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「働けない自分には価値がない」という病

2020/02/01
 
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webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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働けなくなると、自分が家族や社会のお荷物に感じられるもの。

 

・家族が稼いだお金で、ご飯を食べている

・働いていないのに、社会で生活している

 

誰かのために生産的な活動ができない生活を送っていると、「こんな自分に生きている価値があるのか?」とさえ思えてくるでしょう。

 

僕も病気になって働くことができなくなり、一時期はまったくの無職でした。働けない状態は、無価値でダメな人間に思えるばかりで、とてもつらいものでした。

 

仕事や収入を失い、社会のどこにも居場所がない。

 

「働けない自分には価値がない」という自己否定感にかられ、つらい思いをされる人も多いのではないでしょうか?

働けなくなったことで気づく無価値な自分 

僕は、大学を卒業してからの10年間、サラリーマンをしていました。

 

サラリーマンとは言っても、病院や介護施設で、高齢者と障がい者へリハビリを提供する作業療法士として働いていたので、職場では「先生」などともてはやされたものです。

 

当時は、日本人の平均的な年収や社会的評価をもらえていたので、仕事をしているだけで、家族や社会から自分の存在を認められているような安心感がありました。

 

ところが、仕事のストレスからうつ病を患い、仕事をすることができなくなってしまったんです。いざ働けない状態になってみると、今まで感じていた自分の存在価値がまったくわからなくなりました。

 

・仕事をしていない

・お金を稼いでいない

・誰のためにも生きられていない

 

僕のようにサラリーマンとして働いてきた人のなかには、家族やお客さん、会社や社会のためにがんばってきたという自負がある人も多いでしょう。職場のやり方や給料に文句を言いながらも自分の努力を認め、意識していたかはわかりませんが仕事をする自分に存在価値を実感できていたはず。

 

仕事という役割や居場所を失うことは、サラリーマンにとってはつらいことですよね。働けない自分が無価値な人間に思えるほど、社会からの疎外感を強く感じられるでしょう。

 

働かない人生を選びたいわけではない

そんな働けない人に対して、世間は次のようなアイディアを提供してきます。

 

・仕事だけが人生のすべてではないよ。

・社会保障(生活保護や障がい年金など)に頼ってもいいんじゃない?

 

たしかに、やりようによっては、仕事をしなくても生きていける時代なのかもしれませんが、「働かない生き方」を選んでも問題は解決しないでしょう。

 

まじめで、優しくて、一生懸命で、努力家で、思いやりのある人。

 

言い換えると、仕事を通して他人や社会のために貢献することで、自分の存在価値を実感できる人だからこそ、この「働かない自分には価値がない」という病に悩まされるからです。

 

・他人や社会に貢献するなら、ボランティアでもいいんじゃない?

 

という意見も聞こえてきそうですが、これも“働けない”人にとっては意味のないアドバイスです。

 

というのも、病気で働けなくなると、自分の将来的な貧困に対する不安が強くなるからです。働けずに収入がないからこそお金にはシビアになり、自販機で缶コーヒーを買うのにも破産するような気持ちになっているかもしれません。

 

お金を稼ぎながら、他人や社会に貢献する仕事ができること。「働けない自分には価値がない」という病に悩む人は、そのような生き方を求めているのではないでしょうか。

 

「働けない自分には価値がない」という病の解決策

仕事でお金を稼いだり、他人や社会に貢献したりできれば良いですが、病気があると思ったようには働けません。特に精神的な病気を患っていると、就職して、職業生活が安定するまでには時間がかかるものでしょう。

 

そのため、自分の存在価値を感じながら働けない時期をやり過ごすことも大切です。

 

また、収入と社会的評価だけにしか存在価値を感じられないと、働けるようになってからも、いつか同じような悩みで苦しむことになりかねません。

 

では、働けない時期をどのようにやり過ごせば良いのか?僕は、自分が病気で働けなくなった自分の経験を通して、2つの解決策があることに気づきました。

 

① 仕事以外の価値を感じられる体験をする

ひとつは、仕事以外のことで存在価値を感じられる体験をすること。これは、働けない時期の応急処置です。

 

誰かのために何かをおこなえると、それだけで自分の存在が認められているような実感を得られます。もちろん、仕事のようにお金が発生するわけではないので、収入や生活の不安は残りますが、しばらくは他人に貢献できた満足感にひたることができるでしょう。

 

家族がいる人なら家事や育児。ひとり暮らしならボランティアなど。他人や社会のために“自分ができる”活動をおこなうことが重要です。

 

自分の存在価値を感じられずに悩んでいる方のなかには、働けない状態を嘆いている時間が長くなっている人も多いはず。たしかに、働けない状態はつらいのですが、何も活動していない時間が長くなるほど、余計に自分が無力で無価値なように感じられてきやすいことも知っておいたほうが良いかもしれません。

 

まずは、身近なところで、“自分にできる”ことをおこなってみてはいかがでしょうか。

 

② 働かなくても幸せを感じている瞬間に気づく

「働けない自分には価値がない」と悩んでいる人は、仕事をしたりお金を稼いだりすることだけが自分の幸せだと思っているところがあります。

 

例えば、

・同僚よりも業績をあげられる

・上司から慕われる

・友人と外食をする

・家族と旅行に行く

・パートナーに高いプレゼントを贈る

・子どもを成績の良い学校に進学させる

など。

 

幸せになるためには、収入と社会的評価が絶対に必要だと信じている人のほうが多いでしょう。

 

ただ、僕の場合は病気で働けなくなってから、日常のちょっとした瞬間にも幸せがあることに気づきました。

 

「空の青さが心地良かった」「木々の色に、四季の変化を感じた」「夕飯がおいしかった」「自分好みの本を読めた」「家族と一緒になって笑った」など。

 

人によって何を幸せに感じるかは違いますが、気づかないだけで、身近にも幸せを感じられる瞬間は多いです。

 

自分が幸せになるためには、本当に収入と社会的評価が不可欠なのか。いま一度、自分の幸せの感じ方について振り返ってみたいものです。

 

今は情報があふれているので、他人や社会が発信する幸せの形が、自分の幸せであるかのように思い込んでいることもよくあります。ですから、思い描いている理想の生活が、本当に自分の幸せなのか考えてみる必要もあるでしょう。

 

働けなくても、自分にできることはある

いつかは仕事復帰する日がくるのかもしれませんが、復帰を焦るほど、順調には回復しないからだと働けない現状に、不安な気持ちが強くなります。

 

思ったように進めない時ほど、無力さや自己否定感から、自分が無価値な人間に思えてしかたがないかもしれません。

 

ですが、仕事以外にも自分の価値を感じられる機会はありますし、ちょっとした日常のなかに転がっている幸せも多いです。

 

働けない現状に嘆きたくもなるでしょうが、“いまの自分”にできることをおこなってみると、自分の存在価値や幸せに気づきやすいのではないでしょうか。

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