うつ病がきっかけで主夫になった僕が、主夫をする上で気をつけていること
うつ病で働けなくなった時は、主夫として生活していくのもひとつの方法です。
ただ多くの男性は、学校を卒業してから会社に行ったり、仕事をしたりすることで生活してきているので、自分が主夫になって生活するイメージが湧きませんよね。
僕は、うつ病で退職してから、主夫として生活するようになりました。
最初の何ヶ月かは「専業主夫」、現在は家事や育児をしながら、在宅ワークで仕事をする「兼業主夫」になって家庭と仕事を両立しています。
主夫になった頃は、「妻よりも収入を多く稼がなければ」と思っていたり、仕事ができない自分を情けなく感じていたり、なかなか主夫の生活や立場を受けいれることができませんでした。
そこで、うつ病を抱える主夫の生活や主夫として気をつけていることについて紹介します。
目次
うつ病で主夫になってからの生活
うつ病で会社を退職し、主夫になってからの生活を振り返ってみると、大きく3段階にわけることができました。
【主夫になった頃】主夫をしながら自分の考え方を変える
主夫になった頃は、まず自分にできる家事を行いながら、自分の考え方を変えていく生活を始めました。
ここで言う考え方とは、
・ 自分の気持ちが落ち込まない考え方
・ 仕事以外のことに、自分の存在価値を認められる考え方
です。
僕はうつ病で退職して、仕事のストレスからは離れられましたが、病気が治るわけではありませんでした。
ちょっとした出来事で気持ちが落ち込んだり、外に出れば人の目が怖かったり。
僕の場合はそういった問題で生活のしづらさを感じていたので、自分にできる家事をやりながら、空いた時間に自分が生活しやすくなるような考え方を勉強することにしたのです。
また、主夫になった時には、仕事以外のことに自分の存在価値を認められる考え方が重要でした。
主夫の働きにはお金が発生しません。家族が見ていなければ、自分の働きを褒めてくれる人もいないです。
だから、主夫をする時には、報酬がなくても、誰からも褒められなくても「自分はこれでいい。」と考えられるようになる必要があったんです。
【主夫に慣れた頃】家事と運動で体力をつける
僕は、主夫を始めてしばらくしてから「ある問題」に直面しました。
それは、うつ病が回復してきてからだが動くようになってきても、自分に「家事をするだけの体力がなくなっていた」のです。
僕は、主夫になってからも将来的に仕事に復帰したいと考えていました。
だから、うつ病の症状が落ち着いている体調が良い時には、仕事をしていた頃にはやらなかった場所の掃除をしてみたり、30分から1時間くらいの散歩をしてみたり、家事や運動で体力づくりをおこなったんです。
体力がついてからはからだが疲れにくくなったので、自分が1日を通してできることも増えていきました。
【兼業主夫になった頃】家庭と仕事を両立する
主夫の生活に慣れてきてからは、気持ちや生活にも余裕が出てきたように感じます。
僕は、自分に余裕が出てきてから、無理のない範囲で在宅ワークを始めました。
在宅ワークをしてみると、サラリーマンをしていた頃よりは家庭と仕事を両立しやすかったです。
そして、意外と自分が主夫に向いていたのでは?などといったようにも感じられてきています。笑
主夫をしている人はどのくらいいるの?
そもそも現在の日本では、どのくらいの人が「主夫」をしているのでしょうか?
他の家庭の状況が気になるところだと思うので、調べてみました。
以下は、2017年に総務省統計局が調査した「就業構造基本調査の結果」から、男性の就業状態をグラフにしたものです。
数字自体はあまり気にする必要がないのですが、実はこの「男性の9割が仕事を中心に生活している」実態が、主夫になる上では問題となることがあるんです。
例えば、主夫になった頃は、買い物に行った時にスーツ姿のサラリーマンを見ると自分に引け目を感じます。
家事をしている時に来る訪問セールスの人は「旦那さんは、今日お休みですか?」と言ってきます。
役所関係の書類を書いた時には、職業の選択欄が「1.会社員 2.主婦 3.自営業 4.その他 」といった具合で、どこにも「主夫」の記載欄がないこともありました。
つまり、現在の日本では、主夫として生活していきづらいような現状があるように思います。
そのため、主夫として生活していこうと考えた時には、「男性は働く」という価値観を捨てた方が良いです。
そうしないと、日常のあらゆる場面で主夫として存在している自分が「ダメな人間」のように思えてきて、いつまでも新しい自分の生活を受けいれられないからです。
うつ病を持ちながら主夫をする上で、気をつけていること
うつ病の回復期にある僕は、主夫をする上で次のようなことに気をつけています。
仕事だけに自分の存在価値を感じない
これがもっとも重要です。
仮に主夫と併行して在宅ワークを始めても、すぐにはまともな収入が得られません。
特に、家族のために生きてきたようなお父さんは、仕事でお金を稼げない自分が無価値な存在に思えてくるんではないでしょうかね。
今のところ仕事はできないかもしれないけれど、家事をしたり、家族と過ごしたり、自分の趣味を楽しんだり。
新しいライフスタイルを確立していくためには、そういった仕事以外のことにも「生きる楽しさを感じる」ことが必要です。
できないことは家族に頼む
うつ病の回復期は疲れやすいですし、日によって体調の変動が大きいですよね。
できないことの方が多いと思いますが、できないことは家族に頼んだ方がいいです。
僕は、無理をして動きすぎた結果、翌日に全く動けなくなる経験もしました。
僕の場合は、朝食や娘の学校の準備を中心に、妻に頼っていることが多いです。
体調の悪い時は家族に頼って、動ける時に自分のできる家事・育児をした方が、結果的に家族の負担が少ないように思います。
家事の時間を決める、完璧にやらない
主夫になって気づいたことは、「家事には終わりがない」ことです。
料理のレシピにこだわったり、部屋の隅々まで掃除をしたりすると、時間や体力がいくらあっても足りません。
うつ病になるタイプは、物事をきっちりやる「完璧主義」の人が多いと思うんですよね。
僕にも「完璧主義」の傾向がありました。
家事を完璧にやろうとすると、家事だけで2・3時間があっという間に過ぎていくもんです。
ただ、時間をかけたからと言って、自分の満足度が高いとも限りません。「1日何をやっていたんだ…」と思うこともよくあります。
家事は時間を決めて行うといいです。
ダラダラと何時間もかけてやるよりも、例えば「15分でできるところまで」といったように、時間を決めた方がからだへの負担は少ないですし、1日に色々なことができるようになりますよ。
買い物のついでに散歩をする
うつ病の回復期には、散歩などの運動が良いと言われます。
ただ、主夫が行う家事そのものも、結構な運動量があるんですよね。
僕の場合は、自宅で家事→散歩→買い物→自宅で家事といった具合に動いていたら、疲れて過ぎてしまってイライラする、動けなくなることもありました。
そこで、おすすめは「買い物のついでに散歩をする」ことです。
買い物に行く時に、何軒かのスーパーをはしごしてみたり、あえて少し遠いスーパーに行ってみたりすると、買い物に行くだけで運動になるんです。
家事と運動のバランスは、うつ病の主夫にとって重要だと思います。
家事・育児と在宅ワークを抱えこみすぎない
主夫の生活に慣れてくると、気持ちに余裕ができて「働きたい」と思うかもしれません。
うつ病が回復してくると、家計のことを冷静に考えられるようにもなってきますしね。
僕は、主夫をしながら在宅ワークをやっている「兼業主夫」です。
「兼業主夫」をしていて思うのは、気づかないうちに家庭や仕事のことを抱え込んでしまう可能性があることです。
自宅で働いている分、家庭のことをやる機会が多いです。
しかし一方で、仕事をする相手は家庭の事情やうつ病のについて知らないので、家庭と仕事の問題を抱え込みすぎてしまうこともあります。
主夫業や仕事ができるようになったからと言って、うつ病が治ったわけではありません。
疲れたり、不安に思うことが増えたりしてくると、時々、うつ病がぶり返してきたような状態になります。
在宅ワークを始める時でも、無理のない範囲でゆっくり自分のペースですすめていけると良いですよ。
こまめに休憩をとる
最後は、こまめに休憩をとることです。
これは主夫業でも、在宅ワークでも一緒です。どんなに体力がついてきても、うつ病になってからは精神的に気疲れしているように感じる時が多いですね。
僕は「からだがどんより重たく、鉛みたい…」に感じることがよくあります。
全く動けなくなる前にこまめに休憩をとって、疲れきる前に休んだ方が、結局はできることが多いです。
「まだやれる!」と思った時に、意識してお茶でもしてみるような気持ちの余裕が必要だと思いますよ。
まとめ
自分の兼業主夫の経験から、「うつ病を抱える主夫の生活」や「主夫として気をつけていること」について紹介しました。
主夫になることは、「新しいライフスタイルをはじめる」ということです。また、うつ病を抱えた主夫は、病気の療養をしながら主夫業や仕事をやっていく必要があると思います。
これからの「新しいライフスタイルをはじめる」上で、紹介した内容を参考にしてみてください。