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車いす駆動のためのシーティング 上肢を活かす2つのポイント

2019/09/17
 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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車いすのシーティングに慣れてくると、食事や療養のための静的なシーティングだけではなく、移動を考えた動的シーティングに挑戦したくなりますよね。

 

 

 

患者さんからしても、車いすが駆動しやすければ、自分でデイルームに移動したい気持ちが湧いたりするものです。逆に車いすが駆動しにくいだけで、自分から動くことをあきらめる患者さんもいますよ。車いすを駆動しやすいシーティングには、患者さんの意欲を引き出す影響も大きいです。

 

 

 

僕は、作業療法士として10年間のキャリアがあるのですが、その中でも、片麻痺患者さんのシーティングには、力を入れてきました。というのも、新人の頃は姿勢を見ることが特に苦手で、苦手な姿勢・動作分析を勉強していたら、いつの間にかシーティングに興味が湧き、実践する機会が増えていたんです。

 

 

 

車いすを駆動しやすくシーティングのポイントは、2つです。

 

① 骨盤の入る空間を作る

② 患者さんの脊柱の形に、バックサポートを調整する

 

この2つのポイントを押さえると、駆動しているのに、前に進んでいかない、あるいは、手すりを引っぱって前に進んでいる患者さんが、上肢でハンドリムを持って、車いす駆動をはじめます。

 

 

 

どちらかの一方の上肢でも使える片麻痺患者さんは、ハンドリムを使った方が良いです。無理矢理手すりをひっぱって進むと、体が非対称的になって、立ったり、歩行する妨げになります。また、上肢でハンドリムを操作できれば、下肢の力と合わせることで、前進や方向転換が行いやすくなるからです。

 

 

 

そこで、片麻痺患者さんが、車いすを駆動しやすくなるためのシーティングについて、説明していきます。


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車いすを駆動しやすくするためのシーティングに必要な車いす

そもそも、シーティングをする時には、シートやバックサポートが調整できる車いすが必要です。体に合っていない車いすであると、車いす上で、患者さんの自由な動きを引き出せません。ですから、患者さんの体に、車いすの形を合わせることができる車いすが必要になります。

 

 

シートやバックサポートを調整できる車いすであれば、患者さんの脊柱の形に合わせて、車いすの形を変えることができますよね?自分の脊柱を曲げてみればわかりますが、脊柱の位置によって、上肢の位置は変わってくるのが人間の体です。だから、車いすを駆動しやすいシーティングの為には、脊柱の形に合わせた車いすを使うのです。

 

 

 

ちなみに、シーティングをする時は、車いすを移動や座る道具と思う概念を捨てた方がやりやすいです。車いすは、患者さんにとっての「体幹装具」です。「体幹装具」だと考えると、体に合っていないことで、動きを妨げる道具になりかねないと、容易に想像できますよね。

 

車いす駆動のシーティングを難しく考えない

作業療法士10年のキャリアがあっても、1回の車いす調整で、患者さんの体に合ったシーティングができたことは、ほとんどありません。既製品を患者さんの体に合わせていくこと自体も難しいですし、24時間、座っているだけの患者さん、駆動しているだけの患者さんはいません。

 

 

車いすのシーティングで最も重要なことは、毎日、患者さんの生活を把握しながら、少しずつ、生活に合わせた微調整をすることだと思います。知識が…技術が…と難しく考えて、シーティングで車いすを調整することに躊躇しないで、まず実践していきしょう。

 

 

 

どんなに素晴らしいシーティングの本を読んでも、場数を踏まなければ、シーティングスキルは上達しません。ということで、以下、車いすを駆動しやすいシーティングの2つのポイントを説明します。

 

車いすのシートとバックサポートを調整して、骨盤の入る空間を作る

車いすを駆動しやすくシーティングには、まずは、シートとバックサポートを調整し、骨盤がしっかりとおさまる空間を作ることが重要です。骨盤がシートの奥までおさまっていないと、体幹(上体)を起こしにくくなります。体幹を起こしにくいと、体幹にくっついている上肢は、バランスを保とうと余計な力が入るため、上肢は動かしにくくなります。

 

 

 

下の図は、横から人の体を見た時の脊柱の湾曲を表したものです。脊柱を横から見ると、骨盤の部分が、後方にカーブを描いていることがわかりますかね?この骨盤のカーブに合わせた空間が、シートとバックサポートに必要なんです。

 

 

脊柱の形.jpg

 

「骨盤、骨盤」と言っていますが、厳密に言うと、仙骨が作っているカーブです。マジックテープを調整するときは、シートなら後ろから1~2本目、バックサポートなら下から1~3本目をゆるめると、臀部が車いすの奥まで入り、骨盤が安定するので、試してみてください。

 

 

 

下の図は、バックサポートに骨盤がおさめるように、マジックテープをゆるめた状態です。とりあえず、バックサポートをゆるめて骨盤をおさめても、まだ、バックサポート全体が、脊柱の形に合っていません。

 

骨盤調整後.jpg

 

車いすのバックサポートを調整して、脊柱を支える

車いすのシートとバックサポートに、骨盤をおさめることができたら、次は、脊柱の部分を調整します。下の図は、最初に見た人間の脊柱を横から見た図になりますが、人間の脊柱は、まっすぐではなく、湾曲していましたよね。

 

脊柱の形.jpg

 

この脊柱の湾曲に合わせて、バックサポートを調整し、上肢で車いすを駆動しやすくするためのシーティングには、胸椎の高さでの調整が重要です。

 

 

 

自分でいすに座って、上半身をまっすぐ伸ばし、腰と背中の境目あたりに触れることができる硬い骨を探してみてください。その骨が胸椎の一番下、第12胸椎にあたるのですが、バックサポートの調整では、その骨を下からマジックテープで支えるイメージです。マジックテープの番号で言うと、マジックテープの上から3~4本目程度の高さにあります。

 

胸椎調整後.jpg

 

患者さんによって個人差はありますが、脊柱に著しい変形がなければ、患者さんがバックサポ-トに寄りかかった時に、軽く胸を張った程度が良い姿勢です。

 

 

 

バックサポートで、しっかりと上体を支えることができていると、患者さんの両上肢や頸部などの力が抜けて、筋肉に柔らかみが出ているのがわかりますよ(例えば、胸鎖乳突筋を見てみると、わかりやすいかもしれません)。

 

 

 

軽く胸を張った状態では、ハンドリムを握りやすい方向へと上肢が向くため、上肢を使って、車いすを駆動しやすくなりますよ。

 

車いす座面幅の限界

どんなに、バックサポートを調整しても、解決できない問題がひとつあります。それは、車いすのシートの幅です。患者さんの体に対して、車いすのシートの幅が広すぎると、上肢からのハンドリムまでの距離が遠くなるので、駆動する時に、上肢に力が入れにくくなります。

 

 

 

一般的な車いすのシートの幅は、40㎝ですが、小柄な女性には、ちょっと広すぎる場合も多いです。ハンドリムに手を置いた時に、見るからに脇(腋窩)が開いているようでしたら、シートの幅が小さい車いすへと、サイズ変更を検討してくださいね。

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