うつ病から仕事復帰できるのか?仕事復帰を実感できた3つのこと
「仕事ができるようになるのか?」
うつ病で働けなくなると、仕事復帰に不安な気持ちしか湧いてきませんよね。仕事をしているイメージが持てなければ、働く自信もない。ひょっとすると、仕事復帰が「超えられない壁」のように思えているかもしれません。
僕は、うつ病で会社を退職してから在宅で働くようになり約1年が経ちました。最近になって、ようやく仕事復帰できた実感を持てるようになってきたのですが、本格的に働けるようになるまでにはずいぶんと時間がかかった気がしています。
意欲や興味の減退、自信の喪失、集中力や記憶力の低下、倦怠感、疲れやすさなど…。うつ病になってから仕事に必要な能力がことごどくなくなっている現実に直面し、よく不安な気持ちにひたっていました。
だから、自分が働けるようになった経験を紹介することで、あなたにも仕事復帰ができそうなイメージや自信を少しでも持てるようになってほしいと思ったんです。この記事を読んだあとに、「自分も働けるようになるかもしれない」といったように、仕事復帰への期待や希望につながれば幸いです。
うつ病になってから仕事復帰するまで
まずは、僕がうつ病になって仕事復帰するまでの流れをお話しします。仕事ができるようになるまでどのくらいの期間がかかるかは人それぞれでしょう。ただ、なんとなくでも見通しをイメージできるものがあった方が、不安感が少なくなると思います。
以下は、僕が務めていた会社を休職や退職をしてから在宅で仕事復帰するまでにかかった期間について、ざっくりと図にしたものです。図を見ていただくとわかるように、本格的に働けるようになるまでには約1年3ヶ月かかっています。
僕がうつ病になったのは2018年の2月頃です。職場やプライベートでも、強い不安感や集中力の低下などが毎日続いたことから精神科クリニックを受診したところ、うつ病の診断を受け休職に入りました。
僕は、3ヶ月の休職後、務めていた会社に復職をしたんですが、すぐに体調が悪くなりそのまま退職することになったんです。
会社を退職してからは、自宅でwebライターの仕事をはじめました。でも体調の変動があったり、別の内科的な病気を患ったり、抗うつ薬の調整に時間がかかったりなどして…。なかなかまともに働くことも、まとまった仕事を受注することもできませんでした。
退職してからの1年は、自宅で働こうにも仕事に取りかかることができない日もあれば、パソコンに向かったところで1時間も集中力が持たない日も多かったです。会社を辞めたからと言って、うつ病がすぐに回復するわけでもなく…。
一時期は仕事については考えずに、療養に専念したり、主夫業に徹したりする時期もありました。
僕のように働けない期間が長くなると、仕事ができない自分が「ダメな人間」に思えてくることがあるかもしれません。
ただ、自分の経験を振り返ってみると、働けないことを悩むよりも療養中には好きなことをしたり、自分の考え方を見直したりした方が、働く意欲の回復や気持ちの落ち込みにくさなどに繋がるように感じています。
そして、うつ病の診断を受けて約1年3ヶ月。退職してからは約1年が経過した頃に、在宅ワーカーとして本格的に働けるようになりました。現在は、自宅で1日に4~5時間くらいの仕事をしながら家事や育児を両立した生活を送れています。
仕事復帰を実感できた3つのこと
うつ病は「仕事復帰」のイメージがしにくいです。というのも、療養しているうちに働いていた感覚がわからなくなりますし、どういう生活が自分にしっくりくるものだったのかわからなくなるからです。
「これが正解!」という目安や目標がわからないので、自分がどういった状態になると仕事復帰を実感できるのか、イメージしづらくなるのかもしれません。僕の場合は、次の3つのことをきっかけに仕事復帰を実感することができました。
1.仕事にチャレンジする恐怖心が少なくなった
うつ病になってからの僕は、特に他人と関わることに恐怖を感じるようになっていたんです。
会社を退職したあとに在宅ワークをするようになってからも、クライアントとコミュニケーションをとるのが怖くて、まともに仕事にチャレンジすることができないでいました。
● 迷惑をかけていないか…
● 指摘を受けたらどうしよう…
● 自分を否定されるのが怖い…
もともと仕事をする時には、完璧主義なところや他人の目を気にしやすいところがあったのですが、こういった恐怖心を持つようになってからは、より「完璧な仕事」や「他人の評価」に固執するようになっていました。
そこで、薬で治療する以外にも自分を変えていく必要があると思い、性格や考え方を見直すような努力を色々やってみるようになったんです。
関連記事:
うつ病で人が怖いと思っていた僕が、仕事で人と関われるようになった考え方
何がどこまで効果があったのかは明確にわかりませんが、現在は、仕事にチャレンジする恐怖心がほとんどなくなりました。
仕事のミスを怖がらなくなったり、他人からの指摘が気にならなくなったり、仕事の恐怖心がなくなってからは自分からコミュニケーションをとれるようになり、ずいぶんと仕事や生活がしやすくなったように感じます。
僕は、恐怖心を感じずに、むしろどんどん仕事にチャレンジしていきたいと思えるようになった時に、仕事復帰した実感が湧きました。
2.働く意欲が湧いてくる
うつ病になって困ったことのひとつは、病気をきっかけに「働く意欲」がなくなったことです。僕には妻も子どもいます。自宅は持ち家です。だから、そんな環境の中で「働く気持ちが起きない自分」はダメな人間にしか思えませんでした。
もちろん、誰でも「働きたくない」と思うことはあるでしょうけれど、うつ病になった時の「働きたくない」は、健常な頃の「それ」とは全く違いますよね?うつ病の本には「頑張ろうとしても、頑張れないのがうつ病」なんて書いてありますが、まさにそういう状態だったんです。
僕は、「趣味」と言えるような打ち込めるものがない人間だったのですが、仕事ができない時期には、とにかく「やってみたいと思うこと」をやりました。ざっと挙げてみると、こんな感じです。
料理 / お菓子作り / ジャム作り / 乾物作り / スポーツバイク(サイクリング) / 散歩 / ジョギング / ストレッチ / 筋トレ / ブログ / ツイッター / YouTube鑑賞 /音楽鑑賞 / ハーブティー / リラクセーション法(呼吸法、瞑想) / 認知行動療法 / 掃除(断捨離含む) / 芝刈り / DIY(簡単な棚作りなど) / 日帰り旅 / 喫茶店通い / 満喫通い / 読書 / マンガ / 懸賞 / 物販(フリマアプリ) / カメラ /園芸など。
人それぞれ、何をやるか、何が自分にはまるかは違ってくるでしょう。肝心なことは、療養中に「仕事以外にも楽しみを見つけられたこと」だと思います。
もしかしたら、うつ病になる前は仕事にしか生きられなかったから、働けない自分がダメな人間に思えたのかもしれません。あるいは仕事にしか生きられなかったから、仕事が何か特別な重大なことに感じられていたのかもしれません。
仕事がなくても人生を楽しめることに気づけてからは、仕事に対する自分の中のハードルが下がり、気楽に働けるようになりました。
3.仕事がおもしろいと感じられるようになった
仕事に対して恐怖心や義務感しかないと、働くこと自体が苦痛に感じるでしょう。僕も、以前は何かに追われたり、誰かの評価を気にしたりしてばかりいながら仕事をしていたようで、仕事が苦痛にしか感じられませんでした。
でも現在は、仕事の失敗を怖がらずに、自分から仕事を通して新しい経験をしたいと思えています。
もちろん僕の場合は、うつ病になった前後で働く環境が変わったことも影響しているでしょうが、仕事の恐怖心がなくなったり、やりたいことに打ち込んだりしたことが、結果的に仕事のおもしろさに大きくつながったように感じています。
本格的な仕事復帰は、長い目で見ていい
うつ病になってから仕事復帰をするためには、どのくらいの期間が必要なのか?気になるところではありますが、これは人それぞれのようです。
平成25年に、「労働政策研究・研修機構」が全国の常用労働者50人以上を雇用している企業 20,000 社(農林漁業、公務を除く)にアンケート調査を行った報告では、会社によっても休職期間にはずいぶんとバラつきがあったようです。
また、仕事を再開することを考える時には、いきなりうつ病になる前と同じように働こうと考えるよりも、本当に少しずつ仕事に慣れていくと考えた方が良いかもしれません。
実際に、僕は退職してすぐに在宅ワークをバリバリやっていこうとしましたが、からだが動かずに気持ちが焦るばかりでつらい時期が長く続きました。
焦れば焦るほど、目の前のことが手につかなくなります。回復に時間がかかる病気と言われているので、焦ったところで、すぐに状況が劇的に変わるわけではありません。
ひとつずつ、着実に進んでいくためにも、本格的な仕事復帰は長い目で見ながら、まずは仕事の再開を「気楽」に考えてみて良いのではないでしょうか。