うつ病人の生き方・働き方改革

うつ病のリハビリについて、うつ病になった作業療法士が必要と考えること

2019/08/02
 
この記事を書いている人 - WRITER -
たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
詳しいプロフィールはこちら

うつ病のリハビリには、何が必要なのか?

 

 

 

 

 

うつ病で通院をしていても、社会復帰に向けたアドバイスを受けられる機会が少ないので、具体的なリハビリの方法で悩むことも多いはず。薬を服用する以外にも、社会復帰のために自分でできることがあるなら挑戦してみたいですよね。

 

 

 

 

 

僕は、うつ病になって約1年半になるのですが、以前は、作業療法士としてリハビリの専門病院で働いていました。作業療法士とは、リハビリの専門職のひとつです。実は、作業療法士と一口に言ってもさまざまな分野があります。僕の専門は、脳卒中や脊髄損傷、骨折などにより、からだに障がいを持った方に対し、仕事や日常生活ができるようになるためのリハビリを提供することでした。

 

 

 

 

 

ところが、本来リハビリを提供していた側の僕自身も、仕事のストレスからうつ病になり、リハビリが必要な立場になりました。自分がうつ病になってみて思うことは、「うつ病のリハビリは難しい」ということです。というのも、通院中のうつ病患者の場合、① 目標がわかりにくい ② 医療や福祉の支援者が主治医しかいないため、自分ひとりで社会復帰の形を考えていく必要があったからです

 

 

 

 

 

うつ病のリハビリでは、どういったことをおこなっていけば良いのでしょうか?専門分野は違うのですが、うつ病になった作業療法士として、自分の経験の中で気づいたうつ病のリハビリに必要なことを紹介していきます。


スポンサーリンク

リハビリとは?

そもそも、リハビリとは、正式な名前を「リハビリテーション」と言い、日本語にすると「社会復帰」になります。

 

 

 

 

 

テレビやインターネット、ツイッターなどでは、何かひとつの活動をすることが「リハビリ」と考えられがちです。例えば、「うつ病のリハビリには、散歩がいい」といったように、しかし、リハビリの本質は、職業生活や家庭生活など、自分が思い描いていた生活を獲得していく一連の過程にあります。

 

 

 

 

 

ところが、うつ病では、こういった「リハビリ」の形がわかりにくいです。

 

 

 

 

 

身体の病気や障がいで入院している患者の場合、自宅に退院したり、退院して仕事を再開したりすることがリハビリの目標になる場合が多いです。入院している患者は、病院という非日常的な場所で生活していますし、戻りたい家や役割があるので、そういった意味では目標がわかりやすいように思います。

 

 

 

 

 

一方で、うつ病で通院している患者は状況が違います。うつ病の通院患者は、すでに自宅で生活していますし、働けなくても家事をしたり、買い物をしたり、社会の一部で生活することができています。そのように考えると、何を持って「リハビリ(社会復帰)なのか」がわかりにくくはないでしょうか?

 

うつ病のリハビリの目標は「なりたい自分」になること

うつ病では、何を目標にリハビリをするものなのか。まずは、一般的に言われているうつ病の治療目標について見てみましょう。

 

 

 

 

 

うつ病の治療や研究などをおこなっている組織のひとつに、「日本うつ病学会」があります。日本うつ病学会は、医療従事者向けに治療のガイドラインを作成していて、うつ病の治療目標は次のように書かれています。

 

うつ病治療における治療目標は、症状が軽快するこ とに加えて、家庭・学校・職場における「病前の適応状態」へ戻ることである。
(引用:日本うつ病治療学会ガイドライン Ⅱーうつ病(DSMー5)/大うつ病性障害 2016

 

 

 

このガイドラインによると、医療従事者側のうつ病の治療目標は「病気をする前に戻すこと」になるのでしょう。僕も、リハビリに関わっていたので、患者が病気をする前の状態に戻りたいと思う気持ちはわかります。

 

 

 

 

 

ただ、うつ病の場合、「病気をする前の状態に戻ること」が本当の意味でリハビリになるのかというと疑問が残ります。というのも、うつ病は、病気が完治するまでに長い時間が必要ですし、職場や家庭環境などが原因でうつ病を発症した場合には、その環境に戻ることは、再発のリスクを高める場合もあると思うからです。

 

 

 

 

 

それから、うつ病になって自殺を考えるくらいに思い悩んでいる方の場合には、自分の命や生活と向き合ったことで、人生観や価値観なども変わっているかもしれません。

 

 

 

 

 

つまり、うつ病のリハビリでは、必ずしも「病前の状態に戻ること」が目標にならないと思うんです。

 

 

 

 

 

では、どういったことを目標にリハビリをすると良いのか?というと、僕は、自分で思い描く「なりたい自分」の姿がリハビリの目標になると考えています。

 

 

 

 

 

うつ病になる前の生活が自分に合っていたとは限りません。あるいは、うつ病になったことで、いまのからだに負担の少ない生き方を考え直す時期にきているのかもしれません。

 

 

 

 

 

いずれにしても、うつ病になる前とは違う生き方を考えることが求められているのではないでしょうか?

 

 

うつ病のリハビリに必要なこと

では、うつ病のリハビリをする時に、具体的にどういったことが必要になるのでしょうか?自分が思い描いた生活をしていくためには、僕は、少なくとも5つのことが必要になると考えています。

 

 

1. 休息をとる

まず、もっとも重要なことは休息をとること。自分で休み過ぎと思えるほど休まなければ、何かをしようとする意欲や気力なども湧いてこないでしょう。

 

うつ病の患者さんは、心身ともに疲れきった、いわばエネルギーが枯渇してしまった状態にあります。~(中略)~休むことが「仕事」と割りきり、治療に専念することが大切です。
(引用:坪井 康次(2017).うつ病 患者のための最新医学 高橋書店

 

 

 

 

僕は、自宅でちょっとした仕事ができるようになってからも、日によっては気力が湧かずに、ソファでゴロゴロしながら半日過ごすことがよくありました。

 

 

 

 

 

自分の体調の変動を振り返ってみると、たっぷり睡眠がとれたり、休息を多く取り入れたりした日の翌日は、頭の中がスッキリしていて、「動きたい」という欲求も湧いてきやすかったです。仕事ができるくらいに回復してきても、うつ病のからだには、それくらい休息が必要なんでしょう。

 

 

 

 

 

うつ病で療養していると、休むことで同僚や家族に迷惑をかけているように感じられるかもしれませんが、からだのためには、自分の体調を優先して、積極的に休息をとるようにしたいものです。

 

 

2. 休み方を覚える

うつ病になりやすい人は、仕事に一生懸命な一方で、「休息」を軽視しやすい傾向があると言われます。どんな人でも、会社や家庭のために休まず働いていれば、いつかはからだを壊すことになりますよね。そのため、うつ病のリハビリを考える時には、休み方を覚えることも必要です。

 

 

 

 

 

からだが動くようになると、以前のように無理をして、仕事や家事、育児などを一生懸命にがんばりがちです。がんばることは悪いことではないですが、自分のからだをないがしろにすると、うつ病を再発しかねません。再発をせずに、自分のやりたいことをおこなっていくには、療養中に、自分なりの休みのとり方を身につけたほうが良いでしょう。

 

 

 

 

 

僕の場合は、翌日の疲れ具合から、休みのとり方を考えるようにしています。つまり、全く動けないほど疲れているようなら活動量を減らしたり、動けるが疲れがたまるようなら休憩の回数を増やしたりなど。うまく休みがとれると、毎日が楽しく、自分のやりたいことがおこないやすくなります。

 

 

 

 

 

色々なことに一生懸命過ぎて動けなくなることが多いのであれば、自分なりの休みのとり方を考えてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

3. 不安な気持ちをコントロールできるようになる

うつ病では、不安な気持ちがつきもの。ちょっとした不安であっても、悪い想像が大きく膨らんだり、ネガティブな気持ちでいっぱいになったりして、動けなくなることも多いでしょう。

 

 

 

 

 

僕も、不安な気持ちが強くなり、からだを全く動かせなくなるということがよくありました。不安を感じた時には、頭が重く、時には動悸がするようなからだの違和感があって、気分がどんどん悪い方へ向かっていきました。

 

 

 

 

 

不安が強い場合には、主治医から抗不安薬を処方される場合もあります。人によっては、薬によるコントロールが効果的な場合もあるのでしょうが、僕の場合は、呼吸法や認知行動療法が不安の対処法として良かったです。

 

 

 

 

 

調べてみると、医療従事者向けの「うつ病治療のガイドライン」でも、呼吸法や認知行動療法について、以下のように書かれていました。

 

● 不安に対しては、呼吸法などを含めた対処法を伝え、 症状に関係した破局的認知の緩和をはかる。

● 必要に応じて、体系化された精神療法を併用する

日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.大うつ病性障害(2016年7月)

 

 

つまり、不安をコントロールする方法は薬以外にもあるのです。

 

 

 

 

呼吸法や認知行動療法の良いところは、時間や場所を選ばずにおこなうことができること。薬は、ちょっとした不安を感じるたびに服用するわけにもいかないですし、自力で不安をコントロールできると、それだけで自分の自信につながりますよ

 

 

 

 

うつ病が回復してきても、生きている限り不安はつきものですから、不安な気持ちが膨らまないように、自分をコントロールする方法を身につけると生活しやすくなります。

 

 

4. 自信をつける

うつ病を発症すると、職場や家庭で色々な失敗を経験します。うっかりミスが増えたり、コミュニケーションがうまくとれなくなったりすることで、周囲の人から指摘や批判を受けて自分に自信がなくなることも多いでしょう。うつ病のリハビリでは、そういった病気をきっかけに失った自信を取り戻すことも重要です。自信がないと、自分が思い描いた生活を送るために色々なことへチャレンジできません。

 

 

 

 

例えば、仕事をしたり、インターネットで自己表現をしたりするなどの場合にも、やりたいことを実現するには、課題を乗り越えるための自信が必要です。たいていの物事は、他人と関わったり、他人に干渉されたりしている中でおこなっていく必要がありますよね?自信があれば、自分が実現したい生活に向けて課題があっても乗り越えていきやすいでしょう。

 

 

5. 体力をつける

うつ病は、脳や心の病気と言われていますが、体力をつけることも必要です。というのも、うつ状態などで1日の活動量が減っていると、日常生活や仕事をするための筋力や体力も落ちてしまっているからです。

 

 

 

 

 

筋力や体力が落ちていると、仮に自宅で仕事をするとしても、デスクワークをするために長い時間座れないということにもなりかねません。また、体力が落ちて疲れやすい時は、からだに余裕がないので、不安な気持ちにもなりやすいようです。

 

 

 

 

 

散歩や軽いジョギングは、うつ病の時にも、取り組みやすい運動になります。いきなり毎日やろうとしても続かないでしょうから、気が向いた時に、外で軽くからだを動かすことを習慣にしたほうが良いかもしれません。

 

新しい生活をつくっていく

うつ病になる前の生活に戻りたいと思うことがあるかもしれません。ただ、うつ病をきっかけにからだの状態や自分の考え方も変わってきていると思うので、いまの自分に合った生活に向けてリハビリをしていく必要があると思います。

 

 

 

 

 

この記事では、僕がおこなってみた5つの方法を紹介しました。

 

・休息をとる

・休みのとり方を覚える

・不安な気持ちをコントロールできるようになる

・自信をつける

・体力をつける

 

もちろん、リハビリのために必要なことは人それぞれでです。ですが、これからの自分の生活を負担が少なく楽しんでいくには大切なことになるでしょう。

 

 

 

 

 

うつ病からリハビリ(社会復帰)していく方の参考になれば幸いです。

 

関連記事:うつ病から体力づくりをしていきたい時に、作業療法士がおすすめする方法

この記事を書いている人 - WRITER -
たぐ
webライター・ブロガー。うつ病当事者。うつ病になった人に向け、会社で働く以外のフリーランスとしての働き方・生き方を情報発信。うつ病と付き合いながら、〝自分らしい〟人生の歩み方を模索中。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© 僕の人生に うつ がきた , 2018 All Rights Reserved.