うつ病の再燃を防ぐためには?当事者が再燃してみて見直したこと
「症状がぶり返してきた?」
うつ病が回復してきたと感じていた矢先に、数日にわたって、調子が悪くなる。
・ 夜眠れない
・ やる気が湧かない
・ 考えがまとまらない
・ 自分がみじめに感じる
・ 将来に不安しか感じられない
など
まるで、うつ病になった頃の症状に襲われることがあります。
回復してきているはずなのに、うつ病になった頃と同じような症状が続いていたら、それは「再燃」しているのかもしれません。
目次
うつ病の再燃(さいねん)とは?
うつ病が完全に回復するまでに、うつ状態が悪化することを「再燃(さいねん)」と言います。
うつ病には、回復、寛解、再発、再燃といった似たような言葉があるので、まずは、言葉を整理してみました。
【 うつ病の寛解・回復・再燃・再発 】
寛解:うつ病になる前の正常な状態に戻ること
回復:寛解状態が16~20週以上続いた状態
再燃:回復までにうつ状態が悪化すること
再発:回復後に、再び症状が出てくること
(参考・引用 坪井 康次(2017):うつ病 患者のための最新医学 高橋書店)
うつ病は、「再発」しやすい病気です。うつ病者の60%は、再発し、再発者の70%は再々発、再々発者の90%がさらに再発するというデータが、厚生労働省の調査で報告されていました。
さらに、完全に回復に至るまでにも、うつ状態が悪化する「再燃」という状態があります。
僕自身も、「再燃」という言葉は知っていましたが、調子が悪い時も、「一時的なものだろう?」と考えており、調子が悪い1日が過ぎるのを待っていました。
今までにも、何度も調子が悪い日が丸1日あっては、翌日には、調子が戻る経験を何度もしていたからです。
ところが、ある時、うつ病の症状がぶり返してきたと感じてから、うつ病を発症した頃と同じような症状が、1週間くらい続いたんです。
うつ病が再燃したと感じたきっかけ
僕が、うつ病の再燃だと感じた理由は、調子が悪い期間が1週間と長かったこと、うつ病になった時と同じような症状が出ていたからです。
まず、僕は、自分が好きで、毎日のように行っていた「ブログを書く」、「ツイッターでつぶやく」という作業ができなくなりました。単に、書いたり、つぶやいたりすることにやる気が出ないというよりは、「ブログを書く」、「ツイッターでつぶやく」こと自体に、興味・関心が持てなくなったんです。
僕は、文章を書いたり、何かを発信したりする作業が好きで、何かしらの形で、ブログやツイッターを毎日使っていたんですが、パソコンを立ちあげるどころか、スマホのツイッターアイコンを押すことさえ、面倒に感じるようになりました。
好きで、楽しんでやっていたことができなくなった状態は、自分が「空っぽに」なったような感じがして、悲しむや辛さよりも、虚しさを感じたんですよね。
また、僕は在宅ワークの傍らで、主夫として家事を行っているんですが、家事については、やる必要性を感じていても、どうしても、やろうとする気持ちになれくなったんです。
洗濯物や洗い物がたまり、部屋が散らかり放題。
休日には、妻が家事をやってくれるんですが、家族にやってもらうと、それはそれで、何もできない自分が無価値に感じられてきたんですよね。
ありませんでした?うつ病初期の「自分は何もできない、価値のない人間」という気持ちの状態。まさに、その状態そのものです。
調子の悪くなった1週間を振り返ってみると、うつ病になった頃と同じように、やはり眠れなくなっていました。
毎日のように、中途覚醒や早朝覚醒しており、ベッドに入って眠りにつくにも、30分から1時間以上がかかるようになっており、寝ること自体もストレスに感じるようになっていました。
何にも興味が湧かず、「空っぽ」のような状態、必要性を感じていても行動を起こせず、自分が無価値に思えてくる日が何日も続く…。
十分な睡眠がとれず、日中は、頭がぼんやりして、考えがまとまらない…。
今までも、1日か、2日連続で調子が悪くなった日があったんですけれど、精神科医に相談した時には、1日や2日程度の調子の悪さは、うつ病の回復に伴う状態悪化だから、気にしなくていいと言われていたんです。
だから、調子の悪さが1週間続いていることが、すごく不安に思えて、「うつ病が再燃した?」と考えたんです。
うつ病の再発は、初発の時と症状が似ている
自分が、「うつ病を再燃していないか?」と疑問になった時、改めて、うつ病の本を読み直してみたんです。
うつ病の本には、「再燃」についての記載がほとんどなかったのですが、「うつ病の再発」については、次のような記載がありました
再発のサインは人それぞれですが、気分の落ち込みやイライラ感、不眠など、その人の再発のときの症状と、はじめてうつ病になったときの症状はほぼ同じ。
引用:坪井 康次(2017).うつ病 患者のための最新医学 高橋書店
うつ病の初発と再発は、症状がほとんど同じ。ということは…
僕の場合は、うつ病の「再燃」について、あくまで自己判断の範疇ですが、明らかに、うつ病になった頃と同じ自覚症状が出てきていたんですよね。
ただ、抗うつ薬は、ずっと変わらず使っているし、うつ病を発病した頃のように、会社に勤めている訳ではないので、自分の生活の中で、どこかに不具合が生じているんだと思うんですよ。
だから、薬だけではなく、現在の生活を見直す必要があるのではないかと考えるようになったんです。
うつ病を再燃しないために、見直しが必要だったこと
うつ病の症状を再燃させないためには、生活の見直しが必要です。
抗うつ薬の量が変化していないとしたら、変わっているものは、生活の中での疲労やストレスですよね?
疲れを感じる前に、休む
うつ病の再燃を疑うまでは、僕の生活は、午前中のうちにカフェに行き、パソコンで4時間以上連続でブログの記事を書いたり、webライターとしての記事を書いたりする作業をしていました。
昼頃に自宅に帰ってきてからは、家事をしたり、買い物に行ったりして、夕飯をつくった後に、娘を学童に行くような生活をしていました。
また、家事の合間に運動として、散歩を1時間以上行い、さらにその合間でブログを書いていたんですよね。
休憩をとらずに、連続して、パソコンで4時間以上の作業をしたり、1時間以上連続して散歩をしたりすると、1日の終わりには、頭がぼーとしてひどい疲れを感じることや家事をやるのもしんどくなるような疲労を感じていました。
でも、「肉体的な疲れがあった方が、夜もゆっくり眠れるだろう」という考えもあり、疲労感を感じることに対しては、それほど嫌な思いをしていなかったんです。
しかし、実際には、逆の結果となり、疲労感を感じながらも、頭はどんどん冴えるようになってきて、段々と眠れない日が出てきたんですよね。
ついつい、休んでいた時期の分を挽回するかのように、休憩もとらずに作業や運動を集中的に行いがちですが、うつ病になる前よりも、体力や集中力が落ちていますし、疲労を回復する能力も落ちていることを軽視していることって多いんじゃないですかね?
だから、疲れを感じる前に、休みをとることが、うつ病の症状を悪化させないためには、重要だと思うんです。
① パソコン作業は、1時間から1時間30分を目安に休む
ブロガーやwebライターとして、パソコンで記事を書いていると、調べ物をしたり、記事の書き直しをしたり、長時間連続で、作業をし続けてしまうことが多いです。
蓄積した疲労は、休憩を長くとっても、十分にとれません。
ちょうど、うつ病になるまでに溜まった疲労やストレスが、簡単には回復しないようなイメージと一緒です。
だから、細めに休憩をとり、からだが、十分に回復ができるように心がける必要があるんです。
うつ病の再燃を疑ってから、パソコンを使った作業時間を1時間から1時間30分と決めた理由は、自分の体感によります。
今までは、作業がはかどると考えて、毎日のように、カファに行って、パソコンを使った作業を行っていたのですが、カフェであると、人に気を遣ったり、狭いスペースで、座って休まなければならなかったり、意外と休みをとることが難しかったのかもしれません。
作業する場所を自宅に変えてみたところ、ソファに横になって、10から15分程度だけでも、目をつぶって休むことで、休憩後の頭のスッキリ感を感じるとることができるようになりました。
② 散歩は、15分から30分を目安に行う
僕は、うつ病が再燃するまで、毎日1時間以上の散歩または、自転車での運動機会を作っていました。
でも、よく考えてみると、日常生活は、運動以外にも、家事・育児をしながら、活動している量って、結構多いんですよね?
僕の場合は、15分から30分くらいを目安にして、散歩をすると、「疲れを感じずに、からだを動かして気持ちいい」と感じられるようです。
うつ病の治療のためには、1日30分散歩をすると効果的というデータもありますが、人それぞれ、日常生活の活動量が違うと思うので、「疲れない程度の運動」にとどめることが重要だと思います。
2.眠りやすい環境をつくる
睡眠障害は、うつ病者にもっとも多くみられる身体的症状と言われています。
僕自身も、入眠障害、中途覚醒や早期覚醒に悩まされていました。
だいたい、午後10時頃にベッドに入るのですが、ベッドに入ってから、ブログのアイディアが浮かびはじめ、色々な発想が頭に湧いてくるような状態だったんです。
1日の中で、一番頭が働いているのは、ベッドに入っている時のような感じですね。
1日活動して、からだは疲れているはずなのに、頭が冴え眠りにつくことができなかったり、寝ている最中に何度も起きてしまったりすると、朝に起きてからも、頭がぼーとして、翌日には、頭やからだが重くて、活動する気力が落ちているものです。
活動できないと、不安感も強まります。
そこで、どうしたら良質な睡眠をとることができるか考えた時に、眠る前に、できるだけ頭を働かせないような3つの方法を取り入れることにしました。
① 夜20:00を過ぎたら、新しいアイディアを考えない
② 夜20:00を過ぎたら、パソコンに向かわない
③ 新しいアイディアが浮かぶ時は、ノートに書くだけにする
パソコンのブルーライトが、どのくらい頭を活発にさせて、交感神経を働かせ、頭を興奮させるかはわかりません。
ただ、少なくとも、眠る時間が近くなってから、パソコンでブログの記事を書いたり、調べ物をしたりすると、ベッドに入ってからも、色々なアイディアが頭に浮かびやすかったり、心臓がドキドキしたりして、頭が活動状態になりやすいことはたしかです。
眠る時に、アイディアが浮かんできても、何か作業できる訳ではありません。
アイディアが浮かんできたからといって、パソコンを使って作業をしたり、アイディアを膨らませたりすると、結局眠れずに、翌日には頭がぼーとするので、作業効率がさがりやすいですよね。
ただ、眠る前に、何も考えないということは、できないと思うんです。
色々なアイディアを考えることは楽しいですし、頭が働く今のうちに考えごとをしたい気持ちもわかるんです。
だから、僕は、アイディアが浮かんで、頭が冴えきっている時は、パソコンを使うかわりに、ノートに、考えたことをまとめるようにしました。
ノートにまとめておけば、浮かんだアイディアを忘れないですし、パソコンを見ることによって頭が冴えきってしまう状況も防げますよね?
良質な睡眠をとることで、翌日に活動できるからだの状態をつくりやすいですし、疲労を回復してうつ病の再燃を予防できると思うんです。
おわりに
うつ病の回復途中にも、症状が「再燃」して、うつ症状が悪化する場合があります。
うつ病の再燃や再発は、うつ病を発病した時と、ほとんど同じ症状がでるため、体調不良が何日も続くようなら、うつ状態が悪化している可能性があり、現在の生活の仕方を変える必要があるかもしれません。
長くうつ状態が続くようなら、生活を振り返ってみて、1日の活動量や睡眠の状況をもう一度見直してみると良いですよ。