回復をあきらめない!うつ病の療養でもっとも大事だと思ったこと
「うつ病は本当に治るのか?」体調に波があると病気の回復を疑ってしまう時もありますよね。調子の良い日が続いたかと思えば、うつ状態に逆戻り。良くなったり悪くなったりする日々は精神的にも追い詰められやすいものです。
僕の場合も、うつ病の回復期に入ってからの約1年半は体調の波が大きかったです。時には自暴自棄になるということも。
うつ病は良くなったり悪くなったりをくり返して回復する
うつ病は、体調が良くなったり悪くなったりをくり返して回復しますが、そもそもどうして右肩上がりに回復していかないのでしょうか?
回復期の症状の波を理解するには、精神科医の中井 久夫医師の話がもっともわかりやすかったので、次の説明を読んで理解を深めてみましょう。
病気がよくなろうとすると、それを引き戻しにかかる力がはたらく。~中略~ これは別に不思議なことではなくて、心も体も現状を維持しようとする力が非常に大きいからです。ホメオスタシス(恒常性)という言葉がありますが、そういうことです。それゆえの揺り戻しですね。~中略~ 回復に向かう変化のときには、「必ず揺り戻しがある」ということを念頭におきながら眺めていく方がいいでしょうね。~中略~ 一気に回復する人もないではありませんが、
中井 久夫(2006).回復期は、からだに注目 精神看護 9(5),72
揺れながら回復していくほうがふつうでしょう。
つまり、回復期に体調が良くなったり悪くなったりするのは自然な反応であり、体は少しずつ調子を整えながら回復に向かっていくということです。
回復を意識しすぎると、何かしらの良い変化がないことで不安な気持ちになるかもしれませんが、うつ病では昨日よりも今日のほうが調子が悪いこともざらにあります。
ですから、むしろ“昨日できたことが今日もできるとは限らない”と構えていたほうが、気持ちを楽に保ちやすいですよ。
回復をあきらめないこと
うつ病の療養中には、薬を飲んだり休息をしたりすることの必要性がよく言われていますが、当事者として僕がもっとも大切だと思うのは「回復をあきらめないこと」です。
療養生活にうんざりする
「うつ病」と一口に言っても、回復にかかる期間は人それぞれです。回復に数年単位の時間がかかる場合もあるので、療養生活がうんざり感じられることもあるでしょう。
僕の場合も病気の症状がなかなか安定しなかったので、いつまで続くかわからない療養生活に嫌気が差す時もありました。
「もうイヤ…誰か何とかして…。」
正直に気持ちを表現するなら、こういった具合です。
「自分のうつ病は」回復しない
それと症状に波があると、うつ病は本当に回復するのか?疑心暗鬼にもなるものです。
僕は、回復期にはツイッターで他のうつ病当事者の方と交流していたのですが、当時は社会復帰なんてツイッターのなかの夢物語に思えてなりませんでした。
・来月から復職が決まった
・主治医から断薬の許可をもらえた
うつ状態がぶり返している時期に療養生活を抜けて前進している人の様子を見ても、気持ちが悲観的になり、「自分のうつ病は」回復しないように感じたんです。
療養を頑張らない
そこで、重要となる考え方が「療養を頑張らない」ことです。
誰でも病気の体を早く治したいですから、療養するにも力が入ってしまいがちです。ところが、病気の回復に必要となる体の免疫力や自然治癒力というのは、闘病を頑張るほど低下する場合があるとも言います。
精神科医の樺沢 紫苑先生は、上手に療養する方法として、体の免疫力や自然治癒力の仕組みを次のように教えてくれています。
頑張れば頑張るほど、症状が悪くなることがあります。それは、闘っているから。闘うほどストレスは増え、免疫力も自然治癒力も低下し、病気は悪くなるのです。闘うことでストレスホルモンと呼ばれるアドレナリンやコルチゾールが分泌され、身体に様々な害を引き起こすからです。
樺沢 紫苑(2015):頑張らなければ、病気は治る.あさ出版
このように、「療養を頑張らない」ほうが、回復しやすくなるように体の環境が整いやすいのです。
実際、僕の場合も一生懸命に良くなろうとするよりも、リラックスしたり、楽しいことに夢中になったりしてからのほうが、体調が良いと思える日が多くなりました。
まとめ
症状が良くなったり悪くなったりをくり返していると、療養生活にうんざりすることもあります。ですが、体は少しずつ調子を整えながら回復に向かっていくので、うつ病の療養生活では回復をあきらめないことが大切です。
また、長くなりがちな療養生活。
科学的にも「頑張らない」ほうが体は回復しやすいと言われていますから、リラックスしたり、楽しいことをしたりしながら力を抜いて過ごしたいものですね。