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HSPとは何でしょう?生まれつき敏感な気質を持った人の処世術

2021/10/07
 
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webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
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HSPとは、刺激に敏感な気質を持つ人のことです。

最近では、ネットニュースなどでも取り上げられる機会が増えてきたので、HSPについて気になっている人も多いはず。

・ちょっとした言動に動揺しやすい

・他人に気を遣いすぎる

そういった生きづらさやストレスの感じやすさは、HSPによるものかもしれません。

「HSPとは何でしょう?」

ここでは、HSPの特徴や敏感な気質との上手な付き合い方を紹介します。

HSPとは?

HSPとは、「Highly Sensitive Person(とても敏感な人)」を略した言葉です。

一般的には、「敏感な気質」という意味でも使われています。

HSPは、1996年にアメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン博士により提唱された概念です。

アーロン博士が執筆したHSPの入門書『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。(絶版)』は、世界中で100万部も売れるベストセラーとなり、この本をきっかけに日本でもHSPの概念が広まりました。

敏感な人たちの4つの特性

アーロン博士によると、HSPは、性別や民族に関わらず人口の15~20%(約5人に1人)に見られ、4つの特性を持っていると言います。

「とても敏感な人」とはどういうことなのか、まずはHSPの特性を見ていきましょう。

深く考え、深く処理する

HSPの人は、ひとつのことを深く考える傾向があるため、一度に多くの物事を処理することが苦手です。

そのため、短時間に多くの問題を抱えた時には、あわててしまって、頭のなかの情報処理が追いつかないということもよくあります。

物事を深く考えるので、作業を始めるのに時間がかかるのも特徴です。

「考えすぎだよ!」と家族や同僚に言われて、真剣に相手をしてもらえない経験をされた方も多いのではないでしょうか?

また、HSPの人は、持ち前の思慮深さによって浅い人間関係や話を嫌い、生き方や哲学的な物事に興味を持ちやすいです。

過剰に刺激を受けやすい

敏感な気質は、頭のなかに入ってくる情報量を増やします。

その情報量の多さが、時には人間関係のストレスになることも。

HSPの人は、他人の表情や言動から、数多くの情報を受け取ってしまうので、人ごみや集団を嫌います

他人の些細な言葉によって傷つきやすく、傷ついたエピソードをいつまでも忘れられません。

こういったことは、自分の感情でも同じことが起き、他の人が傷つかないようなことでも深く受け止めてしまい、自己嫌悪に陥りがちです。

このような事情があるため、HSPの人は、過剰な刺激から自分を守るためにもひとりになれる時間を大切にします。

もちろん、仲の良いグループでの集まりを楽しむこともありますが、気疲れするので人と接したあとにはひとりの時間が必要になります。

全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い

他人に気を遣いすぎるHSPの人は、場の空気を読むのが得意です。

ただ、まわりの人のネガティブな気持ちまで敏感に察知してしまうので、人間関係で気疲れすることも多いです。

また、他人の気持ちに共感や同調する能力が高いため、自分以外の人に感情移入しすぎてしまうこともよくあります。

例えば、悲しいニュースやドラマ・映画などを見ていると自分も悲しい気分になる、怒られている人を見ると自分も怒られている気持ちになるなど。

他人に共感し感情移入しやすいことから、他の人にとっては傷つく必要のない場面でも、傷つきやすいのです。

さらに、他人に気を遣いすぎ側面が強くなると、自分を犠牲にしてまで他人のことを優先して生きるということにも。

他人の思い、考え、顔色などを伺いながら、それに合わせて生きるようになると、人の前で自分の感情をいつも抑えるようになるため、生きづらさやストレスを感じやすくなります。

ささいな刺激を察知する

HSPの人は、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚情報に敏感です。

照明のまぶしさ、テレビドラマの残酷なシーン、騒音や苦手な音、肌への刺激、におい、食べ物など。あらゆる感覚刺激に反応しやすく、ストレスを受けやすいです。

例えば、刑事ドラマを見たり、残虐な事件のニュースを聞いたりして、自分のことのようにつらい気持ちになることはないでしょうか?

あるいは、ちょっとした物音にも心臓がドキドキするような過剰な反応をすることが多いかもしれません。

このような外部環境から受けるささいな刺激に、過剰な反応を示しやすいのもHSPの人に見られる傾向です。

HSPセルフチェック

「もしかしたらHSPかも…」

生きづらさやストレスを感じやすい方は、自分がHSPかどうかチェックしたい人も多いでしょう。

精神科医でHSPの啓蒙活動もおこなっている長沼 睦雄(ながぬま むつお)医師は、自著のなかでHSPのセルフチェックを紹介しています。

簡単に確認できるリストですから、HSPかどうか、早速チェックしてみましょう。

以下の質問に対し、あなたが感じるまま思い当たる項目にチェック印をつけてください。

まったく思い当たらない、それほどでもない場合は印をつけないでください。

□ コミュニケーションや対人関係が苦手
□ こだわりはあるものの、素直で純粋で人を信じやすく、やさしい
□ 人を守りたいという気持ちが強い
□ 使命感があり向上心が強い
□ 真面目で責任感が強い
□ ネガティブな感情への共感性が強い
□ 空気を読むのが得意
□ 正義感が強く、礼儀正しい
□ いつも相手に合わせて「いい人」でいようとしてしまう
□ 色や音やにおいなど、ちょっとした刺激が気になる
□ 夢や空想がリアルで、現実と混同してしまう
□ ひとりになる時間や空間があると助かる
□ 相手のペースに合わせてできない
□ つい相手のことを考えすぎて、イヤと言えない
□ 集団のなかで無口になって、ひとりになる
□ 感情、言葉、行動を表に出せず抑えてしまう
□ 監視や評価や時間制限などが苦手
□ 周囲の人の気分や感情に左右されてしまう
□ 神経がとても疲れやすい
□ 一度にたくさんのことができない

チェック印がついた項目が多いほど、あなたにはHSPの傾向があると考えてよいでしょう。

・チェック印が少なくても、該当する項目に極めて強い傾向があるなら、やはりHSPの傾向があると判断してよいでしょう。

(引用 長沼 睦雄(2019):「敏感すぎていつも不安」なのは「HSP」かもしれません.PHP研究所

チェックしてみたことで、実は自分も、他の人より敏感な気質があったことに気づけたのではないでしょうか?

これまで悩んできた生きづらさやストレスの感じやすさの背景には、HSPの影響があったからかもしれませんね。

HSPは、病気や障がいではない

HSPは、生まれつきの気質です。病気や障がいではないので、治療をしたり、特別な支援を必要としたりするものではありません

HSPであるということは、まわりの人よりも生まれつき敏感な気質を持っていたということです。

ところで、そもそも“気質”とは何でしょうか?

「HSP=敏感な気質」であることがわかっても、気質について知らないと、自分の感じる生きづらさの理由が理解しにくいでしょう。

ここで、辞書を引いてみると、気質は次のように定義されています。

【気質】

① 言動に表れる、その人の身に備わった性質。

② 人の性格の基礎をなす感情的反応の特徴。

(引用 大辞林 第三版)

わかりやすく言い換えてみると、気質とは「生まれつき備わった個人の性質」のこと。

ちなみに心理学では、気質に加えて、成長するなかで家庭環境や社会からのさまざまな影響を受けて形成されていく性質を“性格”や“人格”と言うのだそう。

つまり、HSPは生まれつき備わった性質ですから、生きづらさやストレスを感じやすいからといって、努力をして変えていったり、変えられるものではありません

むしろ、人生を生きやすくするためには、HSPとどのようにして上手に付き合っていくか、その工夫を知ることが大切です。

敏感な気質を持った人の処世術

では、HSPの人は、どのようにすると生きやすくなるのでしょうか?

敏感な気質を持った人の処世術を紹介しましょう。

HSPであることを自覚する

まずは、HSPである自覚が必要です。

敏感な気質を持ったタイプであるにも関わらず、自分以外の鈍感な人たちと同じような生き方をしていれば、自分だけ生きづらさやストレスを強く感じてつらくもなるでしょう。

肝心なことは、「私は敏感だから…、あの人は鈍感だから…」といったように、個人が持ち合わせている気質でお互いを差別することではありません。

HSPであることを自覚することで、生まれつき持った気質に合う居心地の良い環境で生きやすくなるのです。

居心地の良い環境を知る

人によって、どのような環境に居心地の良さを感じるかは違ってくるでしょう。

ここでは、僕自身の経験と一般論を踏まえながら、HSPの人が楽に過ごしやすい環境や状況を知るポイントについて挙げました。

居心地の良い環境を知り、自分のなかに入ってくる刺激量を調整できると今よりも生きやすくなるでしょう。普段の生活のなかで、ぜひ参考にしてみてください。

・独りになれる時間や環境をつくる

・独りになることをまわりに遠慮しない

・疲れを感じたら頭を休める(目をつぶる、景色をぼーっとながめる)

・人ごみを避ける

・人ごみでは、耳栓やイヤホン・ヘッドホン、マスクなどを使って、耳や鼻、口から入ってくる刺激を減らす

・他人のネガティブな話は、真剣に受け止めない

・苦手なタイプの人とは関わらない、または視界に入らないようにする

・悲しいニュースや残酷なドラマ・映画は見ないようにする

・装飾性よりも、機能性重視の洋服を選ぶ

・他人と比較したり、競争したりしない

・「今、この瞬間」に集中する(未来や過去の不安にとらわれない)

・自分への批判と他人への批判は、分けて考える

・他人の責任まで背負わない

・自分の考えや気持ちを優先する

・直感的に嫌だと思ったことは断る

・静かで刺激の少ないお気に入りのリラックススポットをつくっておく

・考えても解決できな時は、“しょうがない”と割りきる(完璧思考をやめる)

・自分が思うままにだらだらできる時間も大事にする

HSPについて理解を深める

HSPの人にとって、「HSPについて理解を深める」ことは自分を知ることです。

これまで「気にしすぎ」「考えすぎ」と言われ、まわりの人に敏感で繊細な生き方を受けいれられなかった人も、HSPの概念を知ってからは、ずいぶんと気持ちが軽くなったのではないでしょうか?

HSPについて理解を深めると、無理をして他人の生き方に合わせず、自分の居心地の良い環境で生きやすくなるでしょう。

HSPについて理解を深めるには、書籍が参考になります。

最近では、精神科医や心理カウンセラーなど、多くの専門家もHSPに関する書籍を出版されていますが、個人的にはHSP当事者が執筆された書籍がおすすめです。

というのも、当事者の本は、HSPの解説だけでなく日常生活で悩みがちな「HSPあるある」も数多く紹介されてるので、自分の生き方と照らし合わせながらHSPについて理解しやすいからです。

一冊読んでみると、自己理解が深まるでしょう。

「繊細さん」の本 「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる /飛鳥新社/武田友紀
by カエレバ

自分の生き方や考え方を否定しない

最後に、生きやすくなるためにもっとも重要なことは、敏感な気質を持って生まれた自分の生き方を否定しないことです。

アーロン博士によると、「敏感」であることは、文化によって違った評価を受けると言います。

HSPは、敏感であることに価値を置いた文化では、「良く気づく」「気配りできる」などと評価される一方で、敏感であることに価値を置かない文化では、「気にしすぎ」「考え過ぎ」などと低く評価されがちです。

もし低く評価されてばかりの人生を歩んできたとしたら、自分の生き方に劣等感や自己嫌悪感を強く持ちやすくなっているはず。

ですから、自分の生き方を否定しないことが重要です。

生きづらさやストレスを感じやすかったのは、あなたがまわりの人よりも少し敏感な気質を持って生まれただけ。

これからの人生を生きやすくするためにも、自己否定するのではなく、自己理解を深められると良いのではないでしょうか。

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