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作業療法をトップダウンで考える2つのメリット!

2019/10/19
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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トップダウンって…何?

 

作業療法の目標や計画を立てていると、「トップダウン」や「ボトムアップ」の考え方で悩みますよね。「臨床はトップダウンだよ!」といった具合に実習地の先生から言われて、考え方で悩んだ記憶が僕にもあります。

 

作業療法士として働いてみると、「トップダウン」の考え方にはメリットが多いことがわかりました。

 

「トップダウン」のメリットは、① 目標がわかりやすい ② 患者さんが安心しやすい ことです。ここでは、「トップダウン」で作業療法の目標や計画を立てられるように考え方を説明します。

トップダウンとは?ボトムアップとは?

まず、文献を参考に「トップダウン」と「ボトムアップ」の定義を見てみましょう。

 

【トップダウン】
社会参加を不可能にしている要因(参加制約)にまず着目することで、社会的な役割を維持するために必要な活動制限(技能や遂行パターン)に対処し、最後に活動と参加を可能にする心身機能・身体構造面に焦点を当てる包括方式をtop-down approachという。

(引用 標準作業療法学 身体機能作業療法学)

 
【ボトムアップ】
bottom-up approachとは、心身の要素的機能の評価・治療から始めて、最終的に社会生活への適応をはかる“積み上げ”方式である。

(引用 標準作業療法学 身体機能作業療法学)

 
たぐ
文献で見ると、学生にとっては何を言っているかわかりません。ですが、意外といっていること自体は簡単なので、下にイラストにしてみました。

 

 

どちらも「患者さんの生活が暮らしやすいようにする」という目標には変わりありません。違いは、トップダウンでは目標とする生活や動作から機能的な問題を考える、ボトムアップでは機能的な問題から生活や動作を考えることです。

 

「トップダウン」の2つのメリット

「トップダウン」の考え方には、主に2つのメリットがあります。

 

① 目標をイメージしやすい

「トップダウン」は、患者さんも作業療法士も目標とすることがイメージしやすいです。今後の生活や生活に必要な動作のために作業療法の目標や計画を立てるので、患者さんも作業療法士も「何のために訓練しているか」がわかりやすくなるんです。

 

目標や計画、訓練の内容が理解できると、患者さんも安心してリハビリに取り組めます。1日でも早く退院したい患者さんは、リハビリの目標や計画、訓練の内容が理解できないだけで不安になるもんです。

 

入院している患者さんの気持ちはわかりにくいので、自分に置きかえてみるといいでしょう。

 

● テストがあるから勉強に力が入る

● 期限があるから提出物の作成を焦る

●週末に楽しみがあるからがんばれる

 

リハビリや作業療法も学生生活と一緒で、目標・期限・楽しみ、そういったものが具体的であるほど気持ちが焦ったり、進みたい方向に向かって努力できたりします

 

「トップダウン」で考えることには、そういった精神的なメリットもあります。

 

②目標達成の判断がわかりやすい

「トップダウン」では、目標が達成したかどうかの判断がしやすいです。なぜなら、立てた目標は「できた、できない」で判断できるからです。

 

例えば、トイレの手すりに掴まって、1人で立っていられない患者さんがいたとします。1人で手すりに掴まって立っていられないと、作業療法士や介護士が介助をする時に、ズボンや下着をおろせません。

 

こういった場合「トップダウン」では、例えば次のように考えます。

 

「自宅退院するには自分1人で、または家族と一緒にトイレに行ける必要がある」 → 「まず家族と一緒にトイレに行けなければ1人ではトイレに行けない」 → 「家族と一緒にトイレに行くにはズボンや下着をおろしてもらう必要がある」 → 「ズボンや下着をおろしてもらうには1人で立っている必要がある」 → 「1人で立っているには、立っているためにバランスや筋力をつける必要がある」 → 「トイレで1人で立っているためのバランスや筋力をつけよう!(目標)

 

「トップダウン」で考えれば、「何のために」訓練をするかがわかりやすいです。だから、目標が達成できたかどうかの判断がしやすくなります。

 

「ボトムアップ」のメリット

「トップダウン」が良くて「ボトムアップ」がダメということではありません。作業療法では「ボトムアップ」で考えるメリットもあるんです。

 

① 心身機能の底上げで、予想外の状況に対応できる

「ボトムアップ」は、患者さんの心身機能を底上げして、生活が暮らしやすくするように考えることです。心身機能を底上げする考え方は、目標がわかりにくくなるデメリットがある一方で、「生活の応用力」がつきます。

 

わかりやすい例には、バランス能力があります。患者さんが退院したあとに必要とされるバランス能力は、予想外のことばかりです。

 

● 床に落ちている物を拾った瞬間にインターフォンが鳴る

● 庭の草むしりや芝刈りをする

● 家族が散らかした部屋の中を歩く

など

 

自宅での日常生活では、予想もしていなかった事態がよく起こるものです。入院中に作業療法士が評価・訓練していることは、患者さんの生活のごく一部を見ているに過ぎません

 

そこで、「ボトムアップ」なんです。どのような機能が、どの程度必要となるかわからない。だから、予想外の事態にもできる限り対応できるようにしておくために、バランス能力や筋力などを底上げしておこうとする時には、「ボトムアップ」の考え方をすると良いです。

 

② 将来を想定した準備ができる

患者さんは、退院した後にどのような状態になっていくかわかりません。

 

僕の経験では、退院した後の方が動けるようになる人、ゆっくりと機能が低下する人、転倒や肺炎で再入院する人など色々です。

 

退院した後の方が動けるようになればいいのですが、必ずしもそう上手くはいきません。そのため、機能が低下しないようにしたり、再入院する可能性を下げたりする時には、「ボトムアップ」で考え、入院中からできる限り心身機能のアップをしておくことも重要です。

 

トップダウンとボトムアップは使い分けることが重要

「トップダウン」と「ボトムアップ」は、どちらが良いか悪いかという問題ではなく使い分けることが必要です。

 

作業療法の場合、患者さんのリハビリの目標を立てる時には「トップダウン」、できるだけ機能をアップしておいた方が良いと考えた時には「ボトムアップ」で考えると良いと思います。

 

「トップダウン」と「ボトムアップ」のメリットを活かしながら、患者さんの目標と訓練を考えていけると良いですね。

関連記事:【作業療法のアプローチ】患者の性格や生活史を訓練にどう取り入れるのか?

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