うつ病でも在宅なら仕事ができる?在宅で仕事復帰した体験談
うつ病が回復して働く気持ちが湧いてくると、仕事復帰を考えますよね。以前のように会社で働く気持ちになれない時には、在宅で働くことを考えるかもしれません。
僕はうつ病をきっかけに会社を退職し、在宅の仕事をするようになりました。再就職も考えたのですが、どうしても新たな会社を探したり、会社で働いたりする気持ちにはなれなかったんです。
うつ病になってからの僕は、「仕事で人間関係を築くこと」や「会社のリズムで働くこと」がきつく感じられるようになっていたので…。再就職しても体調が悪化するだけのように思えたんです。それで、在宅であれば療養と仕事を両立できるように思えたので、在宅で仕事をすることにしました。
ところが僕の知り合いにはうつ病になった人も、うつ病を療養しながら働いている人もおらず。また、インターネットで検索してみても、うつ病の仕事復帰と言えば会社への復職の情報ばかりだったので、うつ病を療養しながら在宅で仕事をするイメージが持てなかったんです。
それでも手探りで在宅で働きはじめてから約1年が経ちました。現在は、ようやくまとまった仕事ができるようになってきて、時々やってくるからだの不調と付き合いながら在宅で仕事復帰できた実感が湧いています。
そこで、うつ病を療養しながら在宅で働こうと考えている人の参考になるように、自分が在宅で仕事復帰した体験を紹介します。
在宅の仕事を選んだ理由
まずは僕がうつ病になって在宅の仕事を選んだ理由について、もう少し詳しくお話しします。僕の場合は、主に2つの理由から在宅の仕事を選びました。
① コミュニケーションが大きなストレスだった
うつ病になってからの僕は、コミュニケーションに大きなストレスを感じるようになりました。例えば、職場のスタッフと顔を合わせて話をしたり、お客さんに自社のサービスを説明したり。こういった対人的なコミュニケーションをとる時に、なぜか相手から非難されたり、自分が何か重大なミスをおかしたりしているような気持ちがしてきて、仕事に集中できないくらい不安な気持ちになったんです。
もともとうつ病になった時にも、職場の人間関係がうまくいっていなかったもので。何かひとつが原因で発症する病気ではないのでしょうが、もしかしたらその時の人間関係の失敗が、仕事上のコミュニケーションに強い恐怖を感じさせるきっかけになったのかもしれません。
だから、会社よりも対人的なコミュニケーションが少ない在宅の仕事に魅力を感じました。もちろん在宅の仕事も全くコミュニケーションがない訳ではありませんが、メールやチャット、電話だけで連絡が済むことがほとんどなので、会社で働くよりもずいぶん気楽に仕事ができています。
② 体調が変動しやすかった
就業規則にもよるでしょうが、会社では「朝、一定の時間に起きる・準備する・働きだす」、「決められた時間内は休みなく働く」、「昼休みは1時間くらいで済ます」などの働き方をする必要がありますよね。
僕の場合は、うつ病が回復してきてからも体調の変動があったので、こういった会社のペースに合わせて動く働き方ができませんでした。午前中を中心に無気力感や倦怠感、集中力の低下などがあったので、会社に行くこと自体がとてつもなくしんどかったです。
在宅の仕事では、調子の良い時に仕事をしたり休憩を多くとったりなどして、体調の変動に対応しながら働くことができました。特に疲れやすさや倦怠感がある時にすぐに休める環境があるということは安心感があります。
以上のような理由から僕は在宅の仕事を選ぶことにしました。もちろん、人によっては会社の方が働きやすい場合もあるでしょうから、働き方を考える時には、自分にとって会社と在宅のどちらが向いているのかを一度は冷静に考えてみると良いです。
うつ病でも、在宅でできた仕事
僕は、この記事を書いている時点(2019.5月)でうつ病の診断を受けてから約1年4ヶ月、在宅の仕事をはじめて約1年になります。この1年間は、在宅で色々な仕事をしてきました。
「在宅の仕事」といっても、ずっとサラリーマンをしてきた人からするとどのような仕事があるかイメージできませんよね?また、うつ病を療養しながらでもできそうな仕事、うつ病だからこそ苦労しそうな仕事などについて知りたいこともあるでしょう。
そこで、僕が行ってきた仕事やうつ病を患っているとどういうことが起きそうか、仕事の紹介と解説をします。
① web(ウェブ)ライターの仕事
webライターは、ウェブサイト(サイトやブログ)上の文章を書くことが仕事です。例えば、家事のやり方を紹介した情報サイトや結婚の経験談を紹介したブログなど。ウェブサイトを運営するクライアントに与えられたテーマをもとに記事を書いていきます。
僕も主にwebライターの仕事を行っているのですが、webライターの仕事はやってみると大きく3つに分かれていました。
■ 自分の経験をもとにした記事を書く仕事
■ ウェブサイトや本で調査した内容をまとめる仕事
■ ウェブサイトの記事を書き直す仕事
文章を書くことが嫌いでない限り、数をこなしていくことで色々なウェブサイトの記事を書けるようになると思います。ただし、うつ病になって集中力が低下していると苦悩することがありました。
僕は、以前、約4時間ほど連続でパソコン作業ができるタイプだったのですが、うつ病になってからは1時間もパソコン作業を続けられないことが多くなったんです。頭で考えながらパソコンで黙々と文章を書くことは、想像以上に集中力が必要でした。
② データ入力の仕事
データ入力の仕事とは、クライアントから依頼のあった情報について調べるなどして、エクセルのような表に情報を入力していく仕事です。
データ入力の仕事は元々ある情報をコピペしたり、正しく表に入力できているか確認したりが中心の仕事なのでやりやすかったです。「頭で考える」作業があまりないので、頭がまわらない時や集中力にかけている時でも行うことができました。
③ インタビュアーの仕事
この仕事では、クライアントから依頼された会社の社長に会いに行き、会社を紹介するためのインタビューをしました。がっつり人とコミュニケーションをとる必要がある仕事でしたが、試しにやってみたいこととスキルアップの一環としてやってみたんです。
質問する内容はクライアントから指定されていたので、インタビューの仕事自体はやってできないこともなかったです。ただ、人と会って話をしに行くことを考えると、会社に通勤する前のようなストレスを強く感じたので1回きりで辞めました。
僕はずっと病院や介護施設でリハビリを提供する仕事をしていたので、他に自分が何をできるかわかりませんでした。どの仕事に関しても、インターネットで検索しながら、実際にやっていく中で自分にできることをコツコツやったり見つけたりしていった感じです。
在宅の仕事をはじめて気づいたことは、会社のように待っていたところで、在宅ではどこからともなく仕事が割りふられるなんてことはないということです。ですから自分の興味が持てた仕事を、まずはやってみることが重要になるでしょう。
うつ病者が在宅で仕事をするメリットと注意点
ここからは、うつ病者が在宅で仕事をするメリットや注意点を紹介します。あくまでも個人的に感じていることですが、在宅で働くことを検討しているのであればぜひ参考にしてみてください。
①在宅で仕事をするメリット
■ 顔を合わせるコミュニケーションが少ない
在宅の仕事は、主にメールやチャットを使ってクライアントとコミュニケーションをとります。会社で働いている時には仕事中に話しかけられたり、仕事をしている時に視線を感じたりなどして、緊張感や不安感が高まることはなかったでしょうか?在宅の仕事では、顔を合わせてコミュニケーションをとらなくていい分、そういった対人関係によるストレスを感じる機会が少ないです。
■体調の変動に対応しやすい
うつ病になると体調が変動しやすいです。病気の回復状態によっては日内変動、日差変動、疲れやすさ、倦怠感などがあって仕事に取り組めなかったり、すぐに疲れてしまったりすることも。在宅であれば自分のタイミングで仕事や休憩ができます。特に、ソファや畳などに横になって休憩できるとからだをしっかり休ませることができるので、療養と仕事を両立させやすいと思います。
■ 時間や気持ちに余裕を作りやすい
在宅の仕事も、クライアントの些細な一言などで著しく気持ちが落ち込むことがあります。例えば、僕はwebライターの仕事をした時に「あなたの文章は小学生の作文だ」とクライアントから言われたことがありました。当時は、その言葉がきっかけで自分がダメな人間に思えてきて、とても落ち込んだ覚えがあります。でも自宅で仕事をしていたので、仕事から一端離れて自分の考えを整理したり、気持ちを立て直したりするような時間を作ったりして、うつ状態に戻らずに気持ちの落ち込みに対処することができました。
②在宅で仕事をする時の注意点
■ 仕事量の調節が難しい
在宅の仕事は、会社以上にオーバーワークにならないよう仕事量の調節が必要になるかもしれません。自分が思ったように仕事の依頼を引き受けられる訳ではないと、気づいた時には仕事を引き受け過ぎていたということもあります。特に「体調の良い時に仕事を抱え込んだけれども、体調が悪くなってできなくなってしまった」ということにならないように注意が必要です。
■ 相談できる人が少ない
僕は知り合いに在宅で仕事をしている人がいないので、在宅の仕事の大変さを共有したり、仕事のノウハウを教えてくれたりする人がいません。世の中的には在宅ワーカーが増えてきているようですが、相談できる人がまわりにいないと、仕事面での孤独を感じやすいです。
■ 言わないと何も気づいてもらえない
クライアントとは文字でコミュニケーションをすることが多いので、仕事面で要望がある時には言葉で言わないと何も伝わりません。一番大変なことは体調を崩した時です。会社で働いている時には、顔色が悪かったり元気がなかったりすると、まわりの人が雰囲気で察してくれることもありました。しかし在宅では雰囲気で体調不良を察してもらえることはまずないので、自分の要望は、はっきりと文字で伝えていく必要があります。
うつ病から在宅という仕事復帰の形もある
社会人になってずっと会社で働いてきた人からすると、自分が在宅で働いているイメージが全く湧かないものです。知り合いに同じような立場の人がいなければ、在宅で仕事をしていくこと自体に心細さを感じるでしょう。
僕は、実際に在宅で働いてみて、うつ病者には「在宅で働くメリット」、「会社で働くメリット」のどちらもあるように感じました。簡単に決断できるようなことではありませんが、「会社で働けない」、「会社で働くことに大きなデメリットを感じる」ようなら、在宅で働くことを考えてみてもいいかもしれませんね。