「自立支援医療制度」とは?精神科や心療内科の通院費を軽減できる公的制度をわかりやすく紹介
精神疾患で、休職や退職をすると、収入が減ります。
金銭的に余裕がなくなると、生活に不安を感じ、メンタルも余計に安定しにくいですよね?
僕は、うつ病で休職したことで収入が減ったり、無職で収入が0になる経験をしました。
収入が減ったことで、日々の生活に不安を感じると、復職を焦りたくなりますし、働けない自分の状態に不安を感じれば、安心して療養できません。
ただ、病気の回復を焦るほど、ますます不安になり、メンタルは不安定になりやすいもの。
だから、メンタルを安定させる意味でも、金銭的な余裕を少しでも持てた方がいいと思うんです。
そこで、精神疾患で、病院やクリニックに通院している人に知ってほしい制度が「自立支援医療制度」です。
「自立支援医療制度」を使うと、精神科の通院費を減らすことができます。
この「自立支援医療制度」は、精神科に通院していれば、誰もが使える制度。
ですが、多くの人は知りません。
精神科でも積極的に案内をしている訳ではないですし、僕自身も、ツイッターを通して、「自立支援医療制度」について知りました。
先日、「自立支援医療制度」が利用できるよう、住んでいる自治体の保健センターに、申請してきました。
初めて聞く制度であると、申請が面倒に感じるかもしれません。しかし、申請方法は、驚くほど簡単でした。
そこで、実際の体験を踏まえ、「自立支援医療制度」の申請に必要な書類や申請方法などについて、お伝えします。
目次
「自立支援医療制度」とは?
「自立支援医療制度」は、医療費(精神科の通院費、精神科デイケアの利用料など)の自己負担額を少なくできる制度です。
自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
引用:厚生労働省ホームページ
休職や離職中、または会社を辞めてフリーランスになった、主夫(主婦)になった人であると、精神科の窓口では、かかった費用の3割を自己負担していると思います。
簡単に言うと、「自立支援医療制度」を利用すれば、今の3割の自己負担額を1割にできるのです。
「自立支援医療制度」を使うと、自己負担額が1割になる
精神科の通院費の自己負担額が1割になると、どうなるか。具体的な金額を出してみないと、イメージしづらいですよね?
ここでは、僕が受診している精神科の通院費で、シミュレーションしてみます。
現在、僕は、2週に1回(1ヶ月に2回)、精神科を受診しています。
2週に1回、1年間の精神科通院をした場合、自己負担額が3割と1割で受診すると、以下の表のような違いが出ます。
僕の場合は、精神科を1回受診すると、今まで1420円の自己負担(窓口での支払い)がありました。
現在は、「自立支援医療制度」を使うことで、自己負担が1割となり、1回の受診が470円で受けられるようになりました。
単純に計算すると、1ヶ月で1900円、1年間で22800円、精神科の通院費を節約することができるんです。
僕は、うつ病になって、仕事を辞めたんですけれど、仕事を辞めて収入がなくなってから、窓口で1000円札をだすことにさえ、心苦しさを感じるようになりました。
収入がないのに、医療費ばかりがかかってしまい、支払いの度に、家族に申し訳なさを感じていたんですよね。
それと、精神科の通院費がかかれば、その分のお金を節約しようと考え、自分の楽しみに使うお金を制限していました。
ただ、うつ病ということもあって、楽しみや気晴らしを制限すると、余計に「働かなきゃ!」、「お金を稼がなきゃ!」という切迫感にかられていたんです。
だから、自分の楽しみや気晴らしに使えるお金を確保することは、精神疾患の療養には、重要だと思うんです。
「自立支援医療制度」を利用して、節約できたお金を使い、カフェでお茶をしながら、好きな本でも読めた方が、病気の回復やメンタルにも、いい影響があるのではないでしょうか。
精神科に通院していれば、誰でも利用できる制度
「自立支援医療制度」は、精神科に通院している人であれば、誰でも利用できる制度です。
精神障害及び当該精神障害に起因して生じた病態に対して病院又は診療所に入院しないで行われる医療(通院医療)です。 症状が殆ど消失している患者であっても、軽快状態を維持し、再発を予防するためになお通院治療を続ける必要がある場合も対象となります。
引用:厚生労働省ホームページ
なんだか難しく書いてありますが、ごく軽度の自覚症状の方であっても、精神科に通院されている患者であれば、「自立支援医療制度」の申請ができるということ。
実際、僕は、現在webライターとして、お小遣い程度の収入を得られるようになってから、「自立支援医療制度」の申請をしました。
医師に「自立支援医療制度」の相談をしたら、心よく診断書を書いてもらえましたよ。
僕はうつ病ですが、精神疾患と言っても、色々な病気がありますよね。
「自立支援医療制度」の対象となっている疾患(病気)は、以下の11項目です。
(1)病状性を含む器質性精神障害
(2)精神作用物質使用による精神及び行動の障害
(3)統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
(4)気分障害(うつ病は、これに該当)
(5)てんかん
(6)神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
(7)生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群
(8)成人の人格及び行動の障害
(9)精神遅滞
(10)心理的発達の障害
(11)小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害
※(1)~(5)は高額治療継続者(いわゆる「重度かつ継続」)の対象疾患
引用:厚生労働省
一番下の高額治療継続者(いわゆる「重度かつ継続」)という言葉をみると、「私は該当するの?」と疑問が湧いてくると思いますが、ほとんどの人が該当します。
高額治療継続者(いわゆる重度かつ継続)とは、3年以上、精神医療を経験している医師から、情動及び行動の障害又は不安及び不穏状態を示すことから、入院によらない計画的かつ集中的な精神医療(状態の維持、悪化予防のための医療を含む)が続けて必要であると判断された方 を指します。
要するに、「自立支援医療制度(精神通院医療)」は、精神科に長く通院する必要がある精神疾患を持つ患者であれば、誰もが使える制度なんです。
僕のようなうつ病で言えば、1回の通院で治療が終了することはないですし、1年~数年は、継続的に治療をしていくことになります。
「自立支援医療制度」は、精神科に通院しているのであれば、金銭的な負担を減らすために、申請した方がよい制度です。
「自立支援医療制度」の申請は、まず、保健センターに電話してみる
「自立支援医療制度」を申請する場合、まずは、自分が住んでいる市区町村の保健センターに電話してみましょう。
なぜ、最初に電話が必要かというと、申請に必要な書類や持ち物の確認が、確実にできるからです。
保健センターのホームページを見ると、申請に必要な書類が掲載されています。
しかし、掲載されている書類の中には、実は必要のない書類があったり、逆に必要である持ち物について、掲載されていない場合があります。
例えば、課税証明書(収入(所得)の状況を確認する書類)や印鑑です。
僕が住んでいる自治体のホームページには、課税証明書を準備するように書いてありました。
逆に、印鑑については、必要な持ち物の中に含まれていませんでした。
でも、実際に申請してみると、課税(収入(所得))の状況は、保健センターで確認してくれましたし、申請の書類には、4ヶ所ほど、印鑑を必要とする部分がありました。
また、申請には、医師の診断書が必要になりますが、診断書に関しては、都道府県や市区町村で決められた書式があります。
書式が違う診断書では、申請ができない可能性もあるので、面倒ですが、保健センターに電話すると、申請がとてもスムースにおこなえますよ!
「自立支援医療制度」の申請には、どんな書類が必要?
とは言っても、馴染みのない保健センターに電話することは、やはり面倒ですよね。
そこで、僕の住んでいる自治体の保健センターに掲載されている必要書類に加えて、実際に、申請時に必要だった持ち物を紹介します。
① 申請書
⇒ 申請当日に、保健センターでもらい、その場で書きます。
② 診断書
⇒ 住んでいる自治体で書式が違います。主治医に書いてもらう時に、1通4000~5000円がかかります。
③ 健康保険証のコピー
④ 課税証明書(世帯の所得状況がわかる書類)
⇒ 保健センターに行けば、調べてくれる
⑤ マイナンバーカード
⇒ 必要書類でしたが、僕は結局、使いませんでした。
⑥ 身分証明書(顔写真付きなら1点、写真なしは2点必要)
⑦ 印鑑(シャチハタ不可)
自治体によって、必要な書類や持ち物に違いがあると思いますが、とりあえず、①から⑦が用意できれば、申請ができる可能性が高いです。
書類と印鑑さえ揃えば、保健センターでの申請自体は、10分もせずに行うことができましたよ。
おわりに
精神科に通院している患者なら、知ってさえいれば、申請できる便利な制度です。
長い治療期間にかかってくる通院費の負担を減らせれば、療養する気持ちにも余裕が出てくるものです。
精神科の通院費を節約して、自分の楽しみや気晴らしの時間が作れるように、お金は、自分にとって有意義に使いたいです。
まだ、「自立支援医療制度」の利用していないようでしたら、ぜひ、申請することをおすすめします。