うつ病の「診断から1年」死にたいと思っていた人生に変化があったこと
いま現在、死ぬこと以外に考えられない、という人もいるでしょう。
僕は、うつ病と診断され、1年が経ちました(2019年1月現在)。
診断当時は、死にたいと思ってばかりの日々…。
しかしながら、最近になって、自分の心境や生き方にいろいろな変化が起こりました。
うつ病になると、将来がとても不安に感じられますよね。
「本当に回復するのか?」「いつになったら働けるのか?」と、当事者なら誰もが思うもの。
そこで今回は、うつ病の診断を受けてから1年後にどのような変化があったのか、当事者としての体験談をお伝えします。
目次
うつ病の診断を受けてから
まずは、うつ病の診断を受けてからの生活を簡単に紹介します。
復職後に病気退職
僕の場合は、うつ病の診断を受けて間もなく、勤めていた会社を休職しました。
会社を休職したのは、死にたい気持ちはもちろん、働く意欲が湧かなかったり、仕事に必要な集中力が続かなかったりしたためです。
上司に許可をとり休職し、3ヵ月後に元の会社・部署に復職。
ただ、復職してからも体調が悪く、結局、すぐに病気退職しました。
1年間、自宅療養に
病気退職してから1年間は、自宅療養していました。
本当は、退職後しばらくして、新たな会社に就職しようと考えていたのですが…
どうしても働く気持ちになれず、自宅療養に専念することにしたんです。
死ぬことばかり考える日々
自宅療養をはじめてからは、毎日、死ぬことばかり考えていました。
残される家族のこと、心配する親のこと。
こういったことが頭に浮かんではいましたが、マイナスな思いばかりが浮かんできて、結局は、自分の気持ちしか考える余裕がありませんでした。
診断から1年で変化したこと
僕の場合は、うつ病と診断され、治療を開始してから1年で体調や心境がずいぶんと変化してきました。
診断当初と現在の違いがわかりやすいように、変化を表にしました。
診断直後 | 1年後 | |
体調 | ・午前中を中心に、ひどい憂うつ感や不安感あり ・体が鉛のように重い |
・憂うつ感や不安感が減った ・家のなかを動きまわれるくらいの体の重さ |
睡眠 | 入眠困難、早期・中途覚醒 | 早期覚醒がなくなる |
食事 | 食べやすいものしか食べられず(体重5㎏減) | 何でも食べられる(体重は健常児に戻る) |
生活 | ベッドか、ソファで寝ている | 家事をしたり、趣味を楽しんだりできる |
仕事 | 無職 | 小銭を稼ぐ程度の在宅ワークができる |
心境 | とにかく死にたい | ・生きたいと思える ・「幸せだ」と思える日が出てきた |
特に、大きな変化と感じたのは、「生きたい」「幸せ」と思えるようになった心境です。
というのも、うつ病と診断された当時は、いつも死ぬことばかり考えていたので…
治療したところで、自分が前向きになったり、幸せを感じたりできるとは想像できなかったからです。
「自殺願望」は、うつ病の代表的な症状
うつ病の代表的な症状のひとつに、「自殺願望(自殺念慮や希死念慮ともいう)」があります。
これは、うつ病になると、複雑な思考ができなくなるため、物事を否定的に捉えたり自分が無価値に思えたりするようになるからです。
自分は価値のなに人間だ、という無価値感や罪責感が強くなると、「死にたい」「死んだほうがましだ」「自分などいないほうがよい」という気持ちが生まれ(自殺念慮)、実際に自殺を企てることがあります(自殺企図)
(引用 坪井 康一(2017):患者のための最新医学 うつ病.高橋書店)
「自殺願望」は、治療で徐々に軽減・消失する
「死にたい」という自殺願望は、うつ病の症状であるため、抗うつ薬の服用や休息といった治療で徐々に軽減・消失します。
ただし、どのくらいで軽減・消失するかは人それぞれで違います。
数ヵ月で消失する人もいれば、数年かけてゆっくり軽減するケースもあると聞きます。
僕の場合、完全に自殺願望が消失したのは、うつ病の治療をはじめてから4年位が経過してからでした。
うつ病の回復にこだわるより、大事だったこと
うつ病と診断を受けてからの1年を振りかえると、回復にこだわるよりも、大事なことがありました。
それは、いま「何をしたいか」、「何ができるか」に意識を向けることです。
うつ病になると、病気の回復や将来の生活について、憂うつ感や不安感を抱きがちです。
でも、どれだけ考えたところで、すぐに病気が回復するわけではないですし、将来を変えようと頑張れるわけではありません。
むしろ、考えれば考えるほど、「死にたい」といった思いや「死ぬしかない」という選択肢が頭に浮かぶでしょう。
それならば、「休みたいだけ休む」「遊びたいだけ遊ぶ」といったように、自分の気持ちに素直でいたほうが楽に過ごせますし、体にも良い影響があるはずです。
つらい思いをしているからこそ、一旦、病気の回復や将来の生活について考えるのをやめ、いま「何をしたいか」「何ができるか」を意識して過ごしてみてはいかがでしょうか。