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身体機能の回復が心理面に与える影響

2019/09/17
 
この記事を書いている人 - WRITER -
たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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「先生、今日は報告があります。
麻痺している手が軽くなったんです!」
いつものようにリハビリを始めようとした時、
麻痺した手を反対の手で支えながら、
患者さんが言いました。
若い患者さんですが、
脳卒中で重度の麻痺があり、
自力では上肢や下肢を全く動かせません。
立つ、座るなど、体幹や下肢の回復に比べ、
上肢に何の変化も感じられなかった日々が
続いていた頃でした。
作業療法士としても
上肢の回復が思うようにいかないもどかしさを
臨床ではよく経験します。
入院当初は、非麻痺側で支えても、
挙がらない位に重かった麻痺側の上肢。
実用的な動きは、依然として出ていない状況で、
患者さんは、非常に喜んだ表情をして、
言葉にも抑揚があったんです。
喜ぶ様子を見ながら、
患者さんが機能回復を実感したのだと思っていましたが、
同時に、ひとつの疑問が湧いてきました。
「 本当に機能回復が嬉しかったのか? 」
現時点では、実用的・補助的に、
麻痺した上肢を使って、
何かの作業ができるようになったわけではありません。
専門的に言うと、
起き上がったり、立ち上がりがしやすい、
作業をしている時に姿勢の妨げにならない等、
上肢が軽くなるメリットはたくさんあります。
でも、そのメリットは、
たくさんのケースを経験しているからこそ予測がつく事で、
患者さんが、いきなりイメージできるようには思えません。
身体的な機能回復の裏側には、
何かしらの心理的な影響があるのでは?
この記事では、身体機能の回復が
心理面に与える影響について、
書いていきたいと思います。


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身体機能の回復が「やれた感」を与える


変化を感じない時ほど、辛い事はありません。
頑張って努力をしている、辛い思いをしている
努力や辛さを感じると、
それに見上った結果を求めてしまうし、
結果がついてこないと、
心理的には、落ち込んでいく傾向にあると思います。
変化のない日々に感じる「虚しさや無力感」
身体機能が回復する云々よりも、
自分の行った事で、変化が起こらないと思う事の方が、
ずっと気分を暗くさせ、
現状を不幸に感じさせてしまうのではないでしょうか?
動きはまだ出せていないし、
実用的な上肢の使用という意味では、
現状は変わっていない。
しかし、少なくとも、
自分が行ってきたリハビリで、
「状況を変化させることができた」
重かった腕が軽くなったという身体的な回復は、
自分でも何かの変化が出せたという
「やれた感」が影響しているのだと思います。
そういった心理的な影響が、
機能回復を通して、喜びとなって
表現されていたと考えます。

機能回復が可能性を感じさせる


「自分、もうだめかも」
そのように考え始めれば、
人間はいくらでもマイナスの方向に
考える事ができます。
マイナスな状況に、匙を投げてしまう方が、
過酷な現実に立ち向かうよりも
ずっと楽だからです。
希望や理想。
きれい事のように聞こえますが、
そんなものがわずかにでもなければ、
毎日を生きるだけでも、ただただ辛くなります、きっと。
何か、もっと違う状況が待っているかもしれない
自分自身の可能性を信じられる心理的な影響が、
身体機能の回復にはあるのだと思います。
自己効力感?
専門的に難しい言葉を使わずとも、
自分が努力した事で、何の変化も生まれなければ、
努力をしたり、挑戦する事自体を
辞めたくなる気持ちは、
容易に想像できますよね。

作業療法士の重要な役割


作業療法士の重要な役割は、
生活や人生で大事にしたい事柄を
患者さんが見失わないように
コーディネートする事だと思います。
身体機能の回復が実感できるようになると、
患者さんの意識は、リハビリや生活の目的が、
身体機能の回復に向くような印象があります。
身体機能の訓練や体に関する話をすればするほど。
患者さんが感じた喜びを共感する事は重要ですが、
リハビリが生活のどこに繋がるのか、
繰り返し、伝えて共感していく事が必要です。
「何を楽しみに生きていきたいの?」
時には、そんな直球を投げてみたい。

まとめ


患者さんの身体機能の回復が、
心理面に与える影響について書きました。
身体機能の回復は、
「自分にやれた」「自分にもやれる」という感情を
与えているのだと思いました。
作業療法士の重要な役割は、
身体機能の回復を喜ぶとともに、
患者さんが大事にしたいと思っていた事柄を見失わないよう、
コーディネートしていく事です。
身体が回復しても、
患者さんとは、やっぱり作業の話をしたいですね。

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