呼吸法でリラックスするには?ストレスを解消するためのリラクセーション方法
何かとストレスが溜まりやすい現代社会。仕事やプライベートで疲弊することも多く、ストレスは手軽に解消したくなるもの。
健康意識が高いほど、呼吸によるリラクセーション方法が魅力的に感じられているのではないでしょうか?
「呼吸法」は、誰もが普段の生活に取り入れやすい、自分でおこなえるリラクセーション方法です。最近では、色々なメディアでも注目されているので、呼吸法の仕組みややり方が気になっている人も多いはず。
そこで、呼吸法の仕組みややり方を解説するので、自分でストレスを解消できるようにリラクセーション方法について見ていきましょう。
目次
呼吸法のメリット
呼吸法には、色々なメリットがあります。どのような目的で呼吸法をおこなえば良いのか?まずは、呼吸法をおこなう目的について見ていきましょう。
順天堂大学医学部の小林教授によると、呼吸法には、大きく4つのメリットがあります。
① 血流がよくなる
② 肩こり、冷え、ダイエットに
③ 腸内環境を整える
④ 心が落ち着き、リラックスできる
このように呼吸法をおこなうことで、からだや心をリラックスさせることができます。
なぜ、呼吸法はストレス解消につながるのか?
では、なぜ呼吸法をすることでストレス解消につながるのでしょうか?それを知るには、「ストレス」「呼吸」「自律神経」の3つの関係性について理解する必要があります。
ストレスを感じると、呼吸が浅くなる
人間のからだは、不安感や緊張感など、精神的なストレスを感じると呼吸が浅くなる構造をしています。「呼吸法」が推奨されるのも、ストレスが多い現代人は不安感や緊張感などから呼吸が浅くなりがちだからです。
呼吸は、2種類の自律神経にコントロールされている
呼吸は、「交感神経」と「副交感神経」と呼ばれる2種類の自律神経でコントロールされています。2種類の自律神経が、それぞれ逆の働きをしていることで、からだは生きていくためのバランスがとれているのです。
一般的には、「交感神経」はからだを活動させる神経、「副交感神経」はからだを休息させる神経と言われます。仕事やプライベートで忙しい現代人は、からだを活動させている時間が長いため、「交感神経」ばかりが働きがち。言い換えると、からだを休息させる「副交感神経」が働きにくいので、活動と休息のバランスが崩れやすいのです。
呼吸により副交感神経が働くと、からだはリラックスする
「交感神経」と「副交感神経」の働きによって、からだのなかで起こっている変化が理解しやすいように、表にまとめると次のようになります。
「交感神経」が働くと、呼吸は浅くなり、心臓がドキドキしたり、筋肉が働きやすくなったりします。一方で、「副交感神経」が働くと、呼吸は深くなり、心臓が正常時の働きに戻ったり、筋肉も休まったりします。
つまり、しっかりと呼吸をすることで、「副交感神経」を働かせると、からだは休息モードになってリラックスすることができるのです。
「胸式呼吸」と「腹式呼吸」
呼吸と一口に言っても、大きく分けると次の2種類があります。
胸式呼吸
胸式呼吸は、ストレスがかかった状態でおこなわれる呼吸方法です。不安や緊張を感じた時だけでなく、運動をした時などにも胸式呼吸になります。胸式呼吸は、からだを活動状態にする「交感神経」が働く呼吸の仕方です。
腹式呼吸
腹式呼吸は、からだがリラックスする時におこなわれる呼吸方法です。リビングでくつろいでいる時や食事をした後など、休息時には腹式呼吸になります。腹式呼吸は、からだを休息状態にする「副交感神経」が働く呼吸方法です。
呼吸法では、意識的に「腹式呼吸」をおこない、副交感神経を働かせることで不安感や緊張感などのストレス解消を目指します。
腹式呼吸の仕組み
呼吸は、主に「横隔膜(おうかくまく)」と呼ばれる筋肉を使っておこなわれています。腹式呼吸では、この横隔膜を意識的に動かすことで、深くゆっくりとした呼吸をおこない、からだをリラックスさせていきます。
下のイラストは、空気を吸ったり吐いたりしている時に、肺と肺の下にある「横隔膜」の動きをイメージしたものです。
イラストを見てわかるように、息を吸うと肺の中に空気が入ってきた時には、「横隔膜」が下がっていきます。逆に、息を吐くと肺の中から空気が出ていき、「横隔膜」が上がっていきます。
腹式呼吸法をおこなう時には、自分のからだのなかで、このような動きが起きていることをイメージしてみましょう。
呼吸法|腹式呼吸のやり方
それでは、腹式呼吸法の手順を説明していきます。
平らな場所で、仰向けになる
まずは、平らな場所で仰向け(天井向き)になりましょう。下の写真では、呼吸法を畳の上でおこなっていますが、ベッドや布団など、柔らかい敷物の上でおこなったほうが呼吸に集中しやすいです。
硬すぎる場所では、背中や足腰の痛みで呼吸に集中しづらくなるので注意してください。また、慣れるまでは、音や光の刺激があると呼吸に集中しづらいので、静かで薄暗い場所のほうが、呼吸法をおこないやすいかもしれません。
● 平らな場所、楽な姿勢になれる場所
● 静か(テレビやオーディオ関係は消す)
● 電気を消す(目をつぶった時にまぶしさを感じないようにする)
それと、人によっては、仰向けになると腰痛を起こしたり、腰に違和感を感じたりすることもあるでしょう。そのような場合には、下の写真のように膝下へクッションを入れてみてください。腰の筋肉がゆるみ、腰への負担も少なくなるので仰向けになりやすいはず。
鼻からゆっくりと息を吸い、お腹をふくらませる
仰向けになった状態で、鼻からゆっくりと息を吸います。
ポイントは、息を吸いながらお腹を膨らませることです。意識してお腹を膨らませることで肺のなかにしっかりと空気が入り、「横隔膜」を使った深い呼吸(腹式呼吸)をすることができます。
腹式呼吸をおこなうペースは1分間に6回が目安と言われていますが、回数よりも、肺に空気を入れてお腹を膨らませることが大切です。ゆっくりリラックスできないうちは、あまり回数にこだわらず、自分のペースで腹式呼吸をおこないましょう。
写真のようにお腹の上に軽く両手をのせると、お腹がふくらんだり、へこんだりする動きを意識しやすいですよ。
お腹をへこませながら、口をすぼめてゆっくりと息を吐く
鼻から息を吸ってお腹を膨らませることができたら、口をすぼめて、「ふぅ~~~~~」っといったイメージで、ゆっくり深く息を吐いていきます。
力強く息を吐きすぎると、からだの余計なところに力がはいるので、リラックスして、自分のペースで息を吐くと良いでしょう。
手順2と3を繰り返す
あとは、手順2と3を交互に行い、ゆっくりと息を吸い、ゆっくりと息を吐くを繰り返します。
腹式呼吸は、どのくらいの時間おこなえば良いか疑問に思われるかもしれませんが、「○○分」という正式な時間が決まっている方法ではありません。
そこで、僕がおこなっている方法を紹介しますので、参考にしてみてください。
● 時間は、5~10分前後
● ドキドキやそわそわした気持ちがやわらぐまで
● お腹に、温かさを感じるまで
● ため息をつけるまで
腹式呼吸法を繰り返しおこなっていくと、自分なりにおこないやすい環境や時間配分、タイミングなどがわかってくるでしょう。自分流にやり方を工夫しやすいのも、呼吸法の魅力のひとつです。
(参考 富岡 光直(2017):リラクセーション法 心身医学 57(10),1025-1031/福井 至・貝谷 久宣(2012):図解 やさしくわかる認知行動療法.ナツメ社)
精神的な病気の治療にも利用される呼吸法
最近では、うつ病や不安障がい、パニック障がいなどの精神的な病気の治療にも、腹式呼吸法が推奨されています。
精神的な病気を発症する背景には、不安感や緊張感などのストレスが大きく関わっていることも多いです。
もちろん、呼吸法をおこなったからと言って病気が治るわけではないですが、自分でストレスをコントロールできることから、呼吸法が注目されているのでしょう。
病気にまでいかずとも、精神的な不調を感じている時には、呼吸法を取り入れて自分で自分の体調をコントロールしたいものです。
自宅でも職場でもできる
今回は、寝ながらおこなう腹式呼吸法を紹介しました。慣れるまでは、落ち着く場所で、リラックスしやすい姿勢で呼吸法をおこなってみると良いでしょう。
呼吸法に慣れてくると、場所や姿勢を問わずにおこなうことができるようになります。
・家族がいるリビングで寝ながら
・職場のデスクに座った状態で
普段の生活のなかで、不安感や緊張感を感じた時に呼吸法をおこなうことで、上手にストレスをコントロールしやすくなるでしょう。
紹介した方法を参考にしながら、ぜひ日常生活に呼吸法を取り入れてみてくださいね。
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ゆっくり呼吸のレッスン 自律神経が整う血流がよくなる /日本文芸社/小林弘幸(小児外科学) | ||||
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