「ゆっくり休む」とは?うつ病になってからの焦らない休み方
「うつ病になったら休むことが大事」と言われますが、からだの休め方に悩むことも多いかもしれません。
働けない罪悪感や家族への負担感などが強いほど、回復を焦りたくなるもの。どういった形で療養して良いか、わからなくなることもありますよね。
僕は、うつ病の診断を受けてから約1年半が経ちます。現在は、家事を行ったり、在宅で仕事ができるまでになったのですが、療養をはじめた時は、「早く働かなきゃ!」という気持ちの焦りがあって、なかなか休む気持ちになれませんでした。
うつ病になってから、ゆっくりからだを休めるには、「休み方」や「休養の考え方」を知っておく必要があるでしょう。というのも、休むことに意識が向かわないと、気持ちが焦るばかりで何も手につかなくなるからです。
うつ病は、「心身ともに疲れきった、いわばエネルギーが枯渇してしまった状態(※)」とも言われています。仕事をしたり、家事をしたり、趣味を楽しんだりするにも、まずは休むことが重要です。(※引用:坪井 康次.患者のための最新医学 高橋書店,pp116)
そこで、当事者として、うつ病になった時の「休み方」や「休みやすくなる考え方」を紹介します。どのように考えると、ゆっくり休みやすくなるのでしょうか?
うつ病の「休む」には3つの意味がある
そもそも、うつ病になってからの「休む」とは、どういうことなのでしょうか?風邪や骨折などの場合とどういった違いがあるのか、調べてみると「休む」には3つの意味があったんです。
① からだを休める
② 好きなことに挑戦する
③ 生活の役割をつくっていく
参考:日本うつ病学会治療ガイドライン
うつ病では、からだを休めることだけではなく、好きなことをして喜びや達成感を感じたり、徐々に自分のできる役割を増やしていったりするような休み方も大切です。
もちろん、うつ病と一口に言っても、人によってからだの状態や回復の程度はさまざまでしょうから、いまの自分が必要としている「休む意味」を考えることも必要になるでしょう。
「休め」と言われても気持ちが焦る…
頭では「休みが必要」とわかっていても、当事者からすると療養に集中できないもの。色々なことをやってみようと挑戦しているのに、いまひとつ集中できずに、さらに気持ちが焦ってしまうということも多いのではないでしょうか?
僕の場合は、次のようなことを考えている機会が多く、気持ちが焦りやすかったです。
・ 早く変わらなきゃいけない
・ やる気が起きない状態が、ずっと続く
・ 働いていないから、自分の好きなことをしてはいけない
・ 他人にも理解できる結果を残さなければいけない
休むことで、自分にとってどういったメリットがあるかイメージできないと、なかなか療養に集中する気持ちにはなれませんし、「ゆっくり休む」時には、休みやすくなるような考え方を持つ必要があるでしょう。療養に専念できたほうが、不安な気持ちが軽くなったり、働く意欲が湧いてきたりしやすいかもしれません。
休みやすくなる考え方
うつ病になる人は、「まじめで、一生懸命なタイプが多い」と言われます。まじめで一生懸命だからこそ、少しでもからだが動けるくようになると、「早く」「誰かのために」「何か結果を残したい」とも思いがち。
病気になる前から、他人に貢献したり、褒められたりする経験も多く、「がんばらなきゃ」という気持ちが人一倍強いのかもしれませんね。
できるだけ早く、他人のためにがんばろうとする気持ちは悪いことではないですが、からだを休めるためには、自分のことを優先して考えることが必要です。
ただ、そうは言っても、自分だけが休んでいると思えた時には、働かない罪悪感や挫折感が湧いてくることもあります。そこで、罪悪感や挫折感で自分を追い込まないように、次のように考えてみましょう。
● 早く変わろうとしない
● 他人のことは考えない
● 結果を求めない
無理をしてがんばろうとしても、実際には思ったように動けなかったり、全くからだが動かなかったりするのがうつ病です。自分ではがんばろうとしたにも関わらずうまくいかなかった時には、罪悪感や挫折感が一層強くなります。
他人の言動や評価などが気になるかもしれませんが、ゆっくり休むには、自分を追い込まないような考えをやめてみると良いでしょう。
うつ病の回復に良かったと思う休み方
具体的にどういった休み方が良いのか。人それぞれで違いがあるところだとは思いますが、僕が良かったと思う休み方を5つ紹介します。何をして過ごしていいかわからない時には、参考にしてみてください。
① 生活リズムを整える
どのような休み方をする場合でも、生活リズムだけは整えた方が良いです。僕の主治医は、受診すると必ず「眠れているか?」質問をしてくるんですけれど、精神科医からしても生活リズムは重要なんでしょう。
実際、眠れていなかったり、食事がとれなかったりする状態で、うつ病に良いとされる様々な方法を試してみても、ほとんど効果を感じられませんでした。生活リズムが整うだけでも、不安な気持ちになりにくかったり、ストレスに負けにくくなったりします。
ただ、主治医に「生活リズムを整えるように。」と言われても、僕は、何をどのように整えればいいかわからなかったんですよね。そこで、自分で調べたり、実践したりする中で、生活リズムを整えるには朝と夜の過ごし方が重要と気づけました。
生活リズムを整える時には、まずは次の4つを意識してみるようにしてみてください。
① 朝、一定の時間に起きる
② 朝食を食べてから、何がやりたいか考える
③ 昼間に、からだを動かす時間をつくる
④ 寝る前に、スマホやパソコンを長く使わない
関連記事:うつ病で生活リズムを整えるために、欠かせなかった4つのこと
② 運動をしてみる
海外のうつ病の研究では、運動はうつ病の回復に効果があると言われているようです。日本では、運動がうつ病の回復に効果があるかどうかは意見がわかれているようですが、うつ病になると体力や筋力が落ちている場合が多いので、肉体的に疲れやすくなってることはたしかです。
肉体的に疲れやすいと、色々なことを考えたり、気持ちに余裕を持ったりしにくくなるので不安になりやすくなる傾向があります。そのため、からだを動かしたいという意欲が湧いた時には、散歩やちょっとした筋トレなどの運動をしてみると疲れにくくなりますし、日常生活でできることが増えていくと思いますよ。
また、気晴らしにもなりますしね。
③ うつ病の勉強してみる
勉強というと堅苦しく聞こえますが、うつ病の勉強をしてみると自分の状態が理解しやすくなるんです。というのも、うつ病になってみると、意外と病気の名前くらいしかうつ病のことを知らなかったことに気づくと思うんですよね。
僕は、うつ病になってうっかりミスや物忘れをよくするようになりました。一時期は、自分がダメな人間になってしまったように感じてつらかったんですが、うつ病の勉強をしてみると、うっかりミスや物忘れが病気の症状のひとつであると知ることができたんです。
どこがどのくらい病気の影響を受けているかは自分では判断がつきにくいですが、今の状況に不安を感じているのなら、からだの状態を正確に理解するために、うつ病について知識を深めてみるといいかもしれません。
④ やりたいことをする
仕事をしていないと自分のやりたいことを自粛しなければいけない気持ちになりますが、僕は、うつ病の療養中には、2つの理由からやりたいことを思うがままにした方がいいと思うんです。
1 ) 意欲や興味が湧いてくる
うつ病では意欲や興味が喪失するので、色々なことが億劫になったり、楽しく感じられなくなったりします。今まで好きだった趣味が楽しくなくなるのも、こういった症状の可能性が高いです。
逆に言えば、意欲や興味が喪失した中で「やりたい」と思えているということは、それだけ自分が求めていることなのはないでしょうか?だから、うつ病で休んでいるからこそ、自分がやりたいことを思うがままにやった方がいいと思うんです。
2 ) ストレスをためない練習
また、自分の気持ちを我慢しないことは、ストレスをためない練習にもなります。
うつ病になったら、好きなことをした方がいいと言うけれど、これは再発予防のためにも大事になると思う。
誰かのために自分を犠牲にする生き方を変えないと、ひたすらたまっていくストレスにすぐに潰される。
療養中から、自分の気持ちを押し殺さずに、好きなことをできるようになっておくべき。
— うつ病ブロガー たぐ (@tagweblog) 2019年3月19日
⑤ 自分の考え方を振り返ってみる
うつ病の人は、物事を偏って考える傾向があると言われており、この偏った考え方は「認知の歪み」と呼ばれています。
僕は自分の考え方を振り返ってみてから、自分がストレスを溜めやすかったり、気持ちを落ち込ませやすかったりする考え方をしやすいことに気づきました。
● 憂うつな気分になる時、どういった考えをしているのか?
● 不安になっている時は、何を考えているのか?
● どう考えると気持ちを落ち込ませずにいられるのか?
うつ病になった時と同じような状況になっても、ストレスが溜まりにくかったり、気持ちが落ち込まなくなったりできるようになるには、自分の考えを振り返ってみる作業が必要です。
また、考え方を変えて、自分の気持ちを楽に保てるようになる方法は「認知(行動)療法」と呼ばれています。○○療法と聞くと難しそうに思えますが、書籍などを参考にしながら自分で行っている人も多いです。
以下の記事では、実際に認知行動療法を自分で行ってみた例を記載しているので、興味があったらみてください。
関連記事:認知行動療法とは、わかりやすく言うとどういうことなの??
⑥ 休み方を覚えてみる
うつ病の療養中に、自分なりの「からだの休ませ方」を作っておくことも良かったです。というのも、うつ病になるとからだが疲れやすくなるからです。
うつ病になると、3つの理由で疲れやすい。
①不安や緊張を感じやすい
②薬の影響
③生活リズムが崩れやすいこのからだの疲れやすさは、家事やちょっとした仕事ができるようになっても残る。
「休み方」って大事。
療養中に、からだの疲れを軽くする自分なりの方法を作っておけると良いと思う。
— うつ病ブロガー たぐ (@tagweblog) 2019年3月18日
からだが疲れてくると、不安な気持ちになりやすかったり、考えがまとまらなくなったりします。うつ病になる前に比べて、長く複雑な作業が行いにくくなったと感じることが多くないですか?
僕の場合は、うつ病になってから、1時間から1時間30分くらいに1回休憩をとらないと、仕事を続けることができなくなりました。疲れて仕事ができなくなった時は自分なりの対処法を行っているのですが、自分の力で疲労感を軽くできると仕事が行いやすいですし、それ自体が自信にもつながります。
回復には時間がかかるので、うつ病を抱えながら仕事や家事などを行っていくためにも、自分なりの休み方を覚えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
うつ病になってからの「休み方」や「休養の考え方」についてお話ししました。
具体的な休み方は人それぞれだと思いますが、焦らず自分のペースで療養していくことは、誰にとっても必要なことだと思います。個人的には、休み方よりも休みに専念できる考え方が重要だと考えているので、気持ちが焦ってしまうときには以下の考え方を思い出してみてください。
● 早く変わろうとしない
● 他人のことは考えない
● 結果を求めない
記事の内容が、焦らずに療養するための参考になっていれば嬉しく思います。長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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タグさん、こんにちは。
ジュンと申します。42歳無職でうつ病療養中の身です。
タグさんのブログに助けてもらっています。ありがとうございます。
僕はうつ病の治療を始めて1ヶ月で、自宅療養中です。初めての経験で、療養して休めって言われてるけど何すれば良いの?
と悶々としています。うつの波は容赦無く襲ってくるし、将来は不安だし、もう大変です。
タグさんの記事を参考にして、自分のこれからについて考えたいと思っています。
僕もタグさんと同じで、会社で働くことが怖くて仕方ないです。元々大したことない自分の能力(体力・記憶力・思考力・集中力)がびっくりするくらいに落ちていて、以前の会社では沢山の失敗をしました。寛解したとして、能力がどれくらい戻るんだろう?と考えると怖いです。
今の思考で考えてもしょうがないとは分かっていても。。。
受け入れて、自分に出来ることをするしかないですね。すみません。弱音ばかりを書いてしまいました。
これからも、ブログ楽しみにしていますね!
ありがとうございます!
ジュンさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
仕事を辞めたから言って、病気が治るわけではないので、
からだがつらいんですよね。
治療をはじめて1ヶ月だと、
家の中を動くのも大変なんじゃないかと思います。
30代や40代は、世間でいう「働き盛り」だと思うので、
他人と比べたり、将来のことを考えたりすると、
とても不安で、つらい気持ちになると思うんです。
専門医ではないので、病気の回復について軽率に発言はできませんが、
僕の場合はからだが良くなってくるにつれて、
ジュンさんが今感じているような不安も、
ずいぶんと軽くなってきました。
〝弱音ばかりを書いてしまいました〟
⇒書くことで、少しでも気が晴れれば嬉しいです。笑
この病気って、なかなか本音を出して話したり、
書いたりする機会が少ないですよね、
孤独を感じやすいです(^^;)
つらいことの方が多いと思うので、
とことん、ゆっくりされてくださいね。
タグさん、こんにちは。
コメントをありがとうございます!
今朝は少し散歩ができました。僕も文章の勉強をしてみようかと思います。
またコメントさせて頂きますね。
今後ともよろしくお願いいたします。
こちらこそ、よろしくお願いします(^^)v
気ままに散歩しながら、寝て、食べて、無理せずゆっくりされてくださいね。
コメント、ありがとうございました!