【チェックリスト付き】うつ病を疑った時にチェックしておくべき自覚症状や受診方法を紹介
「うつかもしれない…」
うつの発病を疑っても、いきなり専門の医療機関を受診するのは勇気が入りますよね。
うつではない可能性も考えると、いまの自覚症状が受診して良いレベルかどうかの判断もつかないでしょう。
実は、うつの発病が疑われた時には、自分でおこなえるチェックツールがあります。
ここでは、うつのチェックツールを紹介するとともに、医療機関の受診方法についてお伝えします。
目次
自分でできるうつチェック
厚生労働省のホームページでは、「心の健康」をテーマに、自分でできるうつチェックツール「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」を紹介しています。
「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」は、16項目の質問に回答しながら、うつの重症度を評価していくチェックツールです。
もともとはアメリカの精神科医によって開発され、現在では、うつの状態を評価する方法として世界10ヵ国以上で使用されています。
実は、僕自身もうつを発症した時に、精神科の初診で「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」でうつ状態についてテストしました。
「うつかもしれない」と疑っている自覚症状について理解するために、次の項では「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」をおこなってみます。
簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)でチェックする
まずは、次の16項目の質問を見て、それぞれ自分の状態にあてはまるものを選びましょう。
① 寝つき |
0.問題ない(または、寝付くのに30分以上かかったことは一度もない) |
② 夜間の睡眠 |
0.問題ない(夜間に目が覚めたことはない) |
③ 早く目が覚めすぎる |
0.問題ない(または、ほとんどの場合、目が覚めるのは、起きなくてはいけない時間の、せいぜい30分前である) |
④ 眠りすぎる |
0.問題ない(夜間、眠りすぎることはなく、日中に昼寝をすることもない) |
⑤ 悲しい気持ち |
0.悲しいとは思わない |
⑥ 食欲低下 |
0.普段の食欲とかわらない、または、食欲が増えた |
⑦ 食欲増進 |
0.普段の食欲とかわらない、または、食欲が減った |
⑧ 体重減少(最近2週間で) |
0.体重は変わっていない、または、体重は増えた |
⑨ 体重増加(最近2週間で) |
0.体重は変わっていない、または、体重は減った |
⑩ 集中力/決断 |
0.集中力や決断力は普段とかわりない |
⑪ 自分についての見方 |
0.自分のことを、他の人と同じくらい価値があって、援助に値する人間だと思う |
⑫ 死や自殺についての考え |
0.死や自殺について考えることはない |
⑬ 一般的な興味 |
0.他人のことやいろいろな活動についての興味は普段と変わらない |
⑭ エネルギーのレベル |
0.普段のエネルギーのレベルと変わりない |
⑮ 動きが遅くなった気がする |
0.普段どおりの速さで考えたり、話したり、動いたりしている |
⑯ 落ち着かない |
0.落ち着かない気持ちはない。 |
【 採点方法 】
(1)質問①~④、⑥~⑨、⑮・⑯は、それぞれの項目で、最も点数が高いものを1つだけ選んで点数化します。
(2)それ以外の質問(質問⑤・⑩・⑪~⑭)は、それぞれの点数を書き出します。
(1)と(2)の合計点を出したら、下の表を見てうつの重症度を判断します。
合計点数 | うつの重症度 |
0~5点 | 正常 |
6~10点 | 軽度 |
11~15点 | 中等度 |
16~20点 | 重度 |
21~27点 | 極めて重度 |
簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)の合計点が6点以上の場合には、うつの可能性が高く、医療機関への受診が推奨されています。
何科を受診すれば良いのか?
「うつかもしれない」と疑った場合、一般的には、精神科や心療内科を受診する人が多いです。
もちろん、内科でも診察をおこなってくれますが、専門の診療科を受診したほうが自分に合った治療を受けやすいでしょう。
また、精神科と心療内科には、次のような違いがあります。
・精神科
精神的な症状を中心に、治療をおこなう
・心療内科
身体的な症状を中心に、治療をおこなう
うつと一口に言っても、精神的な症状が中心の人もいれば、身体的な症状が目立つ人もいます。
例えば、落ち込みややる気が湧かないなどの自覚症状が強いのなら、精神科を受診すると良いです。
また、頭痛や倦怠感、胃痛などの自覚症状が気になるなら、心療内科を受診したほうが良いかもしれません。
いずれの診療科でもうつの診断や治療をおこなってくれるので、迷った時には、精神科や心療内科にこだわりすぎる必要はないでしょう。
精神科や心療内科を受診する時のポイント
精神科や心療内科は、2つのポイントを押さえると受診しやすくなります。
それは、事前に「自覚症状をメモしておく」「通院しやすい病院・クリニックを選ぶ」ことです。
自覚症状をメモしておく
うつになると、つらい自覚症状があっても、言葉で自分の状態を説明しづらくなります。
これは、うつの精神症状によって、会話をする意欲が低下したり、考えたことを言葉で整理する力が落ちたりすることが原因です。
いざ精神科や心療内科に行くことを考えても、うまく話せるか心配に思えたら、受診をためらってしまかも。
そのため、「うつかもしれない」と疑った時には、普段から自覚症状をメモしておくことをおすすめします。
からだの状態や生活の問題をメモに残しておくことで、医師に自分の現状を伝えやすくなります。
場合によっては、直接医師にメモを渡しても良いでしょう。
通院しやすい病院・クリニックを選ぶ
精神科や心療内科の受診は、一度きりで終わることはほとんどありません。精神的な病気の治療には、ある程度の期間が必要になります。
そのため、継続して通院しやすいように、病院・クリニックは、自宅や職場に近い場所を選ぶことをおすすめします。
受診は早いほうが良い
医療機関へ行くことを決心したあとは、早めに受診するようにしましょう。というのも、次の2つの理由があるからです。
薬の効果が出るまでには、時間がかかる
うつの症状に処方される薬は、からだに効果があらわれるまでに1~3週間ほどの時間がかかります。
言い換えると、受診を先延ばしするほど、つらい症状に悩まされる期間も長くなるのです。
精神科や心療内科は、すぐに受診できない場所が多い
それから、精神科や心療内科では、すぐに受診できない病院・クリニックが多いです。
というのも、精神科や心療内科の初診では、時間をかけて問診をおこなうので、受診に予約が必要な医療機関がほとんどだからです。
先週・昨日・今日と様子を見ても一向に体調が改善しないのなら、専門家に診察してもらう必要があるのかもしれません。
「うつかもしれない…」と疑っているのなら、早めに受診をして、重症化しないうちに治療を開始してみてはいかがでしょうか。