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特養の作業療法士の役割とは?リハビリ支援の方法を紹介

2020/01/18
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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特別養護老人ホーム(以下、特養)で働く方のなかには、作業療法士としての役割に悩んでいる人も多いはず。他の施設に比べ、特養で働く療法士は少ないですから、リハビリの内容もイメージしづらいものです。

 

以前、僕は、作業療法士として特養の機能訓練指導員を務めていました。当時も特養で働く作業療法士の情報が少なく、毎日工夫しながらリハビリをおこなったものです。

 

そこで今回は、機能訓練指導員の経験を踏まえながら、特養の作業療法士の役割を紹介します。

特養とは?

まずは、「特養」という介護施設について整理してみます。特養がどのような施設か理解できると、機能訓練指導員としての役割がイメージしやすくなるでしょう。

 

特養とは、65歳以上で、自宅で生活することが困難な要介護者が生活する介護施設です。介護保険のなかでは「特別養護老人ホーム」と呼びますが、老人福祉法では「介護老人福祉施設」と言います。

 

厚生労働省の「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」のなかでは、特養の基本方針は次のように掲げられています。

特別養護老人ホームは、入所者の処遇に関する計画に基づき、可能な限り、居宅における生活への復帰を念頭に置いて、入浴、排せつ、食事等の介護、相談及び援助、社会生活上の便宜の供与その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることを目指すものでなければならない。
(引用 第二条)

 

つまり、自宅復帰も視野に入れながら、できるだけ自立した生活が送れるようにサポートすることが、特養の役割です。

 

特養の機能訓練指導員の役割

特養に勤務する作業療法士は、「機能訓練指導員」としてリハビリをおこないます。機能訓練指導員とは、介護施設で主にリハビリを提供する職種であり、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のいずれかの有資格者が担っています。

 

実は、特養の施設基準では、機能訓練指導員(リハビリスタッフ)の配置が義務づけられていません。そのため、特養によっては、機能訓練指導員が全くいない施設もあります。

 

機能訓練指導員を配置している特養は、「個別機能訓練加算」という加算を取得している施設です。この「個別機能訓練加算」を取得していると、機能訓練指導員が利用者さんごとの個別計画を立案することで、利用者1人につき1日12単位の介護報酬を請求することができるようになります。

 

機能訓練指導員は、ご利用者さんごとの静養の計画を立案しながら、生活能力の維持・向上を図っていきます

 

作業療法士に求められる6つの役割

では、作業療法士は、機能訓練指導員として、特養でどのような役割をおこなっていけば良いのでしょうか?ここからは、作業療法士に求められる6つの役割を紹介していきましょう。

 

個別機能訓練計画書の作成とカンファレンスへの参加

「個別機能訓練計画書」の作成は、特養の作業療法士に求められる重要な仕事のひとつです。利用者さん・ご家族、施設の職員は、この計画書に基づいて心身機能や生活能力を維持・向上する方向性を共有しています

 

もしも利用者さんの生活やご家族のニーズに合わない「個別機能訓練計画書」を作成すると、心身機能や生活能力が低下しやすくなったり、ご家族からのクレームにつながったりするかもしれません。

 

そのため、作業療法士としては、利用者さんの心身機能や生活能力を適切に評価しながら、ご本人に合った個別計画を作成する必要があります

 

また特養では、利用者さんの入所時、入所後1ヶ月、その後は3ヵ月おきにカンファレンスがおこなわれており、そのなかで作業療法士は「個別機能訓練計画書」の説明をおこないます。

 

「個別機能訓練計画書」の作成や説明で注意したいことは、できるだけ一般的な言葉を使って、利用者さんやご家族にサービスの内容を伝わりやすくすることです。

 

専門職が作成する書類はついつい難しい用語を使いがちですが、どんなに良いサービスも、言葉が理解できなければ内容も伝わりません。

 

利用者さんやご家族と個別計画の内容を共有しながら、リハビリを提供するようにしていきましょう。

 

個別リハビリの提供

特養でも、作業療法士の個別リハビリは大切です。

 

例えば、骨折で入院していた方などでは、一時的に個別リハビリをおこなうことで運動機能や生活能力の回復を見込めることもあります。また、個別計画を見直す時には、心身機能やADL能力を評価するためにも個別リハビリの機会が必要になるでしょう。

 

ただし、特養では、基本的には利用者さん90名を機能訓練指導員が1人が担当するので、なかなか個別リハビリの機会をつくることが難しいです。

 

そのため、作業療法士が評価した内容をもとに、マッサージの仕方、介助やポジショニング方法などを介護士に伝達しながら、チームでリハビリをおこなうことが求められます。

 

介護士・看護師への介助指導

特養で働く作業療法士は、毎日のように介護士や看護師から介助方法を相談されます。

 

・歩行の介助方法

・移乗の仕方

・ポジショニングの環境作り

など

 

こうした相談の機会を使って施設全体のサービスの質を向上できるのは、特養で働く作業療法士の醍醐味ではないでしょうか?

 

作業療法士のなかには、リハビリ職としてのキャリアが少なく、介護士や看護師へのリハビリ指導に自信が持てない人もいるでしょう。

 

ところが、実は介護士や看護師の多くは、機能訓練指導員に高いリハビリスキルを求めていません。むしろリハビリの専門職にとって基本的な介助方法やコツを知りたがっていることがほとんどです。

 

ですから、自分の持っている知識や技術を積極的に伝えながら、機能訓練指導員として助言できると良いでしょう。

 

集団リハビリの実施

特養では、個別リハビリのほかに、集団リハビリの時間をつくってサービスが提供できます。「集団リハビリ」と一口に言っても、規模ややり方によって色々な使い方ができます。

 

① 小集団リハビリ

参加する利用者さんが4~5名の小集団リハビリは、ちぎり絵や季節の飾りづくりなどのアクティビティがおこないやすいです。小集団リハビリは、利用者さん同士が顔見知りになりながら、余暇を楽しみやすいところにメリットがあります。

 

参加人数が少ないので、機能訓練指導員ひとりで会場づくりができ、リスク管理をしやすいのもポイントです。

 

② 中~大集団リハビリ

参加する利用者さんが6名以上の中~大集団リハビリは、集団体操やからだを使ったアクティビティなどがおこないやすいです。人数が多いので、にぎやかな雰囲気のなかで活動でき、活気ある環境がつくりやすいところにメリットがあります。

 

ただし、集団体操やからだを使ったアクティビティとは言っても、週に何回も同じ集団でリハビリをおこなうことは難しいので、運動効果は少ないかもしれません。

 

運動機会として集団リハビリをおこなうのであれば、機能訓練指導員以外にも実施しやすい内容を取り入れながら、介護士と協力して頻度を増やしていきたいものです。

 

福祉用具の評価・相談

特養の利用者さんは、介護保険を利用して福祉用具のレンタルや購入ができます。特養には、病院のように福祉用具の在庫が少ないので、利用者さんとご家族は、機能訓練指導員の助言を受けながら福祉用具をレンタル・購入することもよくあります。

 

福祉用具は、肌に直接ふれるものでなければ、購入する前にデモ品を無料でレンタルすることが可能です。そのため、福祉カタログを見て色々なデモ品を試しながら、レンタルや購入を検討すると良いでしょう。

 

イベントへの参加

最近では、イベントをおこなう特養が増えています。

 

利用者さんの活動機会を増やしたり、ご家族と交流する機会をつくったり、施設の売りをアピールしたりと。イベントをおこなうことには、メリットが多いです。

 

機能訓練指導員も、イベントの機会をうまく利用できると、作業療法士らしいリハビリサービスを提供しやすくなります。

 

例えば、

・イベントで使う飾りを小集団リハビリで作成する

・車いすを自走してイベントに参加できることを目標する

など

 

イベントという「参加」機会をきっかけに作業療法を展開していくと、利用者さんの余暇を充実させたり、生活能力を維持・向上させたりしやすくなるでしょう。

 

職場の「レクリエーション委員会」に所属して、イベントを主催してみるのも良いかもしれませんね。

 

利用者さん、ご家族の希望をくみ取る

特養のリハビリの注意点は、利用者さんやご家族の希望をしっかりとくみ取ることです。というのも、特養を利用する方は、病院とは違ったサービスを施設に求めていることもあるからです。

 

わかりすい例をあげると、「歩行能力だけは維持して欲しい」と希望するご家族もいれば、「転倒する可能性が高くなるので歩行訓練はしないで欲しい」と希望するご家族もいらっしゃいました。

 

このように、利用者さんやご家族によって特養のリハビリに対する考えは色々です。

 

まずは、利用者さんやご家族の話をしっかりと聞きながら、それぞれのニーズに合ったサービスを提供するようにしていきましょう。

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