「あの人に嫌われてる」は思い込みなのか?人間関係がうまくいかない原因と解決策を紹介
職場にいる苦手なタイプの人。
話しかけてくれなかったり、話しかけてもリアクションが少なかったりすれば、「嫌われてるのかも…」と思えてしまうものですよね。
なかには、まわりの人たちから嫌われているように思えて人間関係に苦手意識や恐怖心を抱いてしまっている、という人もいるでしょう。
実は、その苦手意識や恐怖心、自分の思い込みかもしれません。
ここでは、「嫌われてる」と思い込む原因を説明するとともに、うまく人間関係を築くための解決方法について、お伝えします。
目次
「嫌われてる」と思い込む2つの原因
「嫌われてる」と思い込む原因は、目の前の出来事を自分の都合の悪いほうに考えてしまうからです。
心理学では、このような考え方を「結論の飛躍」と言います。
アメリカで活動する精神科医 デイビッド・D・バーンズ医師は、「結論の飛躍」を2種類に分けています。
根拠もないのに悲観的な結論をだしてしまう。結論の飛躍には、2種類あります。
① 心の読みすぎ
ある人が、あなたに悪く反応したと早合点してしまう
② 先読みの誤り
事態は確実に悪くなる、と決めつける
(引用 デイビッド・D・バーンズ(2013):いやな気分よ さようなら コンパクト版.星和書店)
思い込みの原因になる「心の読みすぎ」と「先読みの誤り」について、詳しく説明します。
心の読みすぎ
心の読みすぎとは、他人の気持ちや考えを早とちりして、「自分のことを悪く思っているに違いない」と思い込んでしまう状態です。
例えば、職場で同寮に話しかけた時にそっけない態度をされただけで、「自分は嫌われてるんだ…」と思い込んでしまうといったように。
他人の表情・態度・反応を見てすぐに嫌われている、何か悪いことをしたと早合点するのが、心の読みすぎという状態です。
もしかすると、同寮は、自分の仕事が忙しく気持ちの余裕がなかったため、そっけない態度をとってしまったのかもしれません。
あるいは、たまたまその日は体調が悪く話しかけられても気持ちよく反応できなかった、ということもあるでしょう。
他人の事情は無視している一方で、自分に都合の悪い考えに意識が向くのが、心の読みすぎの特徴です。
先読みの誤り
先読みの誤りとは、都合の悪い出来事があった時に、「事態はいまより必ず悪くなる」と思い込んでしまう状態です。
例えば、同寮に嫌われていると思い込んでしまうとその人との関係は“終わった”と考え、一方的に距離をとったり、縁を切ったりしてしまうといったように。
事態の予測を誤り、悪いほうへ進展すると決めつけてしまうのが、先読みの誤りという状態です。
仮に、同寮が自分のことを嫌っていたとしましょう。
だからといって、これからも同寮との関係を全く修復できないとも言いきれません。
同じプロジェクトを担当したり、飲み会で打ち解けたりして急にお互いの距離が縮まり、仲が良くなるというのはよくある話です。
思い込みの背景にあるのは「認知のゆがみ」
なぜ、思い込みが起こるのかというと、その理由は、事実を歪んで捉えてしまっているからです。
心理学では、物事を捉えることを「認知」、物事の事実を歪んで捉えてしまっている状態を「認知の歪み」と言います。
心の読みすぎや先読みの誤りという思い込みは、まさに認知が歪んでしまった結果です。
厄介なことに、認知の歪みは、いままでの生活で頭のなかに根づいてしまっているため、自分では気づくことが難しいです。
「嫌われてる」と思い込みやすい人は、あらゆる人間関係でまわりの人に嫌われてると思い込みやすいですし、事態が悪いほうに進展すると思い込みやすい人は、一度都合のわるいことが起きると持ち直せないと思い込みがちなのです。
そのため、うまく人間関係を築くには、思い込みに対する適切な解決方法を身につけることが大切です。
人間関係を楽にする方法
自分で思い込みに気づき、うまく人間関係を築くにはどのようにすれば良いのでしょうか?
ここからは、解決方法を紹介します。
事実を正確に捉える
思い込みに気づくには、物事の事実を正確に捉えるように意識することが必要です。
例えば、あなたが同僚に話しかけたにも関わらず、そっけない態度をとられてしまったとしましょう。
この時、すぐに「自分は同僚に嫌われてる」と思うのは、心の読みすぎ(思い込み)です。
同僚の態度がそっけないものであったからといって、必ずしも、自分のことが嫌いとは限りません。
なぜなら、仕事が忙しかったり、不安や悩みを抱えていたりなど、他人にそっけない態度をとってしまう原因は、ほかにも色々と考えられるからです。
「同僚の態度がそっけなかった」ということだけが事実であり、「自分は同僚に嫌われてる」というのは、自分で勝手に想像を膨らませた思い込みです。
このように事実を正確に捉えると、思い込みに気づくことができます。
良かった出来事を思い出す
思い込みに陥る時は、自分に都合の悪い出来事に意識が向いてしまうものです。
一方で、良かった出来事は見落とされがちです。
例えば、プロジェクトの方向性について同僚と意見が合わず、関係性が悪くなってしまったとしましょう。
この時、すぐに「あの人とは、今後うまくやっていけるはずがない」と思うのは先読みの誤り(思い込み)です。
一度意見が対立したからといって、修復できないほど関係性が悪くなるとは限りません。
嫌な思いをした時点では「うまくやっていけるはずがない」と思っても、実は、いままでも同じように意見をぶつけながら成果をあげてこれたり、ほかの場面で数多くのサポートをしてもらえたりしたことを思い出せば、同僚に対する印象を良いほうに変えられます。
少し視野を広げて、良かった出来事を思い出してみると、気まずくなった人間関係も乗り越えやすいでしょう。
「嫌われることもある」と、割りきる
時には、自分の思い込みではなく、本当に「まわりの人から嫌われてる」ということもあるでしょう。
このような場合には、「嫌われることもある」と、気持ちを割りきることが大切です。
誰からも好かれようと考えれば、それだけで、人間関係に気を遣いすぎ疲れてしまいます。
家族や職場・友人関係など、関わる人の数が増えれば、相性の合わない人がいるほうが自然ではないでしょうか。
先ほどお伝えした方法で解決できそうにないのなら、無理して良好な人間関係を築こうとしないのもひとつの方法です。
自分のことを好きでいてほしい相手にだけ十分に気を遣えるように、気持ちに余裕を残しておきたいものです。
思い込みと事実を区別して、気楽な人間関係を
「嫌われてる」と思い込むのは、心の読みすぎと先読みの誤りという、認知の歪みが原因です。
思い込みを起こす時は、必ず、物事の事実を歪めて捉えてしまっています。
そのため、思い込みを防ぐには、自分の考えが事実に基づいたものか、見極めることが大切です。
うまく人間関係を築くためには、思い込みと事実を区別するように意識してみましょう。