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【作業療法のアプローチ】患者の性格や生活史を訓練にどう取り入れるのか?

2019/09/17
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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「作業療法が難しい…」

「作業療法士だからできることって何だろう…」

 

 

 

作業療法士として、患者さんへのアプローチを考えることは難しいですよね。「他の治療方法ではなく、作業療法で行うべきことは何か?」を考えはじめると、訓練の方向性がわからなくなるものです。

 

 

 

僕は、作業療法を考える時にもっとも重要なことは、患者さんの性格や生活史だと考えています。なぜなら、患者さんの性格や生活史の違いによって、訓練で行う「作業」に違いが出てくるからです。

 

 

 

例えば、きれいに整頓された部屋が好きな人がいる一方で、散らかった部屋が落ち着く人もいるもんですよね。性格の違えば、目的とする作業や目標とする環境が変わってきます。そして、その性格の違いは生活史にヒントがあります。

 

 

 

そこで、作業療法のアプローチに患者さんの性格や生活史を取り入れる考え方を紹介します。


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作業療法士のアプローチで重要になること

僕は、作業療法士のアプローチでは、「患者さんが思い描いている生活」が重要と考えています。患者さんが思い描いている生活によって、「必要な心身機能」、「獲得すべき活動能力」、「実現したい社会参加の形」、「整える環境」が違ってくるからです。

 

 

 

それで、患者さんが思い描いている生活は、人それぞれの性格や生活史で変わってくるんですよね。

 

 

 

例えば、片麻痺になったからと言って、昔から1人の時間が好きで気楽に1人暮らししてきた患者さんに対して、本人の性格や生活史を考えずに、デイケアやデイサービスを薦めるのはいかがなものか?ということです。

たぐ
テリヤキバーガーが好きで注文したのに、フィッシュバーガーがおすすめだからと言って、無理矢理フィッシュバーガーを提供されたら「はっ?!」ってなりますよね?

 

 

 

人それぞれ好みがあるものです。作業療法も、本人に合ったアプローチを考えることが重要です。

 

患者さんの性格や生活史をどう評価するか?

僕は、身体障害や老年期領域で作業療法をしてきた経験があります。自分が作業療法で患者さんの性格や生活史を評価する時には、次のようなことを確認するようにしていました。

 

● 性格に関わること

・几帳面さ(おおざっぱ/細かい)
・誠実さ(きっちり/適当)
・責任感(ある/なし)
・論理的/感情的(考えることが好きか、嫌いか)
・考え方(男性的か、女性的か)
・物事の結果の受け取り方(楽観的/悲観的)
・ストレスとの付き合い方(上手い/下手) など
たぐ
性格によって、例えば細かい作業を好む、細かい作業を嫌うなどの違いが出てきます。また、悲観的に結果を受け取る人では、失敗がないような課題を選ぶ必要がありますよね。逆に楽観的に結果を受け取る人には、意外と失敗をしてもらった方が良い学習になる場合も多いです。

 

● 生活史にかかわること

・年齢
・仕事、主婦歴
・役職経験の有無
・学歴
・部活動の経験
・家族歴(未婚、初婚、離婚、兄弟)
・家族内での役割(子どもの頃、大人になってから)
・趣味(子どもの頃、大人になってから)
・恋愛経験
・交友関係
・戦争体験の有無
たぐ
生活史が違うと、自宅で求められる役割や本人が好む社会生活が変わってきます。僕の経験上は、仕事で役職の経験があり部下からしたわれてきた男性の患者さんは、女性が多い環境(例えばデイサービス、地域のグラウンドゴルフなど)を好む傾向が強い気がしています。

 

 

 

患者さんの性格や生活史は、現時点で獲得が必要な機能や動作能力、将来的に必要と考えられる社会参加の形や環境を考える手がかりになりますよ。

 

 

 

もちろん、一度に評価することはできないので、毎日の作業療法の時間を使って、少しずつ患者さんの性格や生活史を理解していくと良いです。

 

性格や生活史の評価を使った作業療法のアプローチの例

以前行ってみた性格や生活史の評価を使った作業療法のアプローチを1つ紹介します。

 

 

 

僕は、70代くらいの女性(生活史)の患者さんを担当しました。彼女は、仕事をしている娘さんと2人ぐらし(生活史)。脳梗塞を患っていましたが、片手で家具に触れていれば歩行ができる人です。女性の特徴は、昔から心配性(性格)なところがあり、作業をしていても「これでいいんですか?」、「私、迷惑かけていませんか?」という発言をよくしていました。

 

 

 

自宅に退院した後には娘さんが仕事でいない時に、簡単な調理ができる(生活史)ことを目標に、リンゴの皮むきを行うことになったんです。

 

 

 

リンゴの皮むきを作業療法で行う時に、僕は彼女の心配性な性格を考えて、次のような訓練の環境設定をしました。

 

 

・課題の始めと終わりを明確に伝える

・安全にむければいい(形はこだわらない)

・キッチンや道具の使い方にはこだわらない

・きれいにむけなかった時に、OTが反応をしない

・フィードバックは前向きなことだけ伝える

・担当OT以外から、褒めてもらえる機会をつくる

 

 

作業療法を行った時に、このような環境を設定した理由は、心配性な考え方を訓練であおらないようにしながら、本人に達成感や自信をつけてもらいたかったからです。

 

 

 

実際にリンゴの皮むきを行った患者さんは、「皮むきができたのが自信になって、歩いたり、退院にむけた準備をしたりする自信になりました」と言っていました。

たぐ
どこまでの効果があったかは証明できませんが。

 

 

 

これが例えば、訓練をした患者さんが楽観的な性格で、何か問題が起きていても問題に感じないような性格の場合には、フィードバックで問題点を話し合ったり、形が崩れた時に指摘したりするようなアプローチをしたかもしれません。

 

性格は生活史によって違ってくる

性格は何によって作られるのか?遺伝子レベルはわかりませんが、育ってきた環境が影響していることはたしかだと思います。

 

 

・親から受けた言動

・学生時代にやっていたこと

・友人・知人・先輩とのかかわり方など

 

色々な価値観や役割などを経験して、本人の中で性格が形成されていくものだと思っています。だから、生活史を知らないと、本人が物事をどう考えて、現在の生活をするようになったかが理解できないと思うんですよね。

 

 

 

作業療法士は治療に「作業」を使う以上、本人の性格と生活史の理解がとても重要です。

 

 

 

作業療法のアプローチに悩んだ時には、本人の性格や生活史を手がかりにすると良いですよ。

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