やこだわりがあるのですが、きっと僕以外の人間にとっては、どうでもいい作業だと思います。

つまり、人によって作業というのは、好き嫌い、興味、必要性、習慣、こだわりなどが違うものなんです。
だから、その作業が患者さんやご利用者さんにとっては一体どういう意味があるのか、どういう思いを込めて行っているものなのかを分析する必要があるんです。

作業分析をしてみる、してみるとわかる事


実際に、身近な作業で、作業分析をしてみたいと思います。
テーマは、『スマートフォンでブログを読む』、まさに今あたなが行っている作業そのものです。
作業を分析する時には、行おうとしている作業には、どのような構成要素が含まれているかを知る必要があります。『スマートフォンでブログを読む』という作業を構成する要素をざっとまとめてみました。

作業分析する時に、知る必要ある作業の構成要素
① スマートフォンの場所
② スマートフォンの大きさ、重さ、形
③ スマートフォンの種類、使い方
④ ブログを見つける為のキーワードの選択
⑤ ブログの記事を読む、選択する、理解する



etc

① スマートフォンの場所
スマートフォンでブログを読むには、まずはスマートフォンが必要です。
若い世代の場合は、肌身離さず手に持っているかもしれませんが、高齢の患者さんであると、いつもはカバンの中に入れている事も多いですよ。
作業療法的に言えば、まずは自分でスマートフォンを探せる必要がありますかね?
少なくとも、自分のカバンにスマートフォンをしまっていて、そこからスマートフォンを取り出さないとブログが見れない事に気づけないといけませんよね?
作業を構成する要素がわかると、その作業を行う為に必要な能力が何かを知る事ができるんです。これ、一番重要なところです。
② スマートフォンの大きさ、重さ、形
スマートフォンの大きさ、重さ、形が違えば、それらに合った手の力、手の関節の柔らかさ等も必要になってくるかもしれません。
10代や20代だと、実感が湧きにくいかもしれませんが、病気や障がい、加齢で手が動かしにくくなると、スマートフォンは、意外に重く、両手で扱わないと使えない場合も多いです。
片麻痺になった患者さんでは、片手で利用しやすい程度の大きさのタブレットに変更した方が、『スマートフォンでブログを読む』という作業を達成するには、良いかもしれませんよね。
あるいは、そのスマートフォンの大きさ、重さ、形に合わせて、持っていられるように手の訓練を行うのも、これからの作業療法士には必要な事だと思います。
③ スマートフォンの種類、使い方
スマートフォンの使い方がわからないと、当然、インターネットに接続して、ブログを見ることはできません。
iphone?android?スマートフォンの種類が違えば、使い方も異なりますし、それを理解できるだけの認知機能が必要になりますよね?
インターネットのアプリを開けないのか、そもそも電源を起動できないのか、使い方といっても、どこでつまづくかは、使う人の能力で違ってくるはずです。
④ ブログを見つける為のキーワードの選択
インターネットで自分の探している記事が書かれているブログを見つけるには、検索窓にキーワードを入れる必要がありますよね。
例えば、『作業療法における作業分析』『作業療法士 ブログ』など、探している情報が載っていそうなサイトやブログを検索するキーワードが必要になります。
つまり、スマートフォンでブログを読むという作業には、「ブログを読みたいな」「○○に興味がある」といった自分の興味、情報を探す意欲などの要素も含まれている事がわかりますよね。
例えば、うつ病などの病気で、興味や意欲が減退していると、スマートフォンで情報を探そうとする気力すら湧かなくなります。
だから、治療の一環に作業療法を取り入れて、興味や意欲を改善していくようなリハビリが、行われてたりするわけです。
⑤ ブログの記事を読む、選択する、理解する
スマートフォンでインターネット検索をして、いざ検索結果が表示されていても、そこに書かれた文字の意味やタイトルから自分が必要としていた情報かどうかを見分ける能力が必要です。
認知症のように、認知機能が低下しているだけでなく、脳卒中で起こりうる失語症という症状では、文字の理解が困難になる場合もあります。
他にも挙げられると思います。そもそも、スマートフォンをいじれる体勢になれないといけないよね…とか。
一端、話をまとめると、以上のように『スマートフォンでブログを読む』作業と一言に言っても、探す、読む、理解する、手を動かす等の作業をするのに必要な要素が含まれている事がわかりました。
患者さんやご利用者さんが、やりたい・やる必要性のある作業にどういう要素があるかを割り出していく事が、作業分析の目的であると思います。

作業分析を作業療法に活かす為には、対象者の評価が必要


作業分析によって、患者さんやご利用者さんがやりたい作業、やる必要がある作業の構成要素がわかっても、それだけでは作業療法はできません。
作業分析の結果を活かして、作業療法を行うには、
患者・ご利用者さんの評価が必要です。
例えば、先ほどの『スマートフォンでブログを読む』作業について、起こりそうな問題を書きました。( )内は、ICF(国際生活機能分類)に該当すると思われる項目に分けたものです。
☑ スマートフォンを持っていない
 (個人因子)
☑ テレビと新聞でしか、情報を見ない
 (個人因子)
☑ 他人の書くブログに興味がない
 (個人因子)
☑ 片手が動かず、スマートフォンを持てない
 (心身機能)
☑ ブログを検索するまでの手順がわからない
 (活動)
☑ 棚の上のスマートフォンまで、手が届かない
 (環境因子)
☑ 入院中で、病室でインターネットを使えない
 (環境因子)
続いて、作業療法士として僕の場合だったら、どう対応するかを書いていきます。
個人因子
スマートフォンやインターネット、ブログに興味や見る習慣がなければ、患者さんには『スマートフォンでブログを見る』作業自体をすすめません。そもそも、ブログを見たいという発想自体ないと思いますが。
患者さんには、発症する前の趣味やライフスタイルを聞き出します。昔好きだった遊びや部活動で何をしていたかも、作業療法を行う上では重要な情報です。

※注意
作業分析をする時には、何をやっていたかではなく、やっていた事のどういう要素が好きだったのかです。

例えば…
草野球をしていた
⇒体を動かす作業が好き、男仲間と一緒に活動するのが好き
編み物が好き
⇒黙々とした作業が好き、誰かにつくすのが好き
釣り、バイク、アウトドアなど多趣味
⇒新しい物事に挑戦する事が好き
など、単に「何が好き」なのかが重要ではなく、「どういう要素」が好きだったのか、価値を感じていたのかを評価していけると、その人にあった作業を治療に選択しやすくなると思います。
心身機能・活動
上肢が動かせずにスマートフォンが持ちづらいとすれば、スマートフォンが持ちやすいように、上肢訓練を行っていくと思います。
そのスマートフォンを持つためには、どこの関節を、どの程度の角度に保ったり、動かせるようになれば良いか。もちろん、患者さんの状態によっては、スマートフォンを持つ事が達成できない場合もあります。
スマートフォンを持つ事を達成できない場合でも、『スマートフォンでブログを読む』作業を達成する為に、作業療法の中で、新たな方法を考え、提案したりします。
環境因子
病院や施設の部屋では、患者さんやご利用者さんは、ベッドで寝ながら、あるいは車いすに座って生活する事が多いです。
ベッドの柵やベッドの足で遠くに手を伸ばせなかったり、やりたい活動を環境が邪魔することは結構あるんです。
やりたい作業、やる必要がある作業を達成する為に、自室の環境を変更する事も、重要なリハビリテーションですよ。
少しそれましたが、対象者の状態、個人因子、とりまく環境因子の評価があると、作業分析した結果の作業が、患者さんに適応するのか、どのようにすれば導入できるのかがわかると思うんです。

作業分析した作業と対象者の評価のマッチング【臨床レベル】


最後に、作業分析した作業として、臨床で使われやすいペグボードについて、実際例を書いていきます。

作業分析したペグボードの構成要素
① こまごました作業
② 作業の工程が単調
③ 穴とペグの数が決まっている
④ 色々なつまみ・持ち方ができる
⑤ 子どもっぽいブロックにも見える
⑥ 一方で、つまむ訓練の道具っぽく見える

ざっと挙げたペグボードの作業分析ですが、この作業の構成要素であると、以下に挙げるような患者さんにマッチングしやすいと思います。

ペグボードの構成要素が合いやすい患者さん
① こまごました作業が好き
② 黙々とした作業が好き
③ きっちりとした性格
④ 目新しいもの好き
⑤ リハビリに前向き
⑥ つまみ・持ち方に不自由さを感じている

以上のようにして、
やりたい作業・やる必要性のある作業が、どのような要素を持っているかを作業分析し、同時に、患者さん・ご利用者さんが、どのような機能、能力、個人・環境因子を持っているかを評価し、それらをマッチングすると、作業分析を作業療法に活かしていけると考えています。

まとめ


この記事では、作業療法で使われる作業分析について、できるだけわかりやすく解説し、作業療法の現場で作業分析を治療に活かせるように書きました。
文献のように難しい解説は抜きにして、自分の思うところを書いたわけですが、わかりにくければご指摘いただければと思います。
自分の臨床の経験上でも、作業分析が上手くでき、患者さんにはまったな!と心の底から思えた時が、一番、作業療法が楽しいなって思える瞬間かもしれません。
記事を通して、作業療法における作業分析の理解が深まっていただければと思います。

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