うつ病の揺り戻しとは?急にぶり返してくる症状悪化の原因と対処方法を紹介
回復期にぶり返してくるうつ状態。
療養中の方のなかには、急な体調不良に悩まされてる人も多いのではないでしょうか?
うつ病の回復期にぶり返してくるうつ状態は、「揺り戻し(ゆりもどし)」と呼ばれます。
ここでは、うつ病の揺り戻しの原因について解説するとともに、対処方法を紹介します。
「揺り戻し」とは?
うつ病の回復期は、ある日突然、強い不安感や無気力感などがぶり返してきます。
このようにうつ状態がぶり返してきた状態を「揺り戻し」と言います。
揺り戻しでぶり返してくる症状は、基本的にはうつ状態の時と同じようなものです。
突然の体調不良があると、ショックを受けてしまう人も多いかと思います。
しかし、神戸大学名誉教授で精神科医の中井 久夫医師によると、うつ病の回復期には必ず揺り戻しが起こると言います。
病気がよくなろうとすると、それを引き戻しにかかる力がはたらく。 ~中略~ これは別に不思議なことではなくて、心も体も現状を維持しようとする力が非常に大きいからです。ホメオスタシス(恒常性)という言葉がありますが、そういうことです。それゆえの揺り戻しですね。 ~中略~ 回復に向かう変化のときには、「必ず揺り戻しがある」ということを念頭におきながら眺めていく方がいいでしょうね。 ~中略~ 一気に回復する人もないではありませんが、揺れながら回復していくほうがふつうでしょう。
言い換えると、揺り戻しによって一時的に体調不良を起こしても、過度に心配をする必要はないと言えるでしょう。
揺り戻しは、必ず起こるからだの反応
そうはいっても、揺り戻しが起こる原因がイメージできないと、不安な気持ちが残るかもしれません。
そもそも、どうして揺り戻しが起こるのでしょうか?
揺り戻しは、からだのなかにある「ホメオスタシス(恒常性)」によって起こります。
恒常性は、からだの中を一定の状態に保っている性質で、これによって体温、血圧、心臓の拍動、呼吸の回数などを維持することができ、生きていけるのです。
ところが、うつ病の人の場合、長くうつ状態が続いたことによって、からだはうつ状態を自分の通常の状態と認識しています。
そのため、うつ病が回復してきても、からだは通常(元)の状態に戻ろうとして、結果的にうつ状態に戻ろうとする揺り戻しが起こります。
このようにして、うつ病は良くなったり悪くなったりをくり返しながら良くなっていきます。
ですから、揺り戻しが起こったからと言って、不安な気持ちになる必要はないでしょう。
揺り戻しが起きた時の対策
では、揺り戻しが起きた時にはどのように対処をすれば良いかというと、一番は「ゆっくり休むこと」です。
揺り戻しは、からだが一時的にうつ状態へ戻ろうとしているだけですから、あがいたところですぐに体調が良くなるとは考えにくいでしょう。
むしろ、「一番悪い時の状態に戻ってしまったのでは?」と焦って無理をしても、かえってつらい状態が長引くだけです。
人によって変わってきますが、揺り戻しは1~3日程度でおさまると言われます。
長く続くようなら主治医に相談する
ぶり返したうつ状態が1~2週間つづくようなら、主治医へ相談したほうが良いでしょう。
というのも、「揺り戻し」と思っていたうつ状態が、実はうつ病の再発の兆候であったり、薬の影響であったりすることもあるからです。
僕の場合は、長くても4日ほどで揺り戻しによるうつ状態がおさまることがほとんどでしたが、主治医からは、「1週間以上も続く時は必ず相談する」ように言われました。
素人では判断しきれない部分も多いので、まずはゆっくり休んで、長く続く時には主治医に相談してみましょう。