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「うつ病の家族との接し方」当事者が傷つく言葉、救われる言葉とは?

 
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たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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家族がうつ病になったら、どうしたら良いのでしょうか?家族として、本人との接し方や言葉のかけ方に悩むこともあるでしょう。

 

僕は自分自身もうつ病を患い、3年間の療養生活を経て仕事復帰しました。療養中には妻や子どもと過ごす時間が長かったのですが、家族の存在は安心感を与えてくれる一方で、些細な言動で気持ちが追いつめられることもあったんです。

 

家族とは言え、本人の気持ちを理解していないと傷つける言動をしてしまいかねません。そこで、うつ病で療養した経験を踏まえながら、家族の接し方や言葉のかけ方についてお伝えします。

家族の接し方

うつ病の家族との接し方には、主に3つのポイントがあります。

 

本人の気持ちを尊重すること

うつ病になると、ネガティブな発言が多くなります。例えば、「死にたい」「つらい」といった言葉は、うつ状態の時によく聞かれる言葉です。家族としては、本人にはできるだけポジティブな気持ちでいてもらいたいでしょうから、ネガティブな発言があると励ましたり、慰めたりしたくなるかもしれません。ところが、本人からすると「励まし」や「慰め」は自分の気持ちを否定されたような気分になるので、かえって落ち込みが強まります。ですから、家族が接する時には、ネガティブな発言を否定せず、本人の気持ちを尊重することが大切です。

 

過干渉しないこと

うつ病というのは、完全にエネルギーが消耗してしまった状態です。本人には、重力に逆らいながらベッドから起き上がることさえ億劫に感じられます。面倒見の良い家族ほど、本人を部屋や外に連れ出して気分転換を促そうとしますが、これは本人のエネルギーをさらに消耗させるだけです。うつ病は薬を飲み、十分に休息することでテレビを見たり散歩をしたりすることが自然にできるようになるのも特徴です。家族が本人の生活に干渉しないほうがゆっくり休息することができるので、積極的に関わるよりもそっと見守りましょう。

 

普段と変わらない生活をすること

うつ病と聞いて、本人に気を遣った態度をとる家族もいるかもしれません。例えば、趣味をやめたり遊びに行くのをキャンセルしたりなど、家族自身が自分の楽しみを制限してしまうのは本人がゆっくり療養するためには逆効果です。なぜなら、家族が気を遣っていることが伝わってくると罪悪感が湧くから。本人はうつ病になってつらい生活を送りながらも、家族には少しでも笑顔で楽しい生活をしたほしいと思うものです。また、家族の立場からしても、普段と変わらない生活を送れたほうがストレスも少なく長期的にサポートしていきやすいでしょう。ですから、「うつ病だから」と特別視するのではなく、なるべく普段と変わらない自然な生活を過ごすようにしましょう。

 

うつ病の人が傷つく言葉

では、具体的にどのような言葉かけを避けるべきなのでしょうか?ここからは、本人の気持ちを傷つけないように家族が避けるべき言葉のかけ方を紹介します。

 

みんなつらいんだよ、もっとつらい人もいる

うつ病の人は、病気を理由に怠けているように見えることが多いです。うつ病の人はベッドに寝ているか、自宅でごろごろしている時間が長いので、家族の立場からすると、本人の様子は“頑張り”が足りないように思えるかもしれません。ところが、このような認識は間違いです。というのも、うつ病になるとさまざまな行動を起こす気力がなくなるからです。仕事はもちろんですが、家事をしたり散歩をしたりするのもとても億劫に感じられます。家族は頑張っている人を引き合いに出せば本人の気持ちを奮起できると考えがちですが、うつ病の人はそもそも頑張るための気力がないのです。そのため、他人と比較して「みんなつらいんだよ」「もっとつらい人もいる」と言ったところで、本人のなかでは頑張れない自分がみじめに思えたり、ダメな人間に感じられたりするだけで気持ちの落ち込みが強まります。

 

私も大変なんだから

うつ病の人を支えていくには、仕事や家事の負担を家族が抱え込まなければなりません。ですから、家族は疲れやストレスから「私も大変なんだから」と自分の状況について不満を言いたくなる時もあるでしょう。ところが、本人にとってはこの言葉が結構なダメージになります。それというのも、療養中は生活全般を家族に支えてもらっているので、本人は自分の存在を「家族の重荷」と思っているところがあるからです。家族としては「私も大変」と軽い気持ちで言ったとしても、本人は「自分さえいなければ家族が楽になる」と考えてしまうのです。

 

話してくれないとわからない

うつ病になると口数が減るので、自分の考えをはっきり言わない様子にイライラすることもあるでしょう。どうして自分から話をしないのか疑問に思う家族もいると思いますが、これはうつ病の影響で考えることが億劫になったり、考えがまとまらなくなったりするからです。専門用語では前者を「精神運動抑制」、後者を「思考制止」と言います。これらの症状があるので、本人は家族とコミュニケーションをとる必要性を感じているのですが、どうしても話をする気持ちにはなれないのです。このような場合に家族から「話してくれないとわからない」と言われると、本人は自分の状況を理解してもらえていないように思え、孤独感が強まります。

 

まだ体調悪いの?

うつ病は、風邪や骨折などに比べると回復までに時間がかかる病気であり、体調が良くなったり悪くなったりをくり返しながら、少しずつ快方に向かっていきます。この体調の変動は「揺り戻し(ゆりもどし)」と言い、うつ病の回復過程には必ず見られる現象です。この「揺り戻し」現象があるので、本人が療養に専念したり早い完治を願ったりしても、回復にはどうしても時間がかかってしまのです。完治には早い方で3~6ヵ月、人によっては数年から数十年かかることも。本人は順調に回復しない状況に不安や焦りを感じがちですが、それに加えて家族に「まだ体調悪いの?」と言われると、いつまでも調子が戻らず迷惑をかけている自分が情けなく感じられ、気持ちが落ち込んでしまいます。

 

どうするつもりなの?

将来に関する言葉かけも、うつ病の人の気持ちを追い込みます。特に仕事や収入に関する話題は避けるべきです。これは、うつ病になると「貧困妄想」が現われるからです。「貧困妄想」とは、実際よりも自分の生活が貧しく思える症状を言います。「貧困妄想」が現われると、貯金や家族の収入の状況に関わらず、破産したり生活ができなくなったりするような思考に陥ります。こうなると、本人の頭のなかは経済的な不安でいっぱいです。また「貧困妄想」に加えて療養中は収入や貯金が減少するので、現実的にも生活が貧しくなります。ですから、将来に関する話題を出されると、生活の困窮感や仕事復帰への焦燥感が強まり、本人の気持ちは追いつめられてしまうのです。

うつ病の人が救われる言葉

傷つく言葉がある一方で、家族から言われると救われる言葉もあります。続いて、うつ病の人が救われる言葉を紹介します。

 

そうなんだ

うつ病になると、日常的にネガティブな発言が増えます。「つらい」「働きたくない」「死にたい」など。本人の発言に聞き手がまいってしまうことも多いです。家族としては「そんなこと言わないで」と励ましたくもなりますが、本人からすると、安易な励ましは自分の考えを否定されたような気持ちになるので逆効果です。実は、うつ病の人がネガティブな発言をする時には、激励やアドバイスを求めているわけではありません。本人が求めているのは、まわりの人に自分の気持ちをありのまま受け入れてもらうことで感じられる安心です。ですから、ネガティブな発言が聞かれた時には、「そうなんだ」と話を聞きながら、本人の気持ちを受けいれてあげることが大切です。

 

生きていて欲しい

「生きていて欲しい」という言葉は、自殺を防止する上で重要です。うつ病になると、ふとした瞬間に“死にたい”“死のう”と思うようになります。例えば、道路を走る車を見れば飛び込もうと思ったり、駅で電車を待っている時にはプラットフォームから飛び降りようと考えたりします。そういった魔が差した時に何が自殺を躊躇させる要因になるかというと、家族との約束です。頭のなかに自殺願望が湧いてきても、家族の顔や言葉を思い出すことでもう少しだけ生きてみようと思えるものです。また、うつ病の人は仕事や家事ができない自分を「家族のお荷物」と考えがちなため、家族の気持ちを伝えてもらえれば自分が生きる意味を見出すことができます。いずれにしても、本人には家族が必要としている気持ちをはっきり伝えるようにしましょう。

 

ゆっくりでいいんじゃない?

うつ病で働くことができなくなると、仕事復帰を焦りがちです。できるだけ早く体調を戻したいという思いから家事をやりすぎたり、仕事に向けたリハビリをしすぎたりすることもよくあります。しかしながら本人が完治を強く願っても、右肩上がりに回復しないのがうつ病です。焦って無理をしすぎると、その反動でうつ状態がぶり返し2・3日寝込むことがほとんどです。自分の思い通りにはいかないことが多いため、本人は挫折を感じたり、自信を失ったりしてますます気持ちが焦っています。このような状況に陥っている時には、家族からの「(仕事復帰は)ゆっくりでいいんじゃない?」の一言があれば、本人としては安心できるものです。体調が思ったように回復しなくても、家族が寄り添ってサポートしてくれていることが実感できれば落ち着いて療養に専念できるでしょう。

 

家族が相談できる場所

うつ病は回復・完治に時間がかかるので、長い療養期間は家族にとっても大きな負担になります。家族とは言え、愚痴や不満をため込みながら本人の生活をサポートし続けるのは難しいでしょう。そこで、最後に家族が悩みを相談できる場所をお伝えしましょう。

 

①  働く人の「こころの耳電話相談」

働く人の「こころの耳電話相談」は、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が運営する相談サービスです。こちらのサービスは、精神的な不調で悩む人の家族や上司・同僚からの相談を受け付けています。以下は、サービスの詳細です。

相談可能な時間帯:月・火曜日 17~22時

         土・土曜日 10~16時

1回の相談時間   :最長20分間まで

相談対応     :所定のトレーニングを受けた産業カウンセラーほか

注意点      :匿名利用可。診断や治療方法の提示など、医療行為に該当

          する相談やアドバイスは一切不可

 

②  精神保健福祉センター

精神保健福祉センターはこころの健康問題の相談窓口で、各都道府県に設置されています。センターには医療従事者などの専門職がおり、うつ病の家族についての匿名で相談することができます。受付時間や電話番号は都道府県によって変わってくるので、相談を希望する方は、まずはお住まいがある自治体の精神保健福祉センターに問い合わせてみましょう。

 

③  精神科・心療内科

精神科や心療内科のなかには、家族のみの受診に対応する病院・診療所があります。本人が受診を拒否する場合には、家族のみで医療機関に相談するのもひとつの方法です。ただし、家族のみの受診は「自費診療」扱いとなり、保険が適用されないため窓口負担が高額になります。そのため、精神科や心療内科の医師に相談する時は、本人と一緒に受診することをおすすめします。

精神科・心療内科の初診料の目安
自費診療 4,000~15,000円(各医療機関が自由に設定)
保険診療 1,000~2,000円

 

まとめ

ここまで、うつ病の家族との接し方や言葉のかけ方について説明しました。家族の接し方の基本は、①本人の気持ちを尊重すること ② 過干渉しないこと ③普段と変わらない生活をすることです。本人の気持ちを追い込んだり、落ち込ませたりしないためには、家族が否定的な言葉、安易な慰め・励まし、将来的な話を避けることが大切です。一方で、共感的な言葉のかけ方は本人の安心感につながるので、はっきりと伝えるようにしましょう。また、うつ病の人へのサポートは長期的になる可能性が高いので、家族も自分自身の疲れやストレスに注意しながらまわりの人に相談することも重要です。家族の負担を減らし、できるだけ本人の気持ちを尊重しながら支えていきましょう。

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