「どんなウツも、絶対よくなる」をレビュー!うつ歴18年の保健師による社会復帰の体験談とは?
うつ病になると、自分の気持ちを他人と共感しづらいことに困ります。
人によっては、家族や友人に自分の気持ちを打ち明けられないということもあるでしょう。
他人と共感したり、他人に気持ちを打ち明けられなかったりすると、孤独な気持ちにもなりますよね。
「こんなにつらいのは、自分だけなのかな…」って。
孤独な気持ちになるほど、自分以外の当事者の様子を知りたくなるものではないでしょうか?
他の人の様子がわかると、つらい思いをしているのが自分だけではないと実感できますから、安心感も湧くでしょう。
そこで、僕が共感できた「漫画で描かれたうつ病当事者の体験談」をサクッと紹介します。
うつ歴18年の医療従事者が書いた体験談
著者は、有島 サトエ(ペンネーム)さん。
有島さんは、自身も精神科病院の閉鎖病棟で勤務経験がある元看護師で、現在は保健師の仕事をしながら作家としても活動しています。
有島さんがうつ病になった時期は、第2子を出産し、2人の子どもの育児がはじまった頃。
ちょうどこの時期に、私生活でも大きなトラブルに巻き込まれ、ライフスタイルの変化や日々の忙しさからうつ病を発症したそうです。
うつ病を発症してから、かれこれ18年。
漫画の中では、なぜこんなにも長く、うつ病と付き合うことになったのかをご本人が分析しているのですが、その原因は持ち前の「がんばり屋の気質」にあったと言います。
うつ状態がひどくなったり、療養生活で苦労したりする様子からは、有島さんが、自分を犠牲にしながら生活していた様子を垣間見ることができます。
おそらく多くの当事者が、思わず「あるある!」と共感してしまうことでしょう。
そして有島さんは、18年の歳月をかけ、うつ病と付き合いながら仕事ができるまでに回復していくわけですが、社会復帰できたきっかけというのも、自分で自分の「がんばり屋の気質」に気づけたからでした。
漫画の中では、こんなことも言っています。
うつは「このままではいけないよ」「どこかを変えないと苦しくなるよ」というサインです!
このSOSに気づいて、ちょっとした行動や物の見方を変えてみると、気持ちがとてもラクになるんです
うるっと泣ける感動エピソードも
この本は漫画なので、あまりネタバレしない程度の紹介に留めたいのですが、体験談の中には涙腺がゆるむエピソードもありました。
特に、有島さんが自殺を考えた時のエピソードは、それを実行に移さなかったきっかけとなった息子さんとのやり取りも描写され、死を考えた有島さんの前で見せる息子さんの無邪気な表情に、カフェで読んでいてもうるうるしてしまいました。
「この人のためにも死にたくない!」と思える人がいるのなら、より心が温まる漫画に感じられるかもしれません。
また、有島さんは、認知行動療法や仕事復帰の体験談などについても紹介しています。
うつ病を機に自分の考え方を変え、健康第一でこれからじっくり復職を考えていきたい人には、きっと体験談が参考になるでしょう。
スラスラ読めて、続きが気になる漫画
最近、「マンガでわかる○○」と言って、結構な量の文章を書いている詐欺的な本が多いですけれど、この本の90%は漫画です。
実は、僕自身は漫画よりも活字を好む人間です。
ここ10年は、「海賊王の物語」くらいしかまともに漫画を読んでいません。
この本は、そんな漫画とは縁がない人間でもスラスラ読めて、続きが気になってどんどん読み進めてしまいたくなる本でした。
うつ病になると、集中力や注意力が低下して本が読みにくくなることもありますが、イラスト満載の本書であれば、からだにも負担なく読みやすいでしょう。
といった具合に、つい長々と書いてきましたが、文章が苦手な方に長文で漫画の紹介をしても仕方がありませんよね。ここまで活字を読んでいただき、ありがとうございます。
詳細が気になる方は、ぜひ一度読んでみてください。