「本当は傷つきやすい人たちへ」をレビュー!心理カウンセラーが教授する楽に生きやすい方法とは?
傷つきやすい性格の人は、つらい思いをすることが多いので、何かと悩みやすいもの。
自分がちょっとしたストレスでも深く傷つきやすい性格であると、とても生きづらいですよね。
僕も、物事には敏感なタイプで、特に人間関係などのストレスをきっかけに、つらい思いをしたり、傷つきやすかったりする傾向がありました。
敏感さや傷つきやすさには、自分自身でもめんどくさい性格だと悩むことが多かったです。
ところが最近、世の中には「HSP」という物事に敏感で、傷つきやすい資質を持つタイプの人が多いことを知りました。
自分がHSPがどうかの判断はつかないかもしれないけれど、敏感で傷つきやすい資質について知ることで、気をつかわずに、もっと楽に生きられるのではないかと思ったことから、心理カウンセラーの西川 佳宏(にしかわ よしひろ)さんが執筆した「本当は傷つきやすい人たちへ」を読むことにしたのです。
この本は、人間関係で気疲れしたり、理不尽な思いをしたりする方の参考に、傷つきやすい理由や楽に生きやすい方法が紹介された本です。
傷つきやすい性格の人は、どのようにすると楽に生きられるのか?
「本当は傷つきやすい人たちへ」の内容を紹介しながら、読んでみた感想を書いていきます。
5人に1人はHSP
「本当は傷つきやすい人たちへ」は、HSPの人に向けた、生きづらさを解消するための対策を紹介している本です。
「HSPとは、Highly Sensitive Personを略した用語で、日本語では「敏感すぎる人」を指します。
専門家の研究によると5人に1人がHSPであると言われています。
HSPは、アメリカの心理学者によって提唱された言葉です。
筆者の西川さんは、HSP(敏感すぎる人)が日常生活の色々な場面で心に傷を負いやすい点に着目し、この本の中では、HSPを「傷つきやすい人」と表現したそうです。
一般的に、HSPには、次の6つの特徴があります。
① 五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)から入る情報に敏感
⇒外からの刺激に反応しやすいので、ストレスを受けやすい
② 人のエネルギーに敏感
⇒怒ったり、悲しんだりしている人がいると、恐怖や悲しみを感じやすい
③ ネガティブな感情を感じやすい
⇒批判や指摘など、他人からの攻撃にダメージを受けやすい
④ 他者への気づかいが行きすぎる
⇒他人を気づかったり、傷つけないようにしたりするあまり、自分よりも他人を優先する
⑤ 好き嫌いが激しい
⇒人や環境の好き嫌い、食事、身につけるものなど、好き嫌いがはっきりしている
⑥ ストレスが心と身体に表われやすい
⇒感情を抑えようとするため、からだが緊張しやすかったり、肩こりをしたりなど、心身の不調を起こしやすい
( 引用・参考:西川佳宏(2017):本当は傷つきやすい人たちへ )
あらためて心理学の専門家に言われると、自分が傷つきやすい性格であることに気づく人も多いのではないでしょうか?
傷つきやすい人は、物事を敏感に感じやすいので、普通に生活しているだけでも強いストレスを溜めやすいもの。
無意識に感じているストレスにより、気づかないうちに疲れたり、心身が傷ついたりしていることも多いのでしょう。
傷つきやすさの仕組み
そもそも、なぜ物事に敏感な人は、傷つきやすい性格になるのでしょうか?
傷つきやすさの仕組みがわかると、自分がどのくらいストレスが溜まりやすい生活をしているか理解しやすいと思います。
どうやら、傷つきやすい性格の人は、自分が傷つかないために、日常生活で色々な戦略を使いながら生活をしているようです。
ここでは、傷つきやすい人が使いがちな代表的な2つの戦略について、本の中から紹介します。
① 他者ケア戦略
傷つきやすい性格の人は、他人のエネルギーや気持ちを敏感に察知することが得意です。
他人の気持ちを読み取って、相手が怒らないように気配りしたり、相手が傷つかないようにフォローしたりしていることが多いので、ストレスが溜まっていきます。
自分が傷つかないように先回りして相手を気づかっているのですが、それが余計な気づかいになってしまったり、うまくフォローできなかったりすることも多いので、結果的に、気をつかっている分ストレスが強いのです。
家族だけならまだしも、仕事や友人関係など、他人ばかりに気をつかっていたら、エネルギーの消耗が激しいですし、ストレスがたまって疲れやすくもなりますよね。
② 引きこもり戦略
傷つきやすい人は、他人と関わる中で我慢が限界を超えると、人間関係をどんどん狭めていきます。
他人をきづかったり、ケアしたりする必要がない状況をつくることで、エネルギーの消耗が少ない環境を好むようになるのです。
たしかに、他人との関わりがわずらわしく感じて、一人になりたいと思うことも多いですよね。
ただ、仕事をしたり、他人との余暇を楽しんだりする時には、自分の中にだけ引きこもっていてもできることが少なくなってしまうので、傷つきやすい性格の人は、自分を追い込んでいく戦略をとっているとも言えるのです。
傷つきやすい人には対策が必要
では、傷つきやすい性格の人は、つらい思いをしながら生きていかなければならないのかというと、そうでもありません。
筆者の西川さんは、傷つきやすい性格の人が楽に生きやすくなる方法を説明しています。
ここでは、僕が読んだ中で、もっとも参考にしやすい方法について本文の内容を引用しながら紹介します。
① 自分の資質を受けいれる
傷つきやすい人は自分の性格を嫌う反面、強さや傷つきにくさに憧れやすく、自分を装ったり、傷つかないように無理をしたりするので、余計に傷ついていく傾向があります。
本当は傷つきやすいにもかかわらず、傷つきにくいふりをするので余計に傷つきやすい状況に陥ります。傷ついていないふりをしているので、傷を隠します。弱くないふりをします。強がります。そのため、傷がどんどんたまっていきます。
( 引用:西川佳宏(2017):本当は傷つきやすい人たちへ )
西川さんによると、自分が敏感にストレスを感じやすいものが何かを知るには、自分の傷つきやすい性格を受けいれることが重要なようです。
敏感にストレスを感じることがはっきりすれば、ストレスを避けたり、傷を軽くしたり、傷つかないための対策が立てやすいですよね。
自分を変えたいという気持ちがあるからこそ、隠したり、偽ったりせずに、ありのままの自分と向き合うことが必要になるかもしれません。
② 傷を癒やすツールを持つ
傷つくことに対する恐怖心をなくすには、自分の傷を癒やせるツールも持つことも必要なのだそう。
たしかに、何かストレスを感じるたびに心が傷つきっぱなしであれば、ちょっとしたことをするにも恐怖心を感じるようになりますし、生きづらくも感じますよね。
ある実験によれば、実際につらいことがあったとしても、あらかじめ傷を癒やす方法がわかっていれば、、ずいぶんとストレスが減るようなのです。
受けるストレスを予測していることと回避方法があるとわかっているだけでストレスを5分の1まで軽減できた
( 引用:西川佳宏(2017):本当は傷つきやすい人たちへ )
僕の場合は、以前からストレスが溜まった時に、自分の考えをノートに書く習慣があったのですけれど、自分の気持ちや思いを紙に書くだけでも、傷ついた感情を癒やすのには良いそうです。
肝心なポイントは、自分が嫌だと思った感情をためこまずに吐き出す行動をすること。
例えば、カラオケで感情を込めて歌ったり、つらい気持ちを感じながらからだを動かしたりすることもおすすめされていましたよ。
③境界線を意識する
傷つきやすい人は他者の感情に敏感です。そして、しばしばそれをケアしようとする習慣、戦略を持っています。そのため、他者の境界線に入りがちです。
( 引用:西川佳宏(2017):本当は傷つきやすい人たちへ )
境界線を越えるとは、他者の問題を自分の問題とすることです。他者の感情をケアすることは境界線を越えていることになります。
( 引用:西川佳宏(2017):本当は傷つきやすい人たちへ )
他人の気持ちに敏感な人は、本当は他人の問題であるはずのことも、自分の問題にすり替えてしまう場合があります。
ついつい、「自分が何とかしなきゃ!」「自分のせいかも…」といったように、何でもかんでも責任をとってしまうこともありますよね。
ここで言う境界線とは、自分と他人との問題を混合せずに、区別して考えられるようになる概念です。
僕は、この境界線の概念を知ってから、他人の感情に左右されて、自分の気持ちを追い込んでしまうことが少なくなりました。
例えば、仕事でミスをして気分が落ち込んだ人がいた時も、仕事のフォローはできても、その人の「つらい気持ちまでは自分が背負うことはできない」と考えられるようになったのです。
今までは、相手の気持ちに寄り添いすぎて、気づいたら自分のほうがつらい気持ちになっていることも多かったのですけれど、自分と他人との感情に境界線をひけたことで、受けるストレスが減り、相手の感情で自分を傷つけることが少なくなりました。
傷つきやすい考え方を変えるきっかけになる
物事に敏感な人は、職場や家庭など、色々な場面で生きづらさを感じることが多いでしょう。
でも、なぜ生きづらさを感じたり、傷ついたりしやすいのか、自分では気づきにくいものです。
この本は、科学的なデータよりも、筆者の経験を踏まえて書かれた内容が多いです。
そのため、読む人によっては、説得力が書けるように感じられるかもしれません。
ただ、心理カウンセラーらしい「心の動き」に着目した切り口の説明になっており、傷つきやすい考え方のきっかけとしては参考にしやすいでしょう。
日々の生活で傷つきやすく、生きづらさを感じているようでしたら、ぜひ一読してみてはいかがでしょうか?