足先が冷える原因とは?男性でも気軽におこなえる冷え性対策のススメ
女性だけの悩みだと思っていた冷え。
しかし最近では、多くの男性も足先に冷えを感じていると言います。
冷たい空気やストレスにさらされて起こる「足先の冷え」。
寒気、霜焼け(しもやけ)、疲れやすさやからだのだるさなど。
冷えがきっかけとした色々な問題に、悩まされていませんか?
ここでは、足先のトラブルを改善するために、冷えの原因や対策について紹介します。
目次
男性の4割が「冷え性」に悩んでいる
2016年に、(株)リンナイが20~40代の男女各200名(合計400名)を対象にインターネット調査をおこなったところ、4割の男性が冷え性を自覚していることがわかりました。
また、この調査では、「冷え性の自覚がある」と回答した男性81名に対して、最も冷えを感じているからだの部位を質問してみると、85%の方が「足先」と回答しています。
いままで、足先の冷えについて無頓着だった男性も多いと思われますが、どうやら冷えは、女性だけの悩みではないようです。
どうして足先が冷えてしまうのでしょうか?
冷えた足先では、血液の流れが悪くなっている
足先が冷える原因は、つま先からふくらはぎ周辺の血液の流れが悪くなっているからです。
人間のからだは、血液が循環することで体温を維持しています。「血行を良くする」という言葉があるように、血液が循環しやすいと、体温や免疫機能があがって、からだに色々なメリットをもたらします。
ところが、冷たい空気やストレスにさらされると全身の血液が循環しになり、からだが冷えてきます。
なかでも足先は、次の2つの理由から、他のからだの部位に比べると冷えやすい部分です。
【足先が冷えやすくなる原因】
① 心臓(血液を循環させるための臓器)から距離が遠い
② からだの一番下にあり、重力の影響で、血液の流れが悪くなりやすい
このように、足先は、からだの構造的に血液の流れが悪くなりやすく、冷えやすいのです。
筋肉が少ない女性のほうが冷えやすい
一般的に、男性よりも、女性のほうが冷え性に悩まされやすいです。
これは、男性に比べると、女性のほうが筋肉量が少ないためです。
では、どうして筋肉量が少ないと、からだが冷えやすいのでしょうか?
理由は、筋肉にはからだの中の血液を循環させる重要な働きがあるからです。
人間のからだの中では、心臓がポンプのような働きをすることで、頭や体幹、手足などに血液が送られています。
心臓から送られた血液は、からだの各筋肉の動きによって、心臓へと戻ってきます。
散歩やスポーツなどをおこなって動いた時に、からだがポカポカと温かくなってきたという経験は、誰しもしたことがありますよね。
この理由は、筋肉を動かしたことによって、血液の流れが良くなり体温があがるためです。
つまり、筋肉量が少なかったり、筋肉を動かす機会が少なかったりすると、血液の流れが悪くなるので、からだは冷えやすくなります。
足先の冷えは、放っておくとどうなる?
東京有明医療大学の川嶋教授によると、冷えによって起こる栄養素の供給不足が、からだにダメージを与えると言います。
きちんとした食生活をしていても、体が冷えていると血流が悪いために、体内のさまざまな場所に栄養素が行き届かず、自己修復力が低下します。つまり、からだを回復させる力が弱く疲れをとりきれない、常にからだがだるいという状態に。
ほかにも、足先の冷えは、寒気や霜焼け(しもやけ)などの原因にもなります。
最近では、デスクワーカーにも、霜焼けになる方が増えていると聞きます。
長く座った状態のままで仕事をしていると、足を動かす機会が減るので、血行不良から足先が冷えてきます。
冷えた足先は、赤くなったり、かゆくなったりしていないでしょうか?
実は、僕も一時期、霜焼けに悩まされました。
足先が霜焼けを起こしていると、湯船につかってもからだの寒気がとれなかったり、床に素足をつくと痛みが生じたりしてつらいものです。
このように、足先の冷えを放っておくと、色々な問題が起こります。
【足先の冷えによって起こる問題】 ・疲れやすさ ・からだのだるさ ・寒気 ・霜焼けによる発赤、かゆみ |
いずれの問題にしても、つらい状態を改善するためには、足先の冷え対策が必要です。
足先の冷え対策のポイントは「動かす」「温める」こと
足先の冷えを改善するポイントは、足先を「動かす」「温める」ことです。
動かす
デスクワークが中心で、同じ姿勢をとり続けることが多い方は、普段の生活で、足先の筋肉を動かす機会が少なくなっています。
足の指や足首を動かすと、ふくらはぎからつま先の筋肉を動かすことができ、足先の血液の流れを改善することができます。
温める
床下から底冷えする冬場やエアコンの利いた室内で過ごす時間が長い方は、冷たい空気によって足先が冷えます。
冷えた足先は、熱によって温められると血管が広がり(拡張し)、血液の流れが良くなります。
血液の流れが良くなると、筋肉の働きの源になる酸素や栄養が足先に届き、熱が生み出されやすくなります。
男性も気軽におこなえる冷え対策【5選】
では、足先の冷えを改善する具体的な対策を見ていきましょう。
足の指や足首を動かす
足の裏やふくらはぎは、「第2の心臓」とも呼ばれています。
足の裏やふくらはぎには、「ヒラメ筋」や「長趾屈筋(ちょうしくっきん)」などの筋肉が数多くあり、これらの筋肉が働くと、足先の血液を循環させやすくなります。
足の裏やふくらはぎの筋肉を使うには、足の指や足首を動かす必要があります。
例えば、
・朝目が覚めた直後にのベッドのなかで
・座りながらテレビを見ている時に
・デスクワークの途中で休憩するタイミングで
足の指や足首を曲げたり伸ばしたりすると、普段の生活のなかで、足先の血液を循環させやすくなります。
筋肉というのは、「動かさずにいる」と凝りかたまったり、血液の流れが悪くなったりするので、足の指や足首を動かして、できるだけ筋肉を使うようにしましょう。
湯船につかる
季節を問わずに、男性を湯船につからない方も多いですが、足先を温めてからだの調子を整えるには、入浴が大切です。
温かいお湯によって全身が温められると、血管が広がって血液の流れが良くなりますし、副交感神経(自律神経のひとつ)というからだの調子を整える神経も働きリラックスしやすくなります。
湯船にはるお湯の温度は、体温より少し高い38~40℃が良いとされています。
「より熱いお湯のほうが、保温やリラックス効果があるのでは?」と思われるかもしれませんが、41~42℃以上のお湯になると、血管が縮こまったり、交感神経(自律神経のひとつ)が働いてからだを興奮状態にさせてしまったりします。
湯船につかる時には、リラックスすることも兼ねて、からだに優しいお湯加減に設定しましょう。
「立つ湯たんぽ」で温活
入浴に比べると、足だけを温める「足浴(そくよく)」は、時間や場所をあまり選ばないので、普段の生活にも取り入れやすいです。
ただ、からだのケアをする習慣が少ない男性にとっては、「足浴」のためだけに、専用のケースにお湯をためる行為自体が面倒ですよね。
そもそも、都合の良いケースと保管場所がないということも。
そこで、「足浴」の代わりになるのが湯たんぽです。
湯たんぽは、好きな場所に持ち運んで利用しやすいですし、ケースにフタをする分、「足浴」よりもお湯の熱が逃げにくいことが特徴です。
最近では、縦置きにしても使用できる湯たんぽも売られています。
立つ湯たんぽを使うと、つま先からふくらはぎまでを同時に温めることができるので、足先全体の血液の流れを改善しやすいです。
ちなみに、湯たんぽは、床に直接置いて使うよりも、段ボールや発砲スチロールなどの箱に入れて、ブランケットなどで覆いながら使うと保温力が強まります。
湯たんぽの温活は、手軽にできるので自宅時間におすすめです。
通勤中に「ながらエクササイズ」
通勤中にも、足先を温めるための運動ができます。
歩くことは、下半身全体を動かす運動ですから、通勤しながら、足の指や足首を動かすエクササイズにつなげたいものです。
ただし、何も意識せずに歩いても足先は温まりません。
それというのも、足先を温めるには、足の裏やふくらはぎなどの筋肉をしっかり使う必要があるからです。
歩く時には、つま先で地面を強く蹴ることが大切です。
人間が歩く時には、次のようにして足が動いています。
人間は、歩いている時に、まずかかとを地面につき、次に足の裏のやや外側、それから親指側をつき最後に地面を蹴ります。
歩く時には、親指側をつく時に他の4本の指にも力を入れて、力強く地面を蹴り、意識して足先の筋肉を動かすようにしましょう。
お腹まわりも温める
足先の冷えで悩んでいる男性のなかには、お腹まわりの冷えを感じる人も多いはず。
お腹まわりには、胃や腸をはじめ、からだの働きを支る重要な臓器(内臓)があるので、冷えてしまうとからだ全体の冷えにもつながっていきます。
足先の冷えを改善するためには、お腹まわりも同時に温めていく良いでしょう。
さらに、お腹まわりには、副交感神経の大本もあるので、温めてあげると、ポカポカとした感覚を感じながら、からだをリラックスさせることにもつながります。
お腹まわりを温めるもっとも簡単な方法は、インナーの上から「腹巻き」を身につけることです。
男性用にも黒やグレーの「腹巻き」があるので、自宅用に1枚あると冷え対策をしやすいでしょう。
足先のつらい冷えを解消する便利グッズ
ほかにも、身近なものを使って、冷え対策をすることができます。
厚手の靴下
素材にもよりますが、一般的に薄手よりも厚手の靴下のほうが保温力が高いです。
靴下の厚みが変わるだけで、足元の体感温度はずいぶんと変わります。
注意したいことは、厚手の靴下を持っていないからといって、薄手の靴下を二重に履くことはおすすめできません。
靴下を二重にすると、つま先やくるぶしの血管が締めつけられるので、足先の血液の流れが悪くなり、冷えを助長する可能性があります。
衣料品を扱っているスーパーでも、男性用の厚手の靴下を購入することができるので、お住まいの近くにあるお店を覗いてみると良いでしょう。
ラグ・ルームシューズ
冬場は、フローリングからの「底冷え」によって足先が冷えます。
からだの熱は、足の裏を伝ってフローリングへと逃げていきます。
これを熱の伝導と言うのですが、フローリングにからだの熱が奪われているから、「寒い」、「足が冷える」と感じるわけです。
足の裏からフローリングへの熱の伝導を防ぐには、ラグや絨毯などの敷物を使うと良いでしょう。
もし敷物を購入することが、場所・金銭・時間的に負担がかかるのであれば、ルームシューズ(室内用の靴)を履いてみるという手段も。
足の裏が直接フローリングに触れていないさえすれば、からだから熱が逃げるのを防ぐことができます。
ブランケット(膝かけ)
デスクワークをしている時には、ブランケットがあると下半身を温めやすいです。
職場では、上司や同僚の視線もあって、まだまだ男性がブランケットを使うことが不自然な時代かもしれませんが、自宅で仕事をする時やリビングで寛いだりしている時には、ブランケットを使ってみてはいかがでしょうか?
また、仕事やプライベートで車を運転する機会が多い方には、車内と自宅用にブランケットが1枚あると、冷え対策に便利ですよ。
冷えを予防するには?
10代の頃に比べると、男性も基礎代謝能力(熱を作る力)が下がってくるので、年齢とともにからだが冷えやすくなっています。
そのため、冷えを予防するには、からだが冷えないように工夫をしなければなりません。
からだを温めるポイントは「動かす」と「温める」です。
普段から下半身を動かすような運動をしたり、温かい食べ物や飲み物を摂取したりするようにすると、自力で熱を作り出しやすくなりますし、からだから熱が逃げていくのを防ぐことができます。
東洋医学では、「冷えは万病のもと」と言われていますが、たしかにからだが冷えると、色々な不調が起こりやすくなってきます。
体調を上手にコントロールしながら生活していくためには、原因を理解しながら、男性も冷え対策をおこなっていくことが大切です。