認知行動療法は仕事復帰にどう活きてくるのか?うつ病当事者が実践する対人ストレスの減らし方
うつ病の治療方法として、メディアでも「認知行動療法」について見聞きする機会が増えてきました。落ち込みやすい、不安な気持ちになりやすい方のなかには、認知行動療法に興味を持つ人も多いのではないでしょうか?
ただ、メディアで見聞きするのは、認知行動療法の方法やメリットについて専門家が紹介している情報が多いので、「当事者として、日常生活にどう活きてくるのか?」いまひとつイメージしづらいです。
僕は、うつ病当事者として、専門書を参考にしながら自分で認知行動療法をおこなってきました。認知行動療法の実践経験があったことで、仕事復帰した後にも落ち込みや不安感に悩まされることが少なくなったんです。
そこで、自分の経験を踏まえて、認知行動療法が仕事復帰にどう活きてくるのかについて紹介します。
認知行動療法をおこなうと、人間関係に対する恐怖心が小さくなる
僕が認知行動療法をおこなってみてもっとも良かったと思うメリットは、人間関係に対する恐怖心が小さくなったことです。
そもそも、うつ病の方の仕事復帰を困難にしている主な原因は、人間関係に対する恐怖心にあるのではないでしょうか?上司や同僚・お客さんとの人間関係のストレスが、うつ病を発症するきっかけになった人も多いはず。
発症のきっかけになった人間関係のトラブルを思い出されると、仕事復帰する自信が持てませんよね。
認知行動療法をおこなうと、人間関係に対する恐怖心を小さくなり、仕事復帰する自信が持ちやすくなるでしょう。
落ち込みや不安感を解消し、仕事に集中できる
では、なぜ認知行動療法で人間関係に対する恐怖心が小さくできるかというと、それは頭の中の考えを客観視できることによって、落ち込みや不安感を自力で解消できるようになるからです。
落ち込んだり、不安な気持ちになったりすると、思考が停止して仕事に集中できなくなってしまう。こういったネガティブな気分に陥っている時は、視野がせまくなり、現実に起きていることを正しく捉えることができないものです。
例えば、会社で上司と同僚が仕事の話をしている様子を見た時にも、自分の働き方を悪く言われているように感じるかもしれません。あるいは、会社のサービスの内容についてお客さんからクレームを受けた時には、自分の人格まで批判されているように感じることもあるでしょう。
このように、ネガティブな気分に陥っている時は、現実に起きていることを正しく捉えられていない場合も多いのです。
認知行動療法をおこない現実に起きていることを正しく捉えられると、落ち込みや不安感が解消し、仕事にも集中しやすくなります。そうなれば、働く自信も湧いてきて、仕事復帰を前向きに考えやすくなるのではないでしょうか?
当事者は、認知行動療法をどのように使っているか?
僕自身は、うつ病の回復期に移行してから自分で認知行動療法に取り組んできました。「認知行動療法は、仕事にどう活かせるのか?」気になる方も多いと思いますが、僕の場合は次のように認知行動療法を使っています。
① 仕事中に、落ち込みや不安感が湧く
② 頭の中にある考えをノートに書き出す
③ ノートに書いた内容が現実を正しく捉えているか分析する
④ 自分が思い違いをしていることに気づく
⑤ いま取り組むべき仕事に集中する
実際に認知行動療法をおこなうようになってからは、仕事上の人間関係のトラブルによって落ち込んだり、不安な気持ちになったりしても、ネガティブな気分や思考から抜け出すことができ、自分がやるべき仕事に集中しやすくなりました。
ただし、仕事の場面で認知行動療法を活かすには、何度も練習をくり返す必要があります。というのも、認知行動療法を実践するには理論を学んだり、使い方に慣れたりする必要があるからです。
療養中であれば、自宅やカフェでノートを開いてじっくり自分の気持ちや思考と向き合うことができますが、仕事復帰すると悠長なことも言ってられません。
ですから、仕事復帰に向けて認知行動療法を活用していきたい場合には、まずは患者向けの本を参考にしながら何度も練習をくり返すと良いでしょう。
マンガでやさしくわかる認知行動療法 /日本能率協会マネジメントセンタ-/玉井仁 | ||||
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